English
トップページ  >  国内機関(JADA)の活動  >  JADAの調達機器と進捗状況  >  中性粒子ビーム入射加熱装置

中性粒子ビーム入射加熱装置

 発電に必要な核融合反応を起こすためには炉心プラズマを高温に加熱する必要があります。炉心プラズマを加熱する方法の一つ、中性粒子入射装置(英語ではNetutral Beam Injection(NBI))についてご説明します。
この装置により、高エネルギーの中性粒子をプラズマに入射して、プラズマを加熱します。

※画像をクリックすると大きい画像が表示されます。

NBとは
ITER NBIの調達分担

ITERの中性粒子ビーム入射加熱装置は、日本と欧州で分担して機器を調達します。日本では「1MV電源高圧部」、「高電圧(HV)ブッシング」、「加速器」の調達を担当しています。「1MV電源高圧部」及び「高電圧(HV)ブッシング」については、ITER用の2基分+先行試験施設(NBTF)用の1基分を調達し、ビーム源中の加速器については、ITER用の1基分を日本が調達します。

ITER NBI 平面・立面図

ITER NBI電源の加速電極用電源の一次側電力は、商用電源から欧州調達のコンバーター/インバーターを介して日本調達の高電圧発生部に受電されます。高電圧発生部において、昇圧トランス及び整流器を通して、1段あたり-200kVの直流高電圧が発生します。これを5段直列に接続することで、最大-1MVの高電圧が得られます。フィルターを通してリップルを除去後、絶縁ガスを封入した伝送ラインを通って高電圧の電気が運ばれ、途中でイオン源用の電源電圧、冷却水、運転用のH2/D2ガスが伝送ラインに合流します。それらは、ガス/真空境界を形成するHVブッシングを通して、真空中に配置されるビーム源に供給されます。

ITER NBI電源

ITERのNBIは同構成の2系統で出来ています。NBIの構成は各系統とも、直流高電圧を発生させる直流発生器、発生した高電圧を絶縁ガス中で約100mにわたって伝送する伝送ライン、イオン源用の電源を格納する高電位デッキ1、高電位デッキ1に接地から給電する1MV絶縁変圧器、冷却水・ガスを導入する高電位デッキ2、絶縁ガス雰囲気と真空の境界を形成する高電圧ブッシング、中性粒子ビームを発生させるビーム源+ビームライン、及び各機器の絶縁性能試験用の試験用電源等で構成されます。

NBTF(NB実機試験装置)

ITERの中性粒子ビーム入射はJT-60等従来の機器の中性粒子ビーム入射に比べて、ビームパワーが4倍、パルス幅が36倍と非常に高い性能が要求されています。そのため、ITERに先行してイタリア/パドヴァに中性粒子ビーム入射装置1基分の実スケールモックアップを製作し、実際に日欧調達機器を組合せて機器の統合性能実証試験を行っています。

HVブッシング開発
大口径アルミナセラミックリング
IHVブッシング組立
加速器・HVブッシング試験

直流1 MVの超高電圧を周囲から絶縁するため、6気圧の六フッ化硫黄(SF6)ガス中に加速器を設置しています。

MTFとITERの加速器比較

ITER加速器には、QSTが開発を進めてきた多孔多段型加速器が採用されています。現在、MTFは1 MVの負イオンビーム加速試験ができる世界で唯一の装置であり、ITER加速器と同様の加速器構成(電極間ギャップ、ビーム孔ピッチ)に改良して、ITERの要求性能を満たすビームの生成・加速を実証する研究開発を実施中です。

MeV級加速器の進展

加速器はITERの要求性能達成に向けて、負イオン電流密度とビームエネルギーが着実に上昇しています。低エネルギー領域では300秒のビーム加速を達成し、高エネルギー領域では長時間ビーム加速試験を実施しています。

プレスリリース

QST プレスリリース(平成28年10月12日)

表彰

令和3年度科学技術分野の文部科学大臣表彰
創意工夫功労者賞
令和元年度量研理事長表彰 模範賞
(一社)電気学会,第75回電気学術振興賞(進歩賞)
平成28年度 理事長表彰
平成28年度日本原子力学会北関東支部
若手研究者発表会 最優秀発表賞

論文発表

〇〇〇〇年〇月〇日
  • ---------------------------------