English
トップページ  >  一般の方へ  >  ITER Japan News  >  ITER建設現場における組立作業・試験準備の着実な進展

トップ画像

ITER建設現場における組立作業・試験準備の着実な進展

 前回の報告(ITER Japan News第153号「ITER建設現場における組立作業の加速と成果」 に引き続き、2025年秋以降もITERサイトでは、組立作業や試験準備が着実に進められています。

 2025年11月25日には、セクターモジュール(SM)#5(重量約1,350トン)のトカマクピットへの設置が完了しました。設置の際には、隣接する構造物との干渉を避けるため、位置のずれ(オフセット)を約10ミリメートルまで精密に調整し、真空容器を支えるグラビティサポートとの初回仮合わせにも成功しました。この段階では、部材同士の接合面や角度の整合性、および現地作業手順の妥当性が確認されており、最終的な固定や荷重の移行はその後段階的に進められました(図1)。なお、このモジュールは、韓国製の真空容器セクター、日本および欧州製のトロイダル磁場コイル、さらにサーマルシールドなどから構成される大かつ複雑な装置です。

図1 セクターモジュール#5:組み上がったSM#5をトカマクピット上に降ろしている様子。(写真:ITER機構供)
引用元:ITER NEWSLINE 25 Nov 2025

 続いて、2026年1月28日から29日にかけて、セクターモジュール#8がトカマクピット上部まで運搬されました。この作業では、上部構造との隙間が最小で0.4ミリメートルという非常に厳しい条件下でも、精密な位置計測と慎重な操作、安全確認を徹底することで、確実な設置が実現されました(図2)。据付後の位置調整では、一度安全な位置に設置した後、油圧装置を用いて少しずつ設計位置へ移動させる方法が採られ、約5日間で目標位置への調整が完了しました。これにより、全9体のセクターモジュールのうち4体がトカマクピットに設置されたことになります。

図2 セクターモジュール#8の設置:最小0.4 mmの極小クリアランスに対応して位置計測と独立監視に基づく運用により設置された。(写真:ITER機構提供)
引用元:ITER NEWSLINE 2 Feb 2026

 また、モジュールの組立に使用する大型装置(SSAT)については、約1年半にわたりほぼ連続で稼働させることで作業効率の向上が図られました。次に使用する部材をあらかじめ準備しておくなど、作業の流れを止めない工夫や装置・手順の改善も進められています。これらの取り組みにより、2026年中にはさらに4体のモジュール設置が計画されています。

磁石の性能を確認するための極低温試験施設(MCTF)では、2025年12月に試験対象のコイルを設置し、2026年1月からは電源設備の試験が開始されました(図3)。施設は2026年初頭の本格稼働に向けて準備が進んでいます。この施設では、磁石の絶縁性能や電気的特性、機械的な変形の有無などを事前に確認し、安全かつ確実な据付につなげることを目的としています。今後は複数のコイルについて試験が実施される予定です。

図3 TF07がクライオスタット内(写真中央の真空容器)に据え付けられ、高電圧コミッショニングが開始された。本格運転は2月末〜3月初めを見込む段階に入った。(写真:ITER機構提供)
引用元:ITER NEWSLINE 19 Jan 2026

 さらに、トカマク装置を支える関連設備の整備も進んでいます。冷却用の極低温ヘリウムや電力、計測信号を供給するための貫通部(全62か所)の設置がすべて完了しました。また、装置を取り囲む厚さ3メートルのコンクリート壁(バイオシールド)に設けられる冷却水配管用の開口部工事も前倒しで完了しています。加えて、ポートプラグ試験施設の主要機器がITERサイトに到着し、2026年中には試験開始が見込まれています。
このように、ITER本体の建設とそれを支える各種設備の整備が並行して進み、プロジェクト全体が着実に前進しています。