ITER Award 2023受賞
-トロイダル磁場(TF)コイルの機器調達への貢献-
ITER Award 2023を受賞したITER TFコイル プロジェクトチームに対する授与式を、2023年12月21日に那珂研究所で行いました。受賞者に対して、量子エネルギー部門の石田真一部門長から盾が授与されました。
受賞した内容は以下の通りです。
・業績名:トロイダル磁場(TF)コイルの機器調達への貢献
・受賞者:ITER TFコイル プロジェクトチーム
(欧州と共同で、量研、三菱重工業(株)、三菱電機(株)、東芝エネルギーシステムズ(株)など多くの研究機関、企業の研究者、技術者から構成されるITER TFコイル プロジェクトチーム)
石田部門長(右)より盾を受け取る辺見グループリーダー
那珂研での授与式に参加した受賞者
(上段左から、清水辰也、川崎勉、井上多加志ITERプロジェクト部部長、杉本誠副所長、正木圭グループリーダー、諏訪友音主任研究員、田中信彦、宇野康弘。下段左から、馬場貴志協力研究員、濱田一弥グループリーダー、竹林圭哉技術員、中本美緒主幹技術員、中平昌隆ITERプロジェクト部次長、辺見努グループリーダー、櫻井武尊主任研究員、河野勝己技術統括、阪本和幸)
なお、フランス駐在や異動などの理由で授与式に参加いただくことができませんでしたが、本当に多くの方がITER TFコイル プロジェクトチームに参加し、多大な貢献をされました。
この賞は、ITER計画に多大な貢献をしたチームを褒賞するもので、ITER機構及び各極職員の投票により選出されます。2023年12月4日、ITER機構において、ピエトロ・バラバスキITER機構長より、ITER TFコイル プロジェクトチームが「トロイダル磁場(TF)コイルの機器調達への貢献」でITER Award 2023を受賞しました。
ITER Award 2023授賞式(写真提供:ITER機構)
ITER Awardの授賞盾
ITER トロイダル磁場コイルの開発
核融合実験炉ITER(イーター)計画では、量子科学技術研究開発機構(量研)はITER日本国内機関として、我が国が調達責任を有する9機のトロイダル磁場(TF)コイルを担当している。ITER TFコイルは、これまでに前例のない世界最大(高さ16.5m、幅9.2m、総重量310トン)のNb3Sn(ニオブ・スズ)超伝導コイルである。
TFコイルの製作は、110トンの巻線部をインボード(直線側)で6万トンの電磁力に耐えるため、極低温用ステンレス鋼製の構造物に収め、隙間を樹脂で含浸することで、巻線部と構造物を一体化し、コイルの最終機械加工を経て、完了となる。巻線部は7枚のダブル・パンケーキを積層し、対地絶縁を樹脂で含浸して製作される。それぞれのダブル・パンケーキはD型に巻いた超伝導導体を超伝導体を生成する熱処理を実施した後、ラジアルプレートと呼ばれる溝付きのステンレス板に絶縁した導体を挿入し、ダブル・パンケーキの周りに絶縁を巻いて樹脂を含浸して製作される。(図1)
図1 ITER TFコイルの構造
ITER TFコイルは、巨大な超伝導コイルであるにもかかわらず、高性能なプラズマを閉じ込めるため、インボード(直線側)で電流中心を直径2.6mmの円筒の中に収めることが要求されるとともに、高性能なNb3Sn超伝導導体の開発、6万トンを超える巨大な電磁力を支える構造物の開発、耐放射線性電気絶縁技術の開発など数多くの技術的な困難を乗り越えて、達成したものである。
2023年11月にTFコイル最終号機がITER建設サイトに到着し、受入時のチェックを実施した後、量研からITER機構に引き渡した(図2)。これにより、ITER TFコイルの調達取決めが署名された2008年から15年間に及ぶ全ての作業が完了することとなり、ITER TFコイルの製作を完遂した。これは、日本の技術力を結集し、徹底した品質管理に加えて、三菱重工業(株)、三菱電機(株)、東芝エネルギーシステムズ(株)など多くの研究機関、企業の研究者、技術者の核融合エネルギーに対する情熱と継続的な努力によって、無理とも言われた厳しい要求を達成して、完遂したものである。
