ITER真空容器に関する重要な規制判断
フュージョンエネルギーに目的適合型の規制アプローチを後押し
2026年4月20日
2026年4月14日、フランス原子力安全・放射線防護機関(ASNR)は、ITER真空容器をフランスおよび欧州の圧力機器に関する規制の適用対象から除外するとのITER機構の要請を承認しました。この決定は、ITERトカマクの真空容器設計が冷却材圧力ではなく電磁力によって支配されていることを正式に認めたものであり、トカマク型フュージョンエネルギー装置に適した制度的枠組みの構築に向けた重要な前進となります。
(写真提供:ITER機構)
ITERの真空容器は、プラズマの第一閉じ込めを担うとともに、プラズマの安定化、ブランケットおよびダイバータの支持といった機能を果たす大型金属構造物です。その機械設計は主として電磁荷重に基づいており、二重壁構造内を流れる冷却材に起因する圧力荷重は比較的小さく、構造寸法を決定づける要因とはなっていません。
ITER計画の初期段階では、真空容器は、欧州圧力機器指令をフランス法に取り込んだ制度の下で「原子力圧力機器(ESPN)」として分類されていました。しかし今回ASNRは、圧力が主要な設計要因となる従来型原子炉を前提としたこうした分類は、フュージョンエネルギー装置には適切ではないとの判断を示しました。
ピエトロ・バラバスキITER機構長は、次のように述べています。
「この変更は、ITER計画を適切なスケジュールで前進させるうえで非常に重要であると同時に、製作や溶接時に許容される最大欠陥サイズの指針を含め、トカマク型磁場閉じ込めフュージョンエネルギー装置に適した技術基準の確立にも寄与するものです。高い品質と安全性の確保を前提としつつ、要求事項の一貫性と妥当性を確保することができます。」
なお、ITER真空容器は引き続き、フランスの原子力施設に適用される法的枠組みの下で「安全上重要な保護機器(PIC)」として位置付けられます。そのため、設計、製作、運転中検査およびフォローアップについては、今後も原子力安全に関する枠組みの下で、ASNRによる確認と管理が行われます。一方で、適用される技術要件および品質管理プログラムは、真空容器の特性を適切に反映した内容へと調整されます。
今回の決定は、フュージョンエネルギー施設に目的適合型の規制の枠組みおよび技術基準を構築することを目的として、ITER機構とASNRの間で継続的かつ建設的に行われてきた技術的対話の成果でもあります。
ITER安全・品質部長のジル・ペリエ氏は、「今回の非常に前向きな判断を受け、現在、圧力機器指令に基づく製造からの移行を進めています。最優先事項は、ITER真空容器に関する更新された技術基準およびフォローアップ体制を定義し、ASNRに提出することです」と述べています。
【引用元】
ITER機構サイト ITER NEWSLINE|
Key ruling on ITER vessel strengthens fit-for-purpose fusion regulatory approach (20 Apr 2026 )