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IAEA総会、フュージョンエネルギーの進展と国際協力を議論

2026年9月21日

 「フュージョンエネルギーは、IAEAが発足した当初から、その活動の一部となってきました」。先週ウィーンで開催された会議に集まった代表者を前に、国際原子力機関(IAEA)のラファエル・マリアーノ・グロッシ事務局長はこのように語りました。また、「フュージョンは着実に進展しており、勢いを増しています」と付け加えました。

2026年9月14日、3,000人が現地参加する中、第70回IAEA総会が開幕しました。

2026年9月14日、3,000人が現地参加する中、第70回IAEA総会が開幕しました。(写真:ITER機構提供)

 フュージョンの存在感が高まる中、その分野の発展における国際協力の重要性は、9月14日から18日まで開催された 第70回IAEA総会 を通じて繰り返し示されたテーマとなりました。 ITERは会期を通じて総会に参加し、ITER計画の最近の進展を報告するとともに、世界で最も複雑な科学施設の一つを建設する中で得られた知見を共有し、拡大を続けるフュージョンエネルギー分野の、広範な関係者との連携を強化しました。
 IAEA総会は、IAEAにおける主要な年次政策決定の場です。1957年以来、毎年開催されており、IAEAの181の加盟国の代表に加え、国際機関や非政府組織が参加します。今年の総会には、3,000人を超える参加者が現地で出席しました。
 ITERにとって今回の参加は、ITER計画の起源にまでさかのぼるIAEAとの関係を反映したものでもありました。
「ITER協力の初期段階はIAEAの後援の下で進められ、IAEA事務局長はITER協定の寄託者を務めています」と、ITER機構コミュニケーション部長のディープティ・チョウベイ氏は、総会への声明の中で代表者に改めて指摘しました。「また、この総会には、持続的なコミットメントによってITERを可能にしている国々が一堂に会しています」
 チョウベイ氏は、ITERの進展について報告するとともに、ITERを通じて蓄積された知識を世界各国のフュージョンプログラムに役立てという、計画の使命において重要性を増しているもう一つの側面を強調しました。
「私たちはフュージョン分野の急速な成長を歓迎するとともに、積極的に関与しています」と同氏は述べました。民間企業や他の公的なフュージョンプログラムとの協力を通じて、ITERは技術文書、得られた知見、運用経験を共有するとともに、モデリングツールや科学活動へのアクセスを拡大し、専門家同士の交流や技術協力の機会を創出しています。
「私たちの目的は明確です。ITERを通じて生み出された知識が、より広範なフュージョン分野全体の進展を加速させる一助となることにあります」

9月16日(水)、ITER機構を代表して声明を発表したITER機構コミュニケーション部長のディープティ・チョウベイ氏は、ITERの運転開始に向けた準備の中で得られた知見が、すでにフュージョン分野に役立っていることを強調しました。

9月16日(水)、ITER機構を代表して声明を発表したITER機構コミュニケーション部長のディープティ・チョウベイ氏は、ITERの運転開始に向けた準備の中で得られた知見が、すでにフュージョン分野に役立っていることを強調しました。(写真提供:ITER機構)

 この方針は、9月14日に開催された総会のサイドイベントでも改めて示されました。同イベントには、ピエトロ・バラバスキITER機構長が参加し、ITERの設計、建設、統合から得られつつある知見について議論しました。
 世界各地のフュージョンプログラムが、科学研究から、より野心的な実証プロジェクトへと移行する中で、この分野が直面する課題も広がっています。 フュージョンの科学的実現可能性を確立することは依然として不変の基盤ですが、将来のプロジェクトでは、エンジニアリング、建設、システム統合、産業生産、プロジェクト遂行といった実務上の課題にも克服していく必要があります。

 今回の議論では、複雑なシステム間のインターフェースの管理から、産業能力や国際的なサプライチェーンの構築まで、ITERの経験がこれらの分野に何をもたらすことができるかに焦点が当てられました。 また、フュージョンが科学から技術開発、そして将来的な導入へと進展する中で、IAEAが加盟国間で経験を蓄積し、普及させる役割についても強調されました。
 このテーマは、グロッシ事務局長の開会挨拶とも呼応するものでした。IAEAは約70年にわたり、フュージョン研究者が研究の進展を共有するための会議や出版物を提供してきました。
グロッシ事務局長は、フュージョン分野が新たな段階に入る中で、「研究、開発、実証、導入」を加速させる上で、新たな分野からの参画も重要になると述べました。

「国際的なフュージョン研究プロジェクトから得られる技術的知見」をテーマとした関連イベントで、ピエトロ・バラバスキITER機構長は、ITERの設計・建設から得られた実践的な経験や知見を紹介し、他のプロジェクトにも応用可能な実務上の課題について説明しました。