図2-1 量研からITER機構に引き渡されるTFコイル最終号機
図2-2 量研からITER機構に引き渡されるTFコイル最終号機
図3 トカマクの所定位置に組み付けられたTFコイル初号機と2号機
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「TFコイル製作を振り返って(印象的だったエピソード、今だから話せる苦労話等)一言お願いします」
石田 真一
量子エネルギー部門 部門長
ITER Award 2023の受賞、本当におめでとうございます。
ITER建設における最大の難関のひとつとされた超伝導トロイダル磁場コイルの製作に対する長年にわたる努力が、ついに名誉ある受賞として輝かしい形に昇華されましたことを大変喜ばしく思います。この受賞は、ワンチームとなって力を結集させることが核融合を支える源泉であることを示す証であるとともに、次の段階に向けた新たなモーメンタムを生み出し、産業界の核融合への参画を促進させる原動力となるでしょう。長い間、惜しみない努力と情熱を持ってこの研究に取り組んでこられた研究者、技術者、そしてそれを支えた事務方の皆様に感謝申し上げます。フュージョンエネルギーの実現にはこれからもまだまだ道のりは長いですが、今後の一層のチャレンジと成功を心より期待しております。
2023年5月、永岡桂子文部科学大臣がITER機構をご視察された。後列左から三番目に石田部門長。右は日本から納品されたTFコイル。
杉本 誠
ITER日本国内機関長
調達取決めは2008年11月に署名し、正式にTFコイルの調達に着手した。最初の3年間は試作して、その後実機TFコイルの製作を始めた。毎日がスリリングでした。そんな日々を15年過ごしていたことになる。その間、東日本大震災での被災もなんとか皆で乗り越えた。このときには米国から支援があり、助けられた。彼らの支援にも感謝したい。
2020年1月30日 トロイダル磁場コイル初号機完成披露式典
(写真提供:三菱重工㈱)
2023年2月21日 TFコイル最終機完成記念式典
(写真提供:東芝エネルギーシステムズ㈱)
辺見 努
当時の担当
ITER機構TFコイル技術責任者(TRO)
2007年に入構してから、TFコイルの調達取決めの締結からはじまり、15年間、TFコイルを担当しました。当初は、数々の非常に厳しい要求があり、無理だと言われたこともありますが、メーカーの方々、ITER機構や欧州極内機関と協力して技術課題をひとつずつ解決していくことで、日本が担当する9機のTFコイルの製作を完遂することができました。本当に多くの方々の核融合に対する情熱と15年間の継続的な努力によって達成できた関係者全員の成果だと感じています。
新型コロナが猛威を振るう中、2020年4月にITER建設サイトでTFコイル初号機を受け入れました。フランスは外出禁止だったため、特別な許可を受け、TFコイルの受入れ作業を行いました。受け入れたTFコイルの前で、多くの人の思いがこのコイルに注がれていることを心に刻み、これを組み立てて核融合を実現すると気持ちを新たにしたことを思い出します。
ITER建設サイトで組立作業中のTFコイル初号機(奥)と2号機(手前)
中平 昌隆
当時の担当
TFコイル構造物 技術責任者(TRO) (2013~2019)
TFコイル 技術責任者 (TRO) (2019~2023)
2013年にITER機構から戻り、TFコイルおよび構造物の調達に携わりました。以来ちょうど10年間調達活動に邁進し、今年全数の納入を終えたこと、感無量です。「プロジェクトとは何ぞや」というところから始まり、連日、日中はメーカー、夕方から深夜まではITER機構と設計調整し、ITER機構にもメーカーさんと共に乗り込んで公差緩和や検査要領、部分溶け込み溶接の承認などの調整をしました。製作時には工場に泊まり込むことや、時には出張延長などもして、現場に張り付き、メーカーさんたちと一緒に苦労して製作してきました。
