第31回ITER理事会が開催
2022年11月16日、17日に現地とオンラインによるハイブリッド形式で第31回ITER理事会が開催しました(図1)。
図1 第31回ITER理事会の様子(写真提供:ITER機構)
新しく就任されたピエトロ・バラバスキ機構長は、ITER機構と国内機関による機器の納入、現地での据付・組立活動を成功に導くため最善の努力を反映したITER計画の進捗報告を行いました。また、ITER計画の評価を開始し、さらなる対処が必要ないくつかの分野を同定しました。ITER 理事会では、以下についての報告・議論が行われました。
- 理事会は、現地及び加盟極の施設における物理的進捗の継続に、感謝しつつ留意しました。
- つい最近のポロイダル磁場コイル1号機の出荷を含む、現在進行中の世界初の機器の製作と納入
- ファーストプラズマに必要なすべての磁石電力変換器の据付と、冷凍施設や冷却水プラントのサブシステムの試運転を含む、現在進行中のプラント支援システムの据付
- トリチウム建屋、制御建屋、及び中性粒子ビーム施設の土木作業の大幅な進捗を含む、現在進行中の現地の建設作業
- 理事会は、世界初の機器に関連するいくつかの懸念に対応する必要性に留意しました。特に、主要機器の最近の分析結果から、大幅な修理が必要なことが明らかとなりました。理事会は、機構長に対し、これらの不具合の影響を評価し、必要な修理作業をできるだけ早く開始するよう指示しました。さらに理事会は、ITER機構と国内機関に対し、このような問題の再発を防ぐため、共同して計画全体に適切な品質文化を醸成するよう指示しました。
- 理事会は、フランスの規制当局である原子力安全局(ASN)からの残された質問に対処するための現在進行中の努力について留意しました。理事会は、これらの課題に効果的に対応するため、技術的に正しく透明性のあるASNとのコミュニケーションを確かなものにするという機構長の意思を歓迎し、この問題の進捗を緊密に報告し続けるよう要請しました。
- 理事会は、包括的な評価と是正計画の確立の後に、ベースラインを更新するという機構長の勧告を受け入れました。これらのアクションを成功裏に遂行することにより、ITER機構は建設を完了するまでの新しいタイムラインとコストの確実な見積もりを行うことができると言えます。
- 理事会メンバーは、ITERの使命の価値に対する強い信念を再確認し、ITERの成功を促進させるため、タイムリーな課題解決のために協力することを決意しました。理事会は、ITER計画が接している現在進行中のプレッシャーに留意し、全ての加盟極に対し、建設、据付、組立戦略を実行するために、物納及び現金貢献を行うよう奨励しました。
図2 第31回ITER理事会の様子(写真提供:ITER機構)