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世界各国のチームが集結、トリチウムプラント契約が進む

2026年9月21日

 ITER計画において重要な施設であるトリチウムプラントの整備が進む中、第3回トリチウムプラント・サミットが開催され、ITER機構、各国内機関、産業界のパートナー、契約企業などから70名を超える関係者が参加しました。

トリチウムプラント・サミットは、トリチウムプラントの建設を担う国際チームが進捗状況を共有し、プロジェクトが設計段階から製造、据付、試運転へと移行する中で足並みをそろえるための場となっています。

トリチウムプラント・サミットは、トリチウムプラントの建設を担う国際チームが進捗状況を共有し、プロジェクトが設計段階から製造、据付、試運転へと移行する中で足並みをそろえるための場となっています。(写真:ITER機構提供)

 9月15日から18日までITERで開催された今回のサミットに、世界各国から多くの関係者が集まったことは、この施設がITERの使命にとっていかに重要であるかを物語っています。会合には、欧州、日本、韓国、米国の各国内機関の代表者に加え、Agence ITER France(フランスITER機関)や、ITERの建設、統合、許認可を担当するチームの専門家らも参加しました。
さらに、Amentum International、Atkins France、CES Co. Ltd、日揮グローバル(JGC Corporation)など、産業界のパートナーやサプライヤーも加わりました。
「トリチウムの取扱い、処理、回収、およびリサイクルは、フュージョン開発における大きな技術的課題の一つです。このサミットは、プロジェクトに関わるすべての関係者が一堂に会し、こうした課題について前進するための機会となっています」と、トリチウムプラント・プロジェクトリーダーのイアン・ボネット氏は述べました。
「今年のサミットは、契約が締結される段階までプロジェクトが成熟してきたという点で、特に重要でした。サプライヤーも参加し、それぞれの経験を共有するとともに、共通する課題について議論することで、新たな領域を切り開き、問題を共に解決することができました」
重水素とトリチウムの混合物は、将来の商用フュージョン発電所で採用される燃料として最も有望視されています。ITERはその前段階として、初期の研究運転に続く実証実験でこの燃料を使用する予定です。

トリチウムは自然界にほとんど存在しないため、その安全な取扱い、回収、再利用、そして将来的には核融合炉内での生産(増殖)技術の確立が、フュージョンエネルギー実用化に向けた極めて重要な課題となっています。

ITERのトリチウムプラントでは、トリチウムの受入れ、貯蔵、処理を行うとともに、他のガスから分離して燃料サイクル内で再利用します。また、ITERのテストブランケットモジュール(TBM)計画では、リチウムを原燃料としてトリチウムを増殖させる技術の実証試験 が行われます。

7階建てのITERトリチウム建屋には、トカマク排気処理システムや水素同位体除去システムなどの設備が設置されます。

7階建てのITERトリチウム建屋には、トカマク排気処理システムや水素同位体除去システムなどの設備が設置されます。このプラントでは、トリチウムの保持量を管理し、安全な閉じ込め機能を確保するとともに、排気ガスの混合物を処理し、さまざまな供給源からトリチウムを回収することで、ITERの研究計画を支えます。(写真提供:ITER機構)

 トリチウムプラント・サミットは、これまで2023年と2024年にも開催されてきました。 前回のサミット以降、ITER計画は大きな進展を遂げており、トリチウムプラントの開発を取り巻く状況も大きく変化しています。

真空容器とサーマルシールドの修復作業が完了し、現在では6基のセクターモジュールがトカマクピットへ据え付けられています。また、主要なプラントシステムでは試運転が始まっており、クライオプラント、冷却水システム、磁石電源変換システム、中性粒子入射加熱装置の電源設備などの主要施設が、試運転フェーズへと移行しています。

トリチウムプラントのプロジェクトでは、すべてのシステムが最終設計段階に到達し、大きなマイルストーンを迎えました。
最初のコンポーネントの製作・据付も進んでおり、特に水タンクや配管ネットワークなど、先行して設置される設備については、製作から据付へと移行しています。これは、設計フェーズから実際の製造・納入フェーズへ移行する重要な転換点となります。

今回のサミットでは、各チームがそれぞれの担当範囲について進捗を報告するとともに、次の納入段階に向けた計画について議論しました。この段階で使用される設備の搬入は、現在2028年に予定されています。

各プロジェクトの進捗
•欧州国内機関「Fusion for Energy(F4E)」:同位体分離システムと水トリチウム除去システムに関する新たなエンジニアリングの枠組みを紹介しました。同位体分離システムでは、精製された水素同位体ガスを受け入れ、重水素とトリチウムを分離します。また、水トリチウム除去システムでは、トリチウム水からトリチウムを回収し、燃料供給系へ戻します。
•韓国国内機関:主要な貯蔵・供給システムに関する契約が締結されたことが報告されました。
•米国国内機関:トカマク排気処理システムのグローブボックスに関する進捗が報告されました。この設備は、真空容器からの排気を受け入れ、水素同位体から不純物を分離するものです。また、調達期間の長い機器の調達状況についても説明がありました。
•日本国内機関:トカマク建屋の水素同位体除去システム中央処理プラントの詳細設計に関する契約締結について報告しました。

トリチウムプラント・サミットの一環として、参加者は組立ホールを見学し、トカマク組立の進展を確認しました。写真左側の治具には、年内にトカマクピットへ搬入予定の7基目のセクターモジュールが、右側には2027年初頭に搬入予定の8基目のセクターモジュールが見えています。

トリチウムプラント・サミットの一環として、参加者は組立ホールを見学し、トカマク組立の進展を確認しました。写真左側の治具には、年内にトカマクピットへ搬入予定の7基目のセクターモジュールが、右側には2027年初頭に搬入予定の8基目のセクターモジュールが見えています。(写真提供:ITER機構)

 今回のサミットを通じて繰り返し取り上げられたテーマの一つが、標準化と、機器の資格化における連携の重要性でした。 参加者は、バルブや計装機器などのコンポーネントを対象とした資格化プログラムで得られた経験を共有し、国際的なプロジェクト全体で一貫性を高め、重複を排除して、専門的な知識や技術をより有効に活用する機会について議論しました。
また、各国の国内機関から主要な調達活動の進捗が報告されたほか、エンジニアリングパートナーからは、主要技術の設計成熟化、試作、および性能実証に関する成果を発表されました。これらの活動は、システムが製作・据付へと移行する中で、技術面、製造面、スケジュール面でのリスクを低減することを目的としています。
ボネット氏は、今回のサミットで得られた進展について、次のように締めくくりました。
「一つのチームとして協力し続けることで、これらの課題を乗り越え、安全かつ効率的にトリチウムプラントを完成させることができると確信しています」

ITERのトリチウムプラントについて詳しく知りたい方は、イアン・ボネット氏が解説するITER Talksの動画 をご覧ください。

【引用元】
ITER機構サイト ITER NEWSLINE|Tritium Plant Summit
Teams from around the world meet as tritium plant contracts advance
(21 Sep 2026)