工程の調整も苦労の連続で、ITER機構からは常時TFコイルの納入を催促されるなか突然納入順を変更されたり、F4Eからも構造物の催促が常にあったもののある日突然工程を後ろ倒しに調整させられたり、コロナで船が捕まらなくて遅れの説明をし続けたり、日々状況の変化に対応する必要がありました。もちろんそんな変更に乗じて、工場での製作遅れを上手く調整できるようなことも多々ありました。
輸送についても、船舶火災、台風による梱包の破損、コロナの影響で運賃の2倍以上の高騰や海上輸送の遅れなどなど、多くのトラブルを乗り越えてきました。
いろいろ経験させていただき、自分自身大きく成長できた10年間だったと思います。何とかやり切れたのは、多くの優秀な仲間や先輩たちから協力頂けたからです。関係者には深く感謝申し上げます。
中本 美緒
当時の担当
TFコイル巻線部製作+一体化製作
一体化製作は実機大の試作も実施できておらず、要領の詳細化にかなり苦労しました。製作メーカーさんと密に打ち合わせを行い議論をする中でチームとして一つにまとまることができたと感じています。TFコイルの巻線部を構造物に挿入する際、高さ9m、100トンものD型構造が、直線部を下にした状態でほんとに自立するんだな、と感動しました(下図)。先輩研究者やベテランの技術者の方々からは多くをご指導いただき、感謝しています。
井口 将秀
当時の担当
TFコイル構造物制作+TFコイル輸送
構造物をD型に組み立てて最終検査をしますが、1機目の検査のときにITER TFコイルの大きさを実体験し、すごいものを造ったものだと関係者一同で喜んだのを今でも思い出します。一機目ができたからといって残りが簡単にできるわけでもなく、1機目以上にメーカーさんに出張していた記憶があります。あれは辛かった。。。
コイルの輸送では、包括輸送という新しい契約体系で遂行する必要があり、技術だけでなく、契約関連で管理のみなさんに本当に助けられました。こういう大型プロジェクトは、技術だけではダメで、管理の皆さんの協力あってのものなんだと、強く実感しました。すべてのコイルが無事に ITER建設サイトに届いて本当に良かったです。
梶谷 秀樹
当時の担当
TFコイル巻線部
TFコイルRP、CP
TFコイル構造物
技術責任者(TRO)
(2020~2022)
TFコイル一体化(TSB)
2011年に入所以来、TFコイル開発に携わってきました。入所間もない頃は導体部及び接続部の性能評価に苦心し、次には巻線部の製作担当、構造物の技術責任者、そしてこれらの一体化作業に従事してきました。製作当時は苦労の連続、問題の連続で、年末年始を工場で過ごすこともありましたが、今となっては良い思い出です(真冬の深夜の工場で食べたカップラーメンの味は忘れることはできません笑)。そんなTFコイルが全数完了したことは本当に感無量です。TFコイル製作で得た知見を、次の原型炉、そして実用炉の超伝導コイル開発に活かしていきたいと思います。
2021年11月、TFコイル構造物EU08の艀(はしけ)積み
泊瀬川 晋
当時の担当
TFコイル一体化
IOサイト受け入れ
社会人としてファーストキャリアの業務にITER TFコイルの製作を担当しました。高性能なプラズマを実現するため、磁場精度を確保する手法を提案し、それが採用されて国際的にも高く評価されたことは、TFコイルの製作に貢献できたことを実際に実感できる機会でした。時には厳しい議論もありましたが、関わった方々と共著の論文を執筆できたことを誇りに思います。
濱田 一弥
当時の担当
ITER機構TFコイル
グループリーダー
TFコイルは同じように見えて、いくつかの種類があり、他のコイルとの取り合い部分の寸法が異なります。ITER機構に居た時に、メーカーから提出された図面をチェックしたのですが、ITERの要求仕様の図面とメーカーの作成した図面の構成や表記が全く異なるので、仕様通りかどうかチェックすることに苦労したことが懐かしいです。少しでもTFコイルの実現に貢献できたことに感謝しています。
ITER建設サイト 組立建屋内で作業中のTFコイル
櫻井 武尊
当時の担当
TFコイル構造物
