安全衛生の専門家として、国際プロジェクトへ新たな一歩を踏み出す
片山風人さん(2025年4月 ITER機構着任)
合格ポジション:Occupational Health & Safety Officer
石油・ガス開発を主軸とするエネルギー企業で、入社以来安全衛生(HSE:Health, Safety & Environment)管理を専門にキャリアを積んできた片山さん。UAEでの実務経験や学生時代の海外留学、そして多様な現場での安全衛生管理経験を経て、ITER機構で新たなキャリアをスタートしました。
今回は、片山さんのこれまでの歩みとITER挑戦の背景、そして今後の展望について伺いました。
インタビュー日:2025年2月7日
どのように
安全衛生管理の道に進むことを決めたのですか?
システムデザイン工学の枠組みで土木からITまで幅広く学び、大学院では可視光通信を研究していました。その間に東日本大震災を経験し、「防災技術」という工学を生かした防災や安全の領域に強い関心を持ったことが、最終的に安全衛生管理に進んだ大きな動機でした。
入社後は安全衛生管理部門に配属され、専門性を高めながらキャリアを築いてきました。コーポレートの危機管理、オーストラリアでのOJT、アラブ首長国連邦でのプロジェクト、国内地熱プロジェクト等、安全衛生管理に関して広く経験を積み、職場で起きた事故対応や安全改善の取り組みなどを通し、安全衛生管理の重要性と難しさを実感していきました。
安全衛生管理は新しい技術を生み出すというよりは、今あるものを使ったり、人への働きかけを通じて職場を改善していくもので、分かりやすいデータや数字で出せるような成果ではありませんが、とても価値のあることだと思っています。関わる人や時間が増えていくと、トラブルや事故が起こってしまうものです。特にゼロベースから人や物が集まる工事現場では、何も対策をしないとカオスな状況になり、放置したままだと人が命を落とします。ですので、後ろ指をさされてでも安全衛生管理の仕組みを作り、前線で働く人たちの安全を直接的・間接的に守る努力をしていくことで価値を生み出します。
ITER機構への挑戦は、調べる中で「世界で初めてのことをしようとしている」というプロジェクト自体の先進性や特殊性に一番の魅力を感じ、安全衛生管理の専門家としてのスキルアップの機会、ロケーション、支援体制など総合的に惹かれたので動きました。
海外留学や海外勤務で
どのような変化が生まれましたか?
学生時代にはトルコへ1年間の留学、就職してからは約3年半アラブ首長国連邦の石油・ガスの探鉱掘削現場で勤務しました。留学では、あえて情報の少ない国に飛び込み、交通工学や道路設計等土木の基礎を学びました。
何よりアラブ首長国連邦での現場経験は、自分にとって人生のターニングポイントになりました。この間の現場経験で糧になったものは、自分がいかに守られた環境で生きてきたか知ることができたこと、根本的価値観の異なる人と接触ができたことです。
1つ目については、むき出しになった危険だらけの現場の改善を目指す中で、安全性が担保された自身の平凡な一日が、とてつもなく多くの人の努力の上で成り立っていることを実感しました。例えば、自宅から職場まで特に安全を気にせず通勤したとしても命を落とす確率が限りなくゼロに近いということは、私たちが何重ものバリアに守られているということです。
2つ目については、周辺各国から出稼ぎのために来ている方々と寝食を共にするようになって、オフィスで働く人々と現場で働く彼らでは、仕事に求めるもの・行動変容の動機など根本的な価値観が全く違うことを痛感し、安全衛生管理のためのルールやプログラムを整備する中でも、決して無視はできない画一的な管理の限界を知りました。
今回ITERという国際機関に飛び込むことになり、ここにも全く異なる文化があると思っています。新しい環境での安全衛生管理に取り組むことが今から楽しみです。
ITERでは
どのような安全衛生管理の実現を目指しますか?
ITERは科学技術の面において先進的な試みであるのはもちろんのこと、かつ多極の国際協力という側面も持ち合わせている特殊なプロジェクトであると理解しています。一般的なロールモデルがない中で、複雑なコミュニケーションを乗り越えて安全衛生管理に取り組む経験は、自分の成長に大きくつながると感じています。安全衛生管理は国際協力との相乗効果が高い分野だと思っています。既にある安全衛生管理の仕組みをしっかりと運用していくことはもちろん、より統合的・現実的に改善ができるよう、多様なプロフェッショナルの意見を広く聞きつつ、自らの頭で考え続けたいです。
そして将来的には、エネルギー産業にかかわっていきたいです。ITERでのスキルを活かすