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ITERの設計

ITERの装置設計

 ITERは、核融合反応が起こる条件を人工的に作り出し、安定して維持することを目的とした実験炉です。装置はトーラス型(ドーナツ型)構造のトカマク型核融合装置として設計されています。
トカマクの原理や核融合研究開発の進展については、「ITERの位置づけ」ページの「核融合研究開発の進展とITER」を参照してください。

 トカマク型装置では、ドーナツ状の真空容器の内部に高温のプラズマを生成し、強い磁場によってプラズマを閉じ込めます。ITERでは、真空容器の周囲に配置された超伝導コイルによって作られる磁場と、プラズマ中を流れる大電流(プラズマ電流)の相互作用により、プラズマを安定に閉じ込めます。
核融合反応を実証するためには、プラズマを高温・高密度の状態で長時間維持することが必要です。そのためITERでは、プラズマ体積を約840m3とし、現在の代表的な大型トカマク装置であるJT-60SAやJETと比べて約10倍のプラズマ体積を持つ装置として設計されています。

核融合実験炉ITER(イーター)、日本の調達機器の紹介

核融合実験炉ITER(イーター)、日本の調達機器の紹介)
ITERはドーナツ状の真空容器を中心に、超伝導磁石、ブランケット、ダイバータ、加熱装置などの機器から構成される大型のトカマク型核融合実験炉です。

ITERの主要機器の構成

 ITERは、真空容器を中心に、プラズマの生成・制御・加熱・計測などを行う多くの機器によって構成されています。

真空容器(Vacuum Vessel)
プラズマを生成するためのドーナツ型の容器で、内部は高真空に保たれています。プラズマが直接外部環境と接触しないようにする役割を担います。また、核融合反応で発生する中性子に対する遮へい構造も備えています。

ブランケット(Blanket)
核融合反応によって発生した中性子を受け止め、そのエネルギーを熱として回収します。ITERでは、将来の核融合炉を想定したテストブランケットモジュール(TBM)を設置し、トリチウムの生成や冷却による熱回収などの技術実証を行う予定です。
将来の核融合発電炉では、このブランケット内部でリチウムと中性子が反応することで、燃料となる三重水素(トリチウム)を生産することが計画されています。

ダイバータ(Divertor)
ダイバータは、プラズマの外側に流れ出た粒子や熱を受け止める装置です。余分な熱の除去、核融合反応の生成物であるヘリウムの排出、プラズマ中の不純物の除去といった役割を担い、プラズマを安定に維持するための重要な機器です。

超伝導コイル
ITERでは強力な磁場を長時間維持するために超伝導コイルが用いられます。超伝導状態を維持するため、コイルは極低温に冷却されます。これらの超伝導コイルや真空容器などの主要機器は、外部からの熱の侵入を防ぐため、クライオスタットと呼ばれる大型の真空断熱容器の内部に配置されています。

プラズマ加熱・計測装置
ITERでは、プラズマを数億度の温度まで加熱するために、さまざまな加熱装置が用いられます。主な加熱方式として、中性粒子入射加熱(NBI)、高周波加熱(RF加熱)などがあり、これらを組み合わせることで核融合反応に必要な高温状態を作り出します。
また、プラズマの状態を正確に把握するために、多数の計測装置(診断装置)が設置され、プラズマの温度、密度、電流、位置などをリアルタイムで測定します。

ITERの設定パラメータ

 ITERは、核融合エネルギーの科学的・技術的実証を目的として、以下のような設計条件で建設されています。

ITERの設定値

核融合出力 500MW(メガワット)
エネルギー倍増率 Q=10(~400秒)
Q~5(定常運転条件)
プラズマ電流 15MA(メガアンペア)
プラズマ温度 約1億5千万℃
プラズマ体積 約840 m3
プラズマ大半径/小半径 約 6.2m / 約 2.0m
最大磁場(コイル中心) 11.8T(テスラ)
最大磁場(プラズマ中心) 5.3T(テスラ)
最大加熱パワー 73MW(メガワット)

 ITERは、外部から投入する加熱エネルギーを大きく上回る核融合出力を生み出す「燃焼プラズマ」の実証を目的としています。ITERではエネルギー倍増率Q=10(投入エネルギーの約10倍の核融合出力)を達成することを目標としています。
この実験により、核融合エネルギーを将来の発電技術として利用するために必要な燃焼プラズマの物理理解や炉工学技術の実証が期待されています。ITERで得られる成果は、次世代の核融合実証炉(DEMO)の設計・建設に向けた重要な基盤となります。