TFコイル構造物の初号機は、ITER機構や共同受賞した欧州の注目度も高く、全員が納得できる検査内容の調整に苦労しました。二号機以降も必ずと言っていい程トラブルが発生し、製作難易度の高さと品質維持の難しさが身に染みました。TFコイルで得た経験を活かし、今後も核融合発電実現に向け貢献していきたいと思います。関係各位に心より御礼申し上げます。
巨大なTFコイルのスチール加工の精度はミリ単位と非常に厳しい
河野 勝己
当時の担当
TF導体、QA、実機TF導体極低温性能確認試験
2009年から模擬導体、実機TF導体製作を担当。導体品質検査においては、導体溶接部の漏れ試験圧力について0.2MPa実施予定であったが、ITER機構から3.0MPaでの実施を要求され部分的ヘリウム加圧装置を改良し、動作実証、導体製作メーカーへの技術移転したことがもう14年前。
東日本大震災被災後で米国からの支援も頂いて、装置の復旧、実機TF導体での性能確認試験(導体の劣化が確認される結果ではありましたが)も何とか乗り越えられて、みんなに助けられ いろいろと学ばせて頂いたプロジェクトでした。
サブセクター組立ツールに一時的に配置されるTFコイル2機
諏訪 友音
当時の担当
TF導体、TFコイル、QA、輸送
2013年に入所し、導体製作から始まりTFコイル製作までの一連の製作に携わってきました。導体の性能劣化やコイルの厳しい要求などをクリアして、TFコイルの製作を完遂したことは皆さんの努力の賜物だと感じています。ITER TFコイルの製作は終わりですが、今後は世界的に原型炉や実用化に向けての小型核融合炉開発も進められていくため、今回の製作で得られた知見が核融合の発展にいかされていくことを期待しています。
2021年11月、TFコイルJA07の台船積み
正木 圭
当時の担当
コイル構造物の製作+IOサイト受け入れ
大型構造物でのミリ単位での製作に成功したのも、製作メーカーとチーム全員の努力の賜物です。また、コイルが一機ずつ製作完了し、フランスのITER建設サイトに順次納入される様を間近で見られたのは貴重な経験でした。余談ですが、メーカサイトでITER機構職員とともに完成検査を実施したのですが、お昼に毎日こってりラーメンを食べて胃もたれしたことが忘れられません。
初めてTFコイル初号機が立ち上がった際の記念写真
田中 信彦
当時の担当
TFコイル/構造物製作、設計・製造・非破壊検査技術支援
足掛け10年にわたって本プロジェクトに従事できたことを光栄に思うとともに、多々お世話いただいた関係者の皆様に感謝いたします。また、今回の受賞においては、製作に携わった多くのメーカー、広い職種のたくさんの方々と一緒に、喜びを分かち合いたいと思います。本当にお疲れ様でした。
阪本 和幸
当時の担当
TFコイル構造物(MHI分)
TFコイル一体化
TFコイル輸送治具、梱包
TFコイルをITER建設サイトまで輸送するための治具や梱包も主な担当業務でした。設計、製作段階での種々問題点や輸送途中でのトラブル対応等、心労も多かったですが、全てのTFコイルが無事にITER建設サイトまで到着したことに安堵しております。関係者の皆さんのご尽力に敬意を表します。
ITER機構から提示を受けたTF13号機の陸送時の写真は芸術的で感動でした。
髙野 克敏
当時の担当
TFコイルRP、CP
TFコイル構造物
TFコイル一体化
高強度、高靭性を合わせ持つ材料開発、溶接欠陥の無い溶接ワイヤの開発、高精度な組み立て精度を達成するための高出力レーザ溶接の適用、高精度、高能率な機械加工技術など、開発を開始した当時は、どの技術においても、実現が厳しいと見込まれていた製作技術でした。本当にできるの?と疑心暗鬼になった時もありましたが、企業、大学を始め、核融合界に携る全ての皆様と共に、艱難辛苦を乗り越え、技術開発を進めてきた結果、どれをとってもTFコイルの製作に欠かせない主要技術の技術開発に成功し、TFコイルの製作を実現した時は感慨もひとしおでした。正にTFコイルは最先端技術、英知が集結した結晶そのものと思います。関係者の皆様には心より御礼申し上げます。
