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日本が導体を製作した中心ソレノイド(CS)全数の納品が完了

 2026年1月、ITER(国際熱核融合実験炉)の重要な構成機器の一つである中心ソレノイド(Central Solenoid:CS)のスペアモジュールがITER機構に搬入されました。これにより、全7モジュールすべての納品が完了しました(図)。

図 ITER機構に到着した最後のCSモジュール(写真:ITER機構提供)
引用元:ITER NEWSLINE 19 Jan 2026

 中心ソレノイドは、プラズマに電流を流して安定的に制御するための装置であり、ITERの心臓部ともいえる中核機器です。世界最大級の超伝導パルス磁石でもあり、装置の中心に設置されます。6つのモジュールを積み重ねると高さは約18メートルに達します。今回納入されたスペアモジュールは、万一の不具合やスケジュール遅延といったリスクに備えるために製作されたものです。

 中心ソレノイドの製作は国際協力のもとで進められており、日本と米国がそれぞれ重要な役割を担いました。日本は、電流を流すための基幹部品である超伝導導体の製作を100%担当し、完成した導体を米国に輸送しました。米国ではそれを用いてコイルとして巻線・組立が行われ、最終的にITER機構へ納入されています。

 この超伝導導体には、ニオブ・スズ(Nb3Sn)という材料が使用されており、強い磁場(約13テスラ)の中でも約4万アンペアという非常に大きな電流を流すことができます。本導体は、576本の超伝導線と288本の銅線をより合わせ、さらにステンレス鋼の部材で補強した構造となっており、それらを高強度の金属管に収めた「ケーブル・イン・コンジット導体」と呼ばれる形式です。総延長は数十キロメートルにおよび、総重量は約700トンに達します。

 日本は本導体の開発において、ITER運転中に想定される約3万回の電磁力の繰り返しに耐え、性能劣化を防ぐ構造を実現しました。また、製造過程で直面した多くの技術的課題を克服し、安定した量産にも成功しています。導体の製作は2012年に開始され、2018年までにすべて米国へ輸送されました。 今回、中心ソレノイドの全モジュール納品が完了したことにより、日本が担ってきた技術と役割が、実際の装置としてITERに結実したことになります。