受賞者紹介 < 吉川允二記念核融合エネルギー奨励賞 < ホーム

募集案内 English

吉川允二記念核融合エネルギー奨励賞

2021年度吉川允二記念核融合エネルギー奨励賞

吉川允二記念核融合エネルギー奨励賞は、ITER計画や幅広いアプローチ(BA)活動などに代表される核融合エネルギーの実現に寄与しうる国内外の研究・技術開発活動、調査活動、社会連携・貢献活動等の中で、若手人材による優れた成果を顕彰するものです。下記の活動分野、

①ITERやBAに直接関わる研究・技術開発活動など
②上記以外で核融合エネルギーの実現に必要な研究・技術開発活動、または将来これらの研究・技術開発に寄与すると見込まれる基礎的・基盤的な研究・技術開発活動など
③長期的な視野に立って核融合エネルギーの実用化や核融合を応用したエネルギー環境問題の解決に向けたシナリオ作成に寄与する調査研究活動など
④核融合エネルギーや関連する研究、開発、利用、実用化、安全性評価に関する社会との連携・貢献、教育、広報、啓発活動など

に対し、2021年度は、5件の応募がありました(分野①:1件、分野②:4件)。選考委員会において厳正な審査を行い、調整委員会は授賞候補3件(分野①:1件、分野②:2件)を推薦することとし、運営会議で優秀賞2件と奨励賞1件が決定されました。

2021年度の選考委員は次の方々です(敬称略)。

南 貴司(委員長、京都大学)、笠田 竜太(東北大学)、近藤 正聡(東京工業大学)、増﨑 貴(核融合科学研究所)、坂本 隆一(核融合科学研究所)、矢木 雅敏(量子科学技術研究開発機構)以上6名

受賞者の紹介

優秀賞

小川 国大 氏(核融合科学研究所)

受賞テーマ:

「核燃焼プラズマ診断のための高性能中性子計測の研究開発」

選考理由:

小川氏は、これまで核融合プラズマ分野では未開拓の領域であった核燃焼プラズマ研究、運転に必須である中性子計測器を、最先端デジタル処理技術を用いることにより高い性能で開発することに成功した。さらに同氏は開発した計測器を用い、LHD実験装置の中性子発生分布を取得しヘリカル捕捉粒子の径方向分布などを可視化することに成功、さらにヘリカル装置においてアルファ粒子閉じ込めを世界で初めて実証するなど多くの研究成果を挙げた。ITERの核燃焼実験を始めJT-60SA、IFIMIF(LIPAc)、KSTAR、EAST等への貢献も高く評価でき、優秀賞に値すると判断した。

小川 国大 氏

優秀賞 
小川 国大 氏


受賞者の抱負:

この度は、吉川允二記念核融合エネルギー奨励賞を頂戴し、大変光栄に思っています。本受賞は、国内外の共同研究者の皆様のご支援の賜物と思っております。受賞対象となった、「核燃焼プラズマ診断のための高性能中性子計測の研究開発」は、今まさに開かれようとしている核燃焼プラズマ研究時代におけるプラズマ診断の基軸の役割を担う計測器の研究開発として位置付けられます。引き続き、BA活動の下行われているJT-60SA及びIFMIF/EVEDA原型加速器、並びにITER及び核融合炉の実現に向けた課題へ、精一杯取り組んで参りたいと考えております。この様な素晴らしい賞を頂戴したことは、暖かい激励とこれからへの期待が込められているものだと思い、気持ちを引き締めております。これまで蓄えた知見・経験を最大限に生かし、核融合炉で求められる中性子計測の研究開発及びそれを用いた高エネルギー粒子閉じ込め研究の推進を行うと共に、人材育成にも励み、これからの当該研究分野を牽引したいと考えています。 皆様の期待に応えるためにも、これからも精進して参ります。今後ともご指導賜りたく、宜しくお願い申し上げます。


優秀賞

小林 達哉 氏(核融合科学研究所)

受賞テーマ:

「閉じ込め改善プラズマに見られる同位体効果の定式化と背景物理の解明」

選考理由:

小林氏は、これまで明らかになっていない、磁場閉じ込めプラズマの閉じ込め性能における同位体効果の物理機構を明らかにする研究を行ってきた。核融合科学研究所のLHD装置において、内部輸送障壁形成に同位体効果が存在することをITB強度などの独自の指標を導入することにより世界で初めて明らかにした。研究成果はインパクトファクターの高いジャーナル誌において公表され高い評価を受けている。また同氏は電場形成や乱流の直接計測による同位体効果の物理機構解明を目指しており、今後の研究に期待が持てる。さらに今後ITERプロジェクトへ一連の研究成果が展開されることも高く評価し、優秀賞に値すると判断した。

小林 達哉 氏

優秀賞 
小林 達哉 氏


受賞者の抱負:

この度は栄誉ある賞を賜りまして誠にありがとうございます。本研究は、LHD重水素実験で得られたデータをもとに、プラズマ閉じ込めの水素同位体効果の背景物理を明らかにしたものです。本成果を得るに当たり、ご協力くださった多くの共同研究者の方々と、LHDの重水素運転に関わってくださった全ての方々に深く感謝申し上げます。授賞式は、フルリモートではありますが、私の出身でもある九州大学応用力学研究所の共催です。誉れ高い賞で母校に錦を飾ることができ、大変光栄に思います。学生時代から熱心で暖かな研究指導を賜りました故伊藤早苗先生をはじめ多くの先生方に、この場を借りて感謝を申し上げたいと思います。核融合発電システムの実現のためには、非平衡性・非線形性の強い炉心プラズマの基礎物理研究を、これまで以上に強く進めていくことが必要です。特に、プラズマの衝突周波数が下がり、プラズマの粒子性が顕著になる領域における乱流の実験研究は未開拓です。核融合開発に役立ち、学術的にも興味深いこのような研究をリードしていく研究者となるため、今後とも精進して参りたいと思います。より一層のご指導、ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。


奨励賞

宮澤 健 氏(東北大学)

受賞テーマ:

「核融合ダイバータ設計に資する先進タングステン合金の中性子照射脆化耐性に関する研究」

選考理由:

宮澤氏は、核融合炉ダイバータへの適用が期待される先進タングステン合金へ中性子照射を行い、高温中性子照射による強度特性変化に及ぼすKやReの添加の影響に関する重要な知見を得た。この中で、先進タングステン合金圧延材においては照射硬化が生じるものの、延性の低下が見られないという照射脆化抑制効果を確認し、機構論的な解析を進めた。先進タングステン合金はダイバータの構造強度健全性の向上と設計・運転条件の裕度を拡大させることが期待されるため、核融合エネルギーの早期実現に寄与する成果であると評価し、奨励賞に値すると判断した。

宮澤健 氏

奨励賞 
宮澤 健 氏


受賞者の抱負:

この度は、吉川允二記念核融合エネルギー奨励賞という栄誉ある賞を頂きまして誠に有難う御座います。日米科学技術協力事業核融合分野(PHENIX計画など)を通じてご協力を頂いた国内外の共同研究者の方々にこの場をお借りして感謝申し上げます。タングステン(W)の靭性が低い理由はその粒界結合強度が低いためであり、核融合炉ダイバータ用に高靭性のW合金を開発するためには微細粒層状組織によって照射脆化を抑制できる可能性に着目し、W合金の基本的な添加元素であるカリウム(K)とレニウム(Re)がW合金の再結晶耐性を向上させることを明らかにしました。また、W合金圧延材の中性子照射データを取得するため、米国オークリッジ国立研究所(ORNL)に長期滞在し、現地の研究者、技術者との調整のもと、照射後試験計画の策定および試験データの取得を自ら行いました。この結果、核融合条件に比較的近い中性子スペクトルで照射したW合金圧延材の再結晶耐性と耐中性子照射耐性(照射後の機械的特性)に係るデータを世界で初めて取得しました。これにより、これまでWをダイバータに適用する上で最大の課題であった照射脆化を結晶粒制御により解決できることを実証しました。今後は、W合金圧延材の中性子照射による高靭性化メカニズムを原子レベルの微細組織で明らかにし、Wと同族元素であるモリブテン(Mo)基などの高融点金属材料に水平展開可能な材料強化手法として他分野への応用性も含めて研究を発展させて参りたいと存じております。今後ともご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。


過去の受賞者紹介

| 2021 | 2020 | 2019 | 2018 | 2017 | 2016 | 2015 | 2014 | 2013 | 2012 | 2011 | 2010 | 2009 | 2008 | 2007 |