日本が製作を担当するEU調達分のTFコイル構造物(全10機分)も製作が完了し、2022年にEUチームの元へ到着しました。
清水 辰也
当時の担当
解析全般
TFコイルの構造解析や電磁気解析等を担当しました。製作段階でトラブルがあると、次々に新たな解析を要求され、馬車馬のように働きました。解析用に高性能なワークステーションを用意してもらった際は「これで3倍の結果が出せるね」とか、「いつ結果が出るの?」と圧力をかけられたことも良い思い出です。
実際、張り詰めた緊張感の連続で、プロジェクトXの雰囲気でしたね。
2021年3月 トロイダル磁場コイル(TF#8)輸送の様子
堤 史明
当時の担当
工程担当、TF導体製作
TFコイル構造物(MHI,HHI)
TFコイル一体化(TSB)
PA調印前の工程担当から始まり、TF導体製作を担当、その後、TF構造物(MHI:内側)と(HHI:外側)担当、最後はTFコイル一体化(TSB)を担当し、様々な方と出会い、仕事の進め方、打合せの仕方、考える力、予知する力、失敗を成功へと繋げる力、コミュニケーション力、遊び方など、いろんなことを学ばせていただいたプロジェクトでした。
ここまでのプロジェクトに従事できることは、もうないだろうと寂しく思うのですが、思い返せばプレッシャーとの闘いの日々。
ようやく全てのTFコイルが完成し、感既深くなっている今日この頃です。
そして、じいちゃんになったら、孫たちにITERに携わった者として自慢する。
2019年4月8日 欧州委員会ガリバ局長が神戸造船所二見工場を視察された。
後ろにTFコイル構造物(写真提供:三菱重工㈱)
宇野 康弘
TFコイル調達という一つの大きなプロジェクトが完遂し、いよいよ終わってしまうのだという寂しさはありますが、一連の調達業務に携われたことを誇りに思います。
2021年3月 トロイダル磁場コイル(TF#8)輸送の様子
後藤 誠
当時の担当
TFコイル巻線部
CS導体
TFコイル・構造物のQA
2012~2018年の期間で、QAを担当させて頂きました。当方は、調達品のQA業務では、前職では、長く自動化ラインで製造され大量に社会で消費される民生品を対象に、統計管理の手法と信頼性試験、監査による品質保証を常としてきましたが、当業務における、主に手動による一品製作物の品質保証や民間とは異なる原子力分野の商習慣、時間軸に、当初、大きな戸惑いがありました。しかしながら、周囲の専門家の方々の助言や示唆を得ながら、共通言語であるISO9001をベースに受注者監査の実施、現場駐在、不具合品の対応等を通し、要求水準の品質確保に貢献できていたとすれば幸いです。多くの事を学ばせて頂いた忘れ得ない仕事となりました。有難う御座いました。
2017年12月撮影 TFコイル構造物(コイルケース)
佐藤 和義
当時の担当
TFコイル構造物の輸送
TFコイル構造物の輸送に携わり、韓国からイタリアへの最初の案件を担当しました。ロジから始まり、船がついた後の天候に左右され、自身も右往左往したのはいい思い出です。その後フランスに着任し、帰国する予定がコロナ禍で延期され、最初のTFコイルを現地にて受け取る羽目になりました。ロックダウン中にこのためだけに当時のITER機構長がレターを書いてくれ、それを携えて無人の高速道路を走り、サイトにてTFコイルの実物を見た時は感慨深いものがありました。昨年最後のTFコイルの輸送にも立会い、何故か私の行くところにTFコイルの輸送がついて回った気がしています。関係各位に深く感謝致します、これからも宜しくお願いします。
2020年4月 日本から旅立ったTFコイル初号機は
約1ヶ月の船旅を経てフランスに到着しました。
関 秀一
このような大きなプロジェクトの中での試験で、コイルの計測やヘリウム液化冷凍運転に少しでも携われたことを嬉しく思います。東日本大震災では天井からの落下物等が奇跡的に各主要装置にあたらず致命傷がなかったため復旧でき、なんとか超伝導コイル試験の装置運転をみんなでやったこと等を思い出します。本当に素晴らしい人達が沢山いる最高のグループだと思いますし、最後の完成まで成し遂げた皆さんは本当に凄いと思います。ITER Aword 2023受賞おめでとうございました。