「国際的なフュージョン研究プロジェクトから得られる技術的知見」をテーマとした関連イベントで、ピエトロ・バラバスキITER機構長は、ITERの設計・建設から得られた実践的な経験や知見を紹介し、他のプロジェクトにも応用可能な実務上の課題について説明しました。(写真提供:ITER機構)

 その目的に向けて、グロッシ事務局長は 11月12日にウィーンで、「IAEA世界フュージョンエネルギー・グループ」の第3回ハイレベル会合 を招集します。
この会合にはフュージョン分野のさまざまな関係者が集まり、研究、開発、実証、そして導入をどのように加速させるかについて議論する予定です。
ITERの継続的な重要性は、ユーラトム(欧州原子力共同体)を代表して発表された声明でも強調されました。声明では、フュージョンを「次なるフロンティア」、ITERをユーラトムのフュージョン研究の「礎」と表現しています。
「ITERを通じて構築された知識と産業基盤は、EUの将来の発電所の開発に不可欠となるでしょう」と声明では述べられました。また、ユーラトムの声明では、フュージョンプログラムの進展に伴って、より明確になりつつある幅広い課題についても言及されました。欧州委員会は、民間部門の参加や研究・技術開発を支援するとともに、フュージョンに特化した規制枠組みの選択肢を模索する、EU初のフュージョン戦略の策定を進めています。
 さらに、規制に関する勧告、技術基準や規格、人材育成、知識管理についても取り組みが進められています。ユーラトムは総会において、公的資金による科学研究と民間部門との強固な連携が、さらなる進展の鍵になると述べました。また、技術的課題への対応、安全基準の策定、次世代のフュージョン研究者・技術者の育成において、IAEAとの協力も引き続き重要になるとしています。

会期中の一連の活動は、相互のつながりを強めるフュージョン分野の状況を浮き彫りにしました。
バラバスキ機構長は、知見を共有するセッションへの参加に加え、IAEAのグロッシ事務局長と会談し、ITER加盟極の代表者とも個別会談を行いました。これらの会談では、ITER計画の進展や、フュージョン分野全体の発展について意見が交わされました。また、ITER機構は、中国フュージョンエネルギー社(China Fusion Energy Co., Ltd.)との間で、フュージョン科学における共同研究の強化を目的とする覚書(MoU)に署名しました。

 このほかの関連イベントでも、フュージョン技術における国際連携の必要性をはじめ、分野特有の規制要件の策定、されには拡大を続ける同分野を支える人材確保の課題に焦点を当てた議論が展開されました。 一連の活動全体を通じて、フュージョン分野がより広範で多様なものへと進化している現状が示されました。そこには大規模な公的研究プログラムや新興の民間企業、産業界、規制当局、そして国際機関にいたるまで、多種多様な関係者が名を連ねています。
※2026年9月14日、東ティモールは国際原子力機関(IAEA)の182番目の加盟国として承認されました。

個別会談を終え、記念撮影に応じるITER機構のピエトロ・バラバスキ機構長(左)とIAEAのラファエル・グロッシ事務局長(右)。両機関の緊密な連携はITER計画の発足当初まで遡ります。

個別会談を終え、記念撮影に応じるITER機構のピエトロ・バラバスキ機構長(左)とIAEAのラファエル・グロッシ事務局長(右)。両機関の緊密な連携はITER計画の発足当初まで遡ります。(© IAEA Images)

Women in Fusion(info@womeninfusion.org)が、今後拡大するフュージョン(核融合)分野で必要となる人材の育成という課題について、イベントを開催します。

Women in Fusion(info@womeninfusion.org)が、今後拡大するフュージョン(核融合)分野で必要となる人材の育成という課題について、イベントを開催します。(写真提供:ITER機構)

Women in Fusionは、拡大するフュージョン分野で必要となる人材の育成をテーマとしたイベントを開催しました。

Women in Fusionは、拡大するフュージョン分野で必要となる人材の育成をテーマとしたイベントを開催しました。(写真提供:ITER機構)

ITERブースにて、専門家が総会参加者にITER計画の最新の進展を紹介するとともに、科学的・技術的な目標について意見を交わしました。また、国際的なフュージョン分野の広範な関係者が交流する場としても活用され、今では恒例となった「トカマクドーナツ」も登場しました。

ITERブースにて、専門家が総会参加者にITER計画の最新の進展を紹介するとともに、科学的・技術的な目標について意見を交わしました。また、国際的なフュージョン分野の広範な関係者が交流する場としても活用され、今では恒例となった「トカマクドーナツ」も登場しました。(写真提供:ITER機構)

ウィーンにある総会会場、IAEA本部(写真提供:ITER機構)。

ウィーンにある総会会場、IAEA本部(写真提供:ITER機構)

【引用元】
ITER機構サイト ITER NEWSLINE|IAEA General Conference
"Fusion is gathering momentum"
(21 Sep 2026)