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ITER建設現場における組立作業の加速と成果

 2025年春から夏にかけて、ITER建設現場では複数の重要なマイルストーンが達成され、ITER本体の組立作業は加速の様相を呈しています。

4月10日には、セクターモジュール#7がトカマク組立ピットに搬入されました。
このモジュールは、韓国製の真空容器セクター、欧州連合および日本製のトロイダル磁場コイル、そしてサーマルシールドから構成される複雑なトカマク本体サブセクターです。 前回、2021年から2022年にかけて18か月を要したモジュール#6の組立経験を活かし、モジュール#7はわずか6か月と10日で完成しました。搬入作業も3週間前倒しで実施され、夜間の慎重な操作により、1,350トンの機器が無事に所定位置へ設置されました。

6月には、修理を終えたモジュール#6が再びピットに搬入され、#7と並んで設置されました。
両モジュールは約15cmの間隔を保ちながら配置され、ITERトカマク本体の構造が視覚的にも明確になってきています。 年末までに3体目のモジュールが加わる予定であり、トカマクの約3分の1が完成する見込みです(図1)。

図1 トカマクピット内に設置されたセクターモジュールの一部。年末までに3体目が加わることで、プラズマチャンバーの1/3が完成する予定。(写真:ITER機構提供)

また、ヘリウム冷凍系においても重要な進展がありました。
7月には、トカマク建屋3階に設置された5基の補助冷却ボックス(ACB)がすべてクライオラインと接続され、試験が開始されました。 これらのACBは、クライオプラントから供給される液体ヘリウムを超伝導磁石やクライオポンプへ分配する役割を担っており、ITERの極低温環境を維持するために不可欠な装置です(図2)。

図2 カマク建屋内に設置された5基の補助冷却ボックス。クライオラインとの接続が完了し、試験が開始されている(写真:ITER機構提供)

組立建屋では、330トンのトロイダル磁場コイルを垂直に立てる2機のアップエンディングツールが並列で稼働しており、真空容器セクター#5とTFコイルを組み合わせ、新たなセクターモジュールを構築する作業が進行中です(図3)。

これらの進展は、ITER計画の実現に向けた確かな一歩であり、現場全体に加速感と高揚感をもたらしています。

図3 アセンブリホール上部クレーンレベルからの俯瞰。奥にはトカマク組立ピットが壁越しに見える(写真:ITER機構提供)。

【参考記事】
ITER機構NEWSLINE|Two sector modules side by side in the pit(23 Jun 2025)

2025年6月24日にITER機構が公開した以下の動画では、6月18日に2つ目のサブセクターがトカマクピットに配置される様子がご覧いただけます。

Two sector modules side by side in the pit