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MIケーブルを電子サイクロトロン加熱(ECH)用マイクロ波による過熱から守るための均一薄膜めっき技術

 この度、QSTがITERにおいて調達を進めている中性子計測システムであるマイクロフィッションチェンバー(MFC)のMI(Mineral Insulated:無機絶縁)ケーブル等に対して開発した均一薄膜めっき技術が、一般社団法人機械振興協会主催の第60回機械振興賞『機械振興協会会長賞』を受賞しました。受賞業績名は『硬質線材に対する均一薄膜めっきを可能にした技術(装置及び方法)の開発』です。
授賞式は2026年2月20日に開催されました(図1、2、3)。

図1 2026年2月20日に行われた授賞式にて。左から2番目がITERプロジェクト部計測開発グループ 石川正男上席研究員。

図2 2026年2月20日に行われた授賞式にて。受賞者の皆様との記念撮影。

図3 賞状

 MFCはITER運転時の中性子発生量を測定し、プラズマ出力を評価する重要な計測装置です。真空容器内に設置されるMIケーブルは、プラズマに吸収されず真空容器内を伝搬する電子サイクロトロン加熱(ECH)用マイクロ波による過熱を受ける一方、ディスラプションに伴う誘導電流に起因する強い電磁力を受けます。これらの影響を同時に低減し機器の健全性を維持するためには、MIケーブルのステンレス皮膜上に、膜厚5 ±1µmの高精度で均一な銅めっきを施すことが求められました。しかし、MIケーブルのような硬質線材に対して、この膜厚精度を満たすめっき技術は存在していませんでした。

 この課題に対し、QSTは帝国イオン株式会社(東大阪市)及び株式会社岡崎製作所(神戸市)と共同で開発を進めました。MIケーブルを仕上がり形状(直径約1 mの輪巻き状態)に近い螺旋状に成形した後、円筒状容器内で回転させながらめっき処理を行うことで、均一な銅めっきを施す技術を確立しました。さらに、本技術に加え、ITERの設計の進展により部分的に膜を厚くし熱伝導を向上させ局所的な過剰な熱を逃す必要が生じました。そのため、任意の箇所に任意の厚さの高精度めっきを施す技術も初めて確立しました。加えて、めっき装置を組立式とすることで、遠隔地においても同精度の均一薄膜めっきを実施可能としました(図4、5)。

図4 3Dめっき装置イメージモデル(正面から撮影)

図5 3Dめっき装置イメージモデル(上から撮影)

 本技術は核融合分野にとどまらず、高精度めっきが求められる幅広い分野への波及が期待されています。日米で特許(日本:第6893001号、米国:No.12410536)を取得済みであり、高い独占性と技術的優位性を有しています。
 今回の機械振興賞の受賞は、ITERにおける困難な技術課題を克服するために開発された本技術が、日本の機械産業技術の進歩・発展に大きく貢献するものであることが認められたものです。併せて、QSTと中小企業が連携して創出した産学連携の成果が高く評価されたものです。

参考:一般財団法人 機械振興協会|機械振興賞 受賞者 業績概要詳細

 2026年3月3日、那珂研所内にて受賞報告を行い、所長名宛の賞状と受賞盾を前に記念撮影を行いました(図6、7)。
本成果は、QSTと帝国イオン株式会社、株式会社岡崎製作所との緊密な連携により実現したものであり、関係者一同で受賞の喜びを共有するとともに、今後のITER計画の着実な推進に向けて決意を新たにしました。

図6 所長名宛の賞状を手にする花田磨砂也所長(右)と、ITERプロジェクト部 計測開発グループ 石川正男上席研究員(左)。2026年3月3日撮影。

図7 受賞盾を手にする花田磨砂也所長(右)と石川正男上席研究員(左)。