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第3回官民融合ワークショップ、対話深化へ

2024年以降、ITER機構は官民融合ワークショップを3回開催してきました。核融合エネルギーを取り巻く環境が急速に変化するなか、各回は異なる観点からこの流れを浮き彫りにしてきました。最新のワークショップでは技術課題とブレークスルーに焦点が当てられ、商用化の加速には強固な官民連携が不可欠であるとの認識が一層広がっていることが示されました。

2026年5月4日

ITER機構による第3回ワークショップでは、技術革新と実用化を加速する官民連携に焦点が当てられた。
(写真提供:ITER機構)

 2024年以降、ITER機構は官民融合ワークショップを3回開催してきました。核融合エネルギーを取り巻く環境が急速に変化するなか、各回は異なる観点からこの流れを浮き彫りにしてきました。最新のワークショップでは技術課題とブレークスルーに焦点が当てられ、商用化の加速には強固な官民連携が不可欠であるとの認識が一層広がっていることが示されました。

 第3回官民核融合ワークショップ(2026年4月27日~30日)には、民間企業や研究機関、サプライヤー、業界団体、投資家、NGOなどから約300名が参加し、南フランスのITERサイトに集まりました。
 今年のプログラムは「技術」を中心に、長年の課題に対するイノベーションの活用やその展開、さらにITERの経験から得られる知見について議論が行われました。
「Fusion: A Joint Quest(フュージョン:共通の挑戦)」を掲げ、ワークショップでは2日間にわたり、パネルディスカッションや分科会、ネットワーキング、ITER専門家との直接交流が行われました。さらに後半の2日間にはサイト見学が実施され、大型の部品搬送ロボット(通称「ゴジラ」)の稼働や、ITERマグネット低温試験施設での重要マイルストーン(クライオスタット閉鎖)など、プロジェクトの最前線を間近で体感できる貴重な機会が提供されました。

 ITER機構のピエトロ・バラバスキ機構長は開会挨拶で、次のように述べました。 「この対話を継続できていることを大変嬉しく思います。私たちはITERプロジェクトの遂行にとどまらず、民間セクターを支援し、フュージョンエネルギーの実現加速にも貢献していきたいと考えています。ITERの技術的経験は、皆様にとって大いに役立つものになると確信しています。」
(機構長インタビューは こちら

ITER建設・組立の経験に基づくプロジェクトマネジメントのセッションには多くの参加者が集まり、会場は満席となりました。(写真提供:ITER機構)

 冒頭パネルでは、核融合産業協会(Fusion Industry Association)のEU渉外部長オルガ・バカルジエヴァ氏が、急速に進化するフュージョンエネルギー分野の現状を紹介しました。同分野では少なくとも5,000人が雇用されており、サプライチェーン全体では約1万人規模に広がっています。さらに、民間投資は100億ドルを超えています。

 同氏は「これは一時的なブームではなく、持続的な成長の流れです。フュージョンエネルギーはエネルギー安全保障や戦略的自立の議論においても重要性を増しており、各国政府は『どれだけ早く実現できるか』を問い始めています」と述べました。

 欧州核融合協会(European Fusion Association)を代表するベルナール・ブラン氏は、長期的で一貫した政策の重要性を強調しました。同協会は欧州の60社が参加し、産業界の声を束ねています。
「欧州にはすでに十分な産業基盤があります。今問われているのは、それをいかに活用するかです。持続的な投資には、政府からの明確で一貫した長期的方針が欠かせません。」

 2日目には、官民連携のベストプラクティスや商用核融合へのロードマップに関するセッションが行われ、共通認識は明確でした。核融合の可能性は社会全体で広く認識されつつあり、各国政府は国家研究機関、民間企業、大学、研究機関を組み合わせた戦略を積極的に推進しています。日本では、日本核融合産業協議会(J-Fusion)の坂口政嗣氏が説明したように、保険、金融、エネルギー、物流といった分野の企業も巻き込み、「核融合エネルギーの社会実装に向けた準備」を進めています。

【核融合版XPRIZEの可能性】
Breakthrough Energy Venturesのフィル・ラロシェル氏は第3回ワークショップで、核融合版XPRIZE構想を紹介しました。民間宇宙開発や気候技術分野で実績のある賞にならい、核融合分野でも投資と関心を喚起することを狙いとしています。この構想は現在検討段階にあり、同氏は賞の対象となる重要な工学課題の選定に向け、コミュニティの協力を呼びかけました。「XPRIZEの強みは、革新的技術が想像以上に早く実現すると世界に示すことです。核融合はグローバルな競争ですが、誰が成功してもその成果は人類全体に利益をもたらします。」

 数十年にわたる核融合炉の設計・建設に取り組んできたITER機構は、自らを「ファシリテーター」と位置付けています。ワークショップを立ち上げ当初から主導してきた首席戦略顧問レイバン・コブレンツ氏は次のように述べています。
「ITERは、官と民のフュージョンエネルギー分野がどのように補完しあえるかを理解しています。私たちは、残された課題の解決を促進する存在でありたいと考えています。」

 また、2024年および2025年のワークショップなどを通じた対話により、ITERの知見共有の仕組みも整備されてきました。現在では、「民間セクター連携プロジェクト(Private Sector Fusion Engagement Project)」が設けられ、問い合わせを一元的に受け付けています。
詳細は 専用ページ「Private Sector Fusion Engagement Project」 をご参照ください。

 最後に、バカルジエヴァ氏は次のように締めくくりました。
「フュージョンエネルギーはもはや“可能性を示す段階”ではなく、“必要とされるものを実現する段階”に入っています。」

【引用元】
ITER機構サイト ITER NEWSLINE|
3rd Public-Private Fusion Workshop The conversation deepens (4 May 2026)