セクターモジュールの安定を支える仮設補強構造
ブレースツールの役割
2026年4月13日
1,300トンにも及ぶセクターモジュールを組立治具からトカマクピットへ吊り上げて移送する前に、すべての構成要素は、動いたり衝突したりしないよう完全に固定されていなければなりません。そこで重要な役割を果たすのが、ブレースツールシステムです。
吊り上げ作業中、セクターモジュールを構成する個々の機器を安全かつ安定した状態に保つブレースツール。写真に写っているのは、インボード・ジョービーム(真空容器の内側に設置され、内部構造を一時的に安定させる仮設補強部材)で、移設後に撤去するのが最も難しい部材の一つ。(写真提供:ITER機構)
まるで巨大なジェンガのような作業の末、セクターモジュール#7の吊り上げ作業中に安全性と安定性を確保していたブレースツールは、トカマクピット内から無事に切り離され、撤去されました。
ITERのプラズマチャンバーは、9基のセクターモジュールで構成されています。各セクターモジュールは、真空容器セクター1基、トロイダル磁場コイル2基、真空容器熱遮蔽パネルから成り立っています。コイルと真空容器セクターは、組立段階では治具上で一体として扱われますが、トカマクピット内ではそれぞれ独立して機能するため、恒久的に接続されることはありません。代わりに、吊り上げ作業中に発生する揺れによって機器同士が接触し損傷するのを防ぐため、一連の仮設ブレースが取り付けられ、厳密な位置関係と間隔が保たれます。
「各コンポーネントは重心の位置が異なりますが、ブレースツールによって適切な間隔を維持しながら、吊り上げ中のバランスを良好に保つことができます」と語るのは、ITER 組立・据付エンジニアのパブロ・ガルシア・サンチェス氏です。
「またトカマクピットに設置された後も、正式に重力支持構造へ“着座”し、安定化クランプに固定されるまでの間、万が一の地震が発生した場合でも、機器に損傷が及ばないようブレースツールが保護の役割を果たします」
ブレースツールは、クレーンによる搬送中、個々のコンポーネントが半径方向およびトロイダル方向に動くのを防ぐ。(写真提供:ITER機構)
ブレースツールは、セクターモジュールの上部、中間面、下部に取り付けられます。ブレース自体が非常に大きく重いため、取り付け作業は数週間に及ぶ工程として進められます。 しかし、真の難関はその後に待っています。足場、レール、ホイスト、カウンターウェイト付き吊り具などを使用し、トカマクピットという非常に限られた空間から、据え付け済みのセクターモジュールに接続されたブレースツールを切り離し、クレーンで搬出する必要があります。中でも最もアクセスが難しいのが、ダイバーターレベルの安定化のため、真空容器セクターの内側に取り付けられているインボード・ジョービームです。この部材は、極めて狭いクリアランスの中を通り、慎重に誘導しながらモジュール外へと搬出されます。
グレゴワール・ドーミー氏が、セクターモジュール#7から“ジェンガ”のように取り外される前の、ダイバーターレベル安定化用ブレースツールを点検している様子。(写真提供:ITER機構)
「この最終段階は特に複雑で、すべてが正確な位置決めにかかっています」と語るのは、ITER 組立コーディネーターのグレゴワール・ドーミー氏です。
「ブレースツールを取り外すための足場の位置がほんの数ミリでもずれてしまうと、インボード・ジョービームが通過できなくなってしまうのです」
ブレースツールの撤去は不可欠な工程です。セクターモジュールがトロイダル磁場コイルに接続されたままでは、真空容器の荷重を重力支持構造へ移すことができません。
セクターモジュール#6は、2026年1月に、トカマクピット内で初めてブレースツールの切り離しと撤去が完了しました。セクターモジュール#7については、2026年4月13日(月)に最後のブレースが取り外されました。チームは今後、セクターモジュール#5のブレースツール撤去作業へと移ります。
セクターモジュールが組立治具上にある段階で取り付けられる中間面ブレース(左)と、トカマクピットへの移設後に取り外される様子(右)。(写真提供:ITER機構)
【引用元】
ITER機構サイト ITER NEWSLINE|
Sector modules Holding steady (13 Apr 2026 )