第33回ITER理事会が開催
2023年11月16~17日に開催された第33回会合において、ピエトロ・バラバスキITER機構長は、ITER機構及び各極国内機関が、計画を成功に導き、よりクリーンで信頼性が高く、豊富なエネルギー源を普及させるための世界的な取組において中心的な地位を強化するために行ってきた努力を反映し、ITER計画の進捗状況について報告しました(図)。
図 第33回ITER理事会
理事会参加各極は、ITERのミッションの価値を再度強調し、ITERの成功を促進するための解決策を見出すために協力することを決議しました。また理事会は、2023年10月23日にJT-60SAで初プラズマを達成した欧州と日本の幅広いアプローチ活動による協力に対し、祝意を表しました。
ITER理事会では、以下についての報告・議論が行われました。
- 計画の進捗状況:理事会は、製造、組立、据付の進捗状況に加え、主要機器である、真空容器(VV)の開先接合部と熱遮へい板(TS)の冷却パイプの修理状況に留意しました。最後のポロイダル磁場コイルの製造は最終段階です。日本からの最後のトロイダル磁場(TF)コイルが搬入され、ヨーロッパからの最後のTFコイルは出荷中です。中心ソレノイドの2つのモジュールが積み重ねられ、位置調整を行う一方、3つ目のモジュールが ITER に到着しました。トカマクピットではマグネットの給電線の設置が始まりました。複数の支援システムが試運転を完了、または試運転中です。
- ASNとの対話の進展:理事会は、機構長とフランスの原子力安全当局である Autorité de Sûreté Nucléaire(ASN)との継続的な対話により、ITER の人類初となる規制要求に対処する戦略が形成されていることに、謝意を込めて留意しました。理事会は機構長に対し、この建設的な対話を継続するよう促しました。
- ベースラインの更新:ITER機構と各極国内機関は、最適化された信頼性の高いコストとスケジュールに基づくベースライン策定に向けて協力を進めています。この更新には、新型コロナ感染症のパンデミックと、世界初の機器(真空容器セクターなど)の製作完了という技術的挑戦により発生した過去の遅延からの回復に加え、将来のリスクを相殺するための機器(例えばTFコイル)の試験強化などが含まれます。重要な点は、ITERの核融合運転開始に向けた最短経路を達成するために、より良い組立工程を得ることです。理事会はこれらの継続的な取組に留意し、機構長に対し、2024年のITER加盟極による検証に向け、ベースライン更新の提案への準備を、引き続き迅速に進めるよう要請しました。
- ITER加盟極の支持:理事会参加各極は、ITERのミッションの価値を再度強調し、ITERの成功を促進するための解決策を見出すために協力することを決議しました。また、多様性、公平性、包摂性の原則を、採用活動、職場文化、次世代の核融合人材の育成に統合するという ITERのコミットメントへの支持も表明しました。理事会は、ITER 計画が直面する継続的な課題に留意し、全ての参加極が計画の成功を支援するため、現物及び現金貢献を継続的に履行していることに感謝の意を表明しました。