ITER Award受賞記念盾(レプリカ)の贈呈
核融合実験炉ITERの最重要機器の一つであるトロイダル磁場コイル(TFコイル)は2023年11月までに全数の製作及びITER機構への納入が完了しました。この成功は産業界とQSTから成るプロジェクトチームの成果であるとして、ピエトロ・バラバスキITER機構長より「トロイダル磁場(TF)コイルの機器調達への貢献」を祝してITER Awardを受賞しました。協力いただいた企業の方々にITER Award 受賞記念盾(レプリカ)を贈呈しました。
図1 ITER Award授賞式(写真提供:ITER機構)
以下の企業の方々(50音順)以外にも本当に多くの関係者がオールジャパンチームとして多くの無理難題を解決し、優れた技術と厳しい品質管理に加えて、長年の関係者の情熱により(当初はSF(サイエンス・フィクション)とも言われた)ITER TFコイルの技術を確立し、ITER機構への納入を完遂しました。※企業名をクリックするとホームページに移動します。
ITER トロイダル磁場コイルの開発
ITER TFコイルは高さ 16.5m、幅 9.2m、重量 310トンの巨大な超伝導コイルであり、磁場 11.8Tを作る電流 68kAを流すNb3Sn導体を用いた巻線部と直線側で6万トンに及ぶ巨大な電磁力を支持するため構造物から構成され、ITERの骨格を形成する最重要機器の一つです。その磁気エネルギーは41GJに及び、世界最大の超伝導マグネットシステムです。
1988年~2001年に設計活動(CDA及びEDA)が行われ、その研究開発の中で超伝導導体及びコイル構造の性能検証が行われました。2007年にITER協定が発効され、製作に最も時間の掛かるTFコイルは、2008年に調達取決めを締結し、実規模R&Dの後、2013年から製作を開始しました。
その製作では、
1)巨大な電磁力に耐える超伝導導体の開発、
2)数mmの精度が要求される巨大構造物の製作技術、
3)耐放射線性電気絶縁材料と含浸技術、
4)高性能なプラズマを閉じ込めるための超高精度組立技術の開発
など、実現性が困難だという指摘を受けた多くの無理難題を解決し、日本が調達責任を有する全9機のTFコイルの製作及びITER機構への納入を完遂しました。
図2 ITER TFコイルの構造
図3 日本からITER機構に引き渡されるTFコイル最終号機
図4 トカマクの所定位置に組み付けられたTFコイル初号機と2号機
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■ITER Japan News 第110号|
ITER Award 2023受賞-トロイダル磁場(TF)コイルの機器調達への貢献-
協力いただいた企業の方々に
ITER Award 受賞記念盾(レプリカ)を贈呈
MHI NSエンジニアリング株式会社 様
Primetals Technologies Japan 株式会社 様
金属技研株式会社 様
株式会社弘電社 様
お知らせ|ITER Awardが贈られました
株式会社 神戸製鋼所 様
株式会社コベルコ溶接ソリューション 様
昌立工業株式会社 様
株式会社神溶 様
双日マシナリー株式会社 様
千代田検査工業株式会社 様
東芝エネルギーシステムズ株式会社 様
日東シンコー株式会社 様
日東シンコー株式会社 様/昌立工業株式会社 様(集合写真)
日本包装工事株式会社 様
藤本精工株式会社 様
三菱重工業株式会社 様
三菱電機株式会社 様
菱神テクニカ株式会社 様
ロジスティード株式会社 様
ニュースリリース|ITER機構よりITER Awardを受賞
~核融合実験炉ITERプロジェクトに貢献~