ITERの設計
ITERは核融合反応が起こる条件を作り出し維持するためにトーラス型(ドーナツ型)形状をしたトカマク型の設計となっています。トカマク型の装置であるITERでは、ドーナツ型真空容器の周りに配置された超伝導コイルによる磁場とプラズマ中に流れる電流との作用によりプラズマを閉じ込めます。ITERのプラズマ体積は、ITERの目標を達成できるよう十分な大きさにする必要があり、それは現在の最大規模の装置(日本のJT-60やヨーロッパのJET)におけるプラズマ体積の約10倍の大きさになります。
核融合反応により発生するエネルギーは、容器の内面に設置されたブランケットにおいて、冷却水をあたため、炉の外に取り出されます。ITERのブランケットでは、中性子の遮断と熱の取り出しの機能を持ちます。 将来の核融合炉のブランケットでは、核融合反応により発生した中性子を吸収し、内部のリチウムを反応させて新しい三重水素(トリチウム)をつくります。この三重水素(トリチウム)と海水から取り出した重水素が核融合炉の燃料になります。ITERでは、核融合炉のブランケットを想定したテストブランケットモジュールを真空容器の窓部に挿入して、トリチウムの生産と冷却水などによる熱の取り出しの試験を行います。
ダイバータは、プラズマから余分なエネルギーの除去、核融合反応の燃えかすであるヘリウムガス及び、プラズマ中の不純物を減少させる役割を担っています。
超伝導コイルは、超伝導に必要とされる超極低温を維持するためにクライオスタットの中に置かれます。クライオスタットの中は真空に保たれています。その外側には、プラズマを加熱するための加熱装置、プラズマの温度や密度を測定するための測定器などが配置されます。