安藤 真次
当時の担当
TFコイルRP、CP
TFコイルの超伝導導体を挿入するRPやCPの製作を、2013年~2019年にかけて担当致しました。これまでも長く製造現場で「ものづくり」に係わってきましたが、TFコイル製作で要求される寸法精度や品質管理のレベルは数ランク異なるもので、当時驚きの日々であったことを思い起こします。しかしながら度重なる議論の上、試作やモックアップにて次々と課題をクリアし、TFコイルの製作を完了できたTFコイルチームと製作メーカーの組織力・底力は素晴らしく、このプロジェクトに携わることができたことを光栄に思います。
2017年12月、製作を完了したTFコイル第1号機用のWP
竹林 圭哉
2017年に入所し、極低温での性能確認試験やコイル製作工場での立会いを経験させていただきました。ITER TFコイル調達という一大プロジェクトに少しでも携われたことを誇りに思います。
島根 秀夫
当時の担当
構造解析
TFコイルの構造解析を主に担当しました。実施した解析の結果で重要な決断が行われるため、緊張感がありましたが、私の解析で決定した方法でTFコイルの製作が上手くいったときは「やったぞ」とやりがいをが感じることができました。核融合エネルギーを実現するため、今後も核融合実験炉ITERの運転開始に向けて貢献していきます。
ITER組立準備のため、垂直に立てられたTFコイル初号機
吉澤 一美
当時の担当
TFコイル
TFコイル一体化
TFコイルの製作・一体化等を担当しました。今まで長く製造現場を経験しましたが、TFコイルや一体化で要求される寸法精度や品質のレベル要求が格段に違うもので、当初は精度要求を満足できるのか不安でした。しかしながら、製作メーカーの技術レベルは期待以上のものであり、無事に完成する事が出来ました。今でも思い出されるのは、真冬と真夏の製作工場内での立会い作業です。真冬はホッカイロを貼付け、暖かくし寒さをしのぎ、真夏は汗だくになりながら立会いをしたのを鮮明に記憶しております。メーカーからの図書では、苦労をしましたが、今となってはTFコイルの製作に携われたことを誇りに思います。
迎 領太
当時の担当
CATIA・ENOVIAを用いたCAD業務全般
私は2011年より、JADA-DOの一員として主にCATIA/ENOVIAを使用しての、2D図面・3Dモデルのチェックや修正、解析モデル等の作成や周辺機器との干渉チェックの実施、製作図面のチェックなど、CAD業務全般を担当させていただきました。当時、日本での作業だけでなくITER機構にも何度か出張する機会にも恵まれ、IO担当者と協力して作業出来た事はとても良い経験になりました。ただ、日本ではタイトなスケジュールに追われ、夜中まで作業した事も数知れず。。。今となってはそれも良い思い出です。この度、全てのTFコイルが無事に製作・輸送が完了した事、とても嬉しく思います。ITER計画はまだ続きますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
川崎 勉
当時の担当
TF導体製作、実機TF導体極低温性能確認試験
TF導体製作では、主に品質確認試験を担当していました。皆さんは超伝導線のフィラメントの本数を数えたことはありますか?私は室温試験で毎日のように数えていました。細い超伝導線一本の試験サンプルと格闘し、実機のTF導体が出来た時の喜びは忘れません。このような大きなプロジェクトに少しでも参加できた事を誇りに思います。
高濱 由美
当時の担当
国内外の出張など事務
国内外の出張手続きをメインに行っていました。急な出張が多く庶務課・経理課との調整がとても大変だった記憶しかありません。そんな中でも現地語で書かれた領収書をアプリを使用して判読したり、マップで聞いたこともない出張場所を確認したことなど、ちょっとした旅行気分を味わうことができました。事務方としてこのプロジェクトに関われたこと、また、貴重な経験をさせていただいたことに感謝します。