ITERブランケット遠隔保守システムにおけるビークルマニピュレータのケーブル送給機構の開発
2024年12月18日~20日に開催されたSI2024 第25回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会(FDR2024)において、ITERプロジェクト部遠隔保守機器開発グループ 伊藤智之主幹技術員他5名が「ITERブランケット遠隔保守システムにおけるビークルマニピュレータのケーブル送給機構の開発」で優秀講演表彰を受賞いたしました。
図1 受賞者(下段左から 兒玉宗一郎、伊藤智之主幹技術員、永山勝也、上段左から野口悠人主幹研究員、武田信和グループリーダー、伊藤 幸弘)
ITER遠隔保守システムを支える技術:ブランケット遠隔保守システムとその役割
ITERの真空容器内には、エネルギー吸収・遮蔽などの役割を担うブランケットモジュールが設置されています。これらは放射化や劣化により、一定期間ごとに遠隔での保守交換が必要になります。その作業を担うのが、ブランケット遠隔保守システム(図2)。真空容器内に敷かれた軌道上を大型マニピュレータが走行し、モジュールを把持・運搬します。
図2 ITERブランケット遠隔保守システムと大型マニピュレータ
ケーブル送給機構とは?
大型マニピュレータには、電力や制御信号を送るためのケーブル接続が必須です。マニピュレータが動くと同時に、ケーブルも追従して送り出される必要があり、これを行うのがケーブル送給機構です(図2)。
•ケーブルは真空容器ポート内に設置されたドラムに巻かれた状態から送り出されます。
•張力やたるみを自動で調整しながら、プーリーとガイドを経由してマニピュレータに到達します。
•複雑な動きにも対応できるよう、検出・制御技術が求められます。
図3 ケーブル送給機構・軌道・大型マニピュレータの関係
開発と成果
一連の開発では、ケーブルドラムから大型マニピュレータに至る経路上の構成機器を考慮した、ケーブル状態の検出方法の有効性を理論計算及び模擬試験装置で確認しました。これにより、実機のケーブル送給機構や制御の仕様を明確にすることができました。今後は、模擬試験装置を実機と同じ構成に改造し、制御仕様を組み込んだ上でケーブル送給制御の自動化を図ります。
今後の展望
ITERのような高度に統合されたシステムでは、ひとつひとつの部品の信頼性が全体の成功を左右します。遠隔保守機器開発グループは、ケーブル送給機構の開発を通じて、ITERにおける保守活動に貢献していきます。
参考URL:SI2024 優秀講演表彰