English
トップページ  >  ITER機構(IO)の活動  >  ITER建設サイトの状況  >  ベローズの設置 柔軟に動くための準備

ベローズの設置 可動性にそなえて

トカマク建屋でのベローズ設置に向けた準備が進んでいます。
ポートセルで最初の溶接作業が完了し、カスタム設計された設置用ツールも現在ITERへ向けて輸送中です。

2026年4月7日

インドで工場受入試験に合格したベローズの輸送・起立・位置合わせ用トロリーは、現在ITERへ向けて海上輸送されています。(写真提供:ITER機構)

 ITER装置は、ミリ以下の精度で機器が配置され、限られた空間で全ての部品がぴたりと収まるよう綿密な技術仕様が求められる、極めて高精度な装置です。しかし同時に、この装置は「動く」ことを前提に設計されています。

プラズマ運転時の熱膨張、トカマク建屋の自然沈下、軽微な地震活動などにより、真空容器は上下左右に最大2.5センチの微細な動きを見せます。この動きを周辺システムや建屋コンクリート壁との間で吸収する役割を担うのが、ITERのベローズシステムです。

「ベローズは、装置が“呼吸”できるようにしてくれます」と、ポートおよびベローズ設置プロジェクトを統括するセバスチャン・コクゾロフスキ ITER副プログラムマネージャーは説明します。「数ミリから数センチの動きが発生しますが、ベローズが構造を柔軟にして、こうした負荷に適応させてくれます。」

左:計測用中性粒子ビームラインおよび加熱用中性粒子ビームラインがトカマクに入射する位置には、円形ベローズ(赤矢印)が設置。
右:プラズマ容器とクライオスタットの間の相対的な動きを吸収するポートダクトベローズ、および、クライオスタットとトカマク建屋の間の動きを吸収するポートセクトベローズの2種の角形ベローズ。(写真提供:ITER機構)

 ベローズには角形と円形の2種類があります。

角形のポートセルベローズは、クライオスタット上部・下部シリンダーとトカマク建屋を接続し、構造的な動きや地震活動に対応します。また、角形のポートダクトベローズは、真空容器とクライオスタット内壁の間に設置され、運転中に発生する熱膨張や機械的負荷を吸収します。これらの角形ベローズは約4m × 4m × 1m、重量は最大4トンに達します。

円形ベローズは、計測用及び加熱用の中性粒子ビームラインがトカマクへ入射する箇所に設置されます。角形ベローズと同様、円形ベローズもクライオスタットと建屋、あるいはクライオスタットと真空容器の間の相対的な動きを吸収します。

 ITERでは、円形ベローズ8基、角形ベローズ85基の合計93基を使用します。すべて中国で製造され、現在すでに約20基がITERに到着し保管されています。

IITERエンジニアのエレナ・ロディージャ氏、Larsen & Toubro社のラジクマール・スワルカ氏、ITER機械組立プログラムマネージャーのイェンス・ライヒ氏、そして機械組立副部長のセバスチャン・コチョロフスキー氏が、ベローズ設置に向けた最初の溶接作業を見守っている。(写真提供:ITER機構)

 ベローズの設置は、2024年に締結された契約に基づき、インドのLarsen & Toubro社が担当しています。同社は ITERクライオスタットの製造 を手がけた経験があり、関連部品とのインターフェースを熟知していることが大きな強みとなります。

 最近、プロジェクトにおける2つの重要なマイルストーンが達成されました。
まず、ベローズを溶接位置に正確にセットするためのカスタム設計ツールが工場受入試験に合格し、インドのハジラで実施されたモックアップ試験でも良好な結果を収めました。この遠隔操作ツール(ベローズ輸送・規律・位置合わせトロリー)は、Larsen & Toubro社がTata Consultancy ServicesとITER設計者カルステン・フリーデル氏の協力を得て開発したもので、トカマク建屋の狭いギャラリーやポートセル内を走行できるよう設計されています。交換式インターフェースにより、さまざまな形状や固定フレームのベローズに対応できます。ツールは5月初旬にマルセイユ・フォス港へ到着する予定です。

「モックアップ試験は順調で、プロジェクト全体も良い進捗を見せています」と、ITERトカマク組立エンジニアでありプロジェクトの副技術責任者を務めるニルバイ・ナイク氏は述べています。「このツールの完成により、スケジュールどおり、場合によってはさらに早く設置作業を進められる可能性があります。ポートおよびベローズプロジェクトにとって大きな前進です。」

巨大な角形ベローズは、約4×4×1メートルの大きさで、重量は最大4トン。ITER構内に保管されているベローズの一部を、ITERエンジニアのニルバイ・ナイク氏が確認しています。大型の木箱には2基、小型の箱には1基のベローズが収納されている。(写真提供:ITER機構)

 一方、3月31日(火)には、トカマクピットB1レベルの最初の埋説プレート角部ジョイントの溶接が完了し、最初のポートセルでのベローズ設置に向けて道が開かれました。これらの角部ジョイントが完成したことで、5月末から6月初旬にはベローズの本格的な設置作業が開始できる見込みです。

初期フェーズでは、トカマク建屋B1レベルの下部ベローズの設置が行われ、作業期間は約1年を見込んでいます。その他のベローズは、全てのセクターモジュールがピットに据え付けられ、真空容器の溶接が始まった後に設置されます。第2フェーズとなるこれら上部・中段ベローズの設置開始目標は2028年です。

また、赤道(L1)および上部(L2)レベルのベローズは、わずかな垂直方向のオフセットと水平方向の予備張力を与えた状態で設置されます。これは、運転時に真空容器が熱膨張することでベローズがポートセルが水平に整合し、正常状態へと戻るように設計されたものです。

【引用元】
ITER機構サイト ITER NEWSLINE|
Getting ready to flex (7 Apr 2026)