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ダイバータ 世界各地から、一つの組立ラインへ

数十年にわたる設計、技術実証、製作を経て、ITERダイバータは
新たな段階―統合(インテグレーション)―へと移行しつつあります。

2026年6月15日

今年後半に実施される最初の統合試験に向けて、開梱されたばかりの日本が製作したダイバータターゲット試作機は、EUが製作した試作カセットボディに組み込まれる予定です。
これらの試作機器を用いて統合試験でその工程を一つずつ確認することで、サイト内の設備、人員および作業手順の妥当性を確認します。(写真提供:ITER機構)

 中国・秦山のダイバータ統合施設では、すでに準備が整っています。クリーンルームは稼働を開始し、空気ろ過システムも運転中です。研磨された床面には、開梱作業が進められているさまざまなダイバータ機器が並べられています。

現時点で作業場に置かれているのは、今年後半に実施される最初の統合作業において、工程やツールの検証に使用される試作機です。しかし、その一方で、世界各地のサプライヤーから量産機器の搬入もすでに始まっています。長年にわたる開発と製作を経て、ITERダイバータ計画は新たな章―統合―へと進もうとしています。

20年近くにわたりITERダイバータ計画に携わってきたITERの技術者 Laurent Ferrand氏は、これを「わくわくするような新しい段階」と表現しています。

「これまで個別に開発が進められてきた機器は、いよいよその組立と統合へと目を向ける段階に入りました。これにより、ITER本体へのダイバータ据付に向けたカウントダウンを始めることができます。まさに新しい段階に入ったと感じています。」

ITER機構は国際入札を経て、2024年12月、Southwestern Institute of Physics(SWIP)を代表とするコンソーシアムとダイバータ統合契約を締結しました。

倉庫、作業場、クリーンルームなどの専用施設は5月に正式に開所され、ITER機構のダイバータチームに加え、ダイバータ製作を担当する国内機関である欧州(カセットボディおよび内側垂直ターゲット)、日本(外側垂直ターゲット)、ロシア(ドーム)の代表者が出席しました。(ページ下部の図を参照)

ダイバータは真空容器の底部に据付られる機器であり、ITERの中で最も高い表面熱負荷にさらされます。
その役割は二つあります。一つは、プラズマ対向機器から熱を安全に除熱すること、もう一つは、プラズマを冷却し性能を低下させる不純物やヘリウム灰(ヘリウムアッシュ)を排気することです。(画像提供:ITER機構)

 Ferrand氏によると、ダイバータカセット組立の設計上の多様性は、統合における主要な課題の一つとなります。 各カセットには3つのプラズマ対向ターゲットが取り付けられるだけでなく、計測装置や制御用計装装置も統合する必要があります。
「二つとして全く同じダイバータカセットは存在しない、と言っても過言ではありません。」とFerrand氏は語ります。

「58台のダイバータカセット(本体用54台と予備4台)は、計測機器搭載カセット、標準カセット、そして独自設計の『下部垂直中性子カメラ』カセットという三つの大きなカテゴリーに分類できます。しかし、そのカテゴリーの中でも、冷却配管の接続方法や計測機器・計装装置の配置には違いがあります。これが統合チームにとって大きな課題に直面する事になります。」

さらに、それぞれのダイバータカセットはITER真空容器底部の決められた位置に据え付けられるため、相互に入れ替えることはできません。そのため、一つのカセット組立に遅れが生じれば、ITERにおけるダイバータ据付スケジュール全体に影響を及ぼすことになります。

統合作業開始前の現在進められている作業の一つが、ダイバータ統合に必要な専用ツールの設計、調達および認定です。これには、ターゲットを極めて高い精度で位置決めできるロボット式吊り上げ装置、専用のスウェージングシステム、そして専用溶接装置が含まれます。 (スウェージングとは、円錐形の部材を穴に通して引き抜くことにより、熱や切削を用いることなく二つの部品を接合する技術です。)

試作カセットボディの「ナックル」部分で機能試験が行われています。今年は試作機の組立が中心となりますが、量産初号機の搬入も始まっています。日本からはすでに2基の外側垂直ターゲットが納入されており、最初のドーム、内側垂直ターゲットおよびカセットボディも、今年後半から2027年初頭にかけて到着する予定です。(写真提供:ITER機構)

 統合作業が本格化すると、1,400平方メートルのクリーンルームには2本の生産ラインが設けられます。

Ferrand氏は、ITERの同僚であるRuth Garcia Vilela氏およびPeng Liu氏とともに、秦山のチームとの緊密な連携を図りながら、ダイバータ統合に必要な機器が必要な時期に統合施設へ確実に搬入されるよう調整を行います。
先月の施設開所式では、試作ダイバータ機器の開梱が製作を担当する国内機関の立会いのもとで行われ、寸法確認試験、機能試験および外観検査の第一段階が実施されました。

「5月の会合は、三つの国内機関が長年にわたりサプライチェーンを構築し、技術と製造プロセスの認定に取り組んできた成果を確認する機会となりました。」とFerrand氏は語ります。

コンソーシアムには、中国核電工程有限公司(CNPE)および中国核工業第二十三建設有限公司(CNI23)が参加しています。ダイバータの統合および工場受入試験は、中国・秦山にあるCNI23の施設で実施されています。

先月行われた施設開所式では、ITER機構のダイバータチーム、ダイバータ製作を担当する国内機関の代表者、そしてSWIPコンソーシアムのメンバーが集合写真に収まりました。左から6人目がLaurent Ferrand氏。
左から3・4人目が日本国内機関の代表です。(写真提供:ITER機構)

【引用元】
ITER機構サイト ITER NEWSLINE|
Divertor From around the world to one assembly line (15 Jun 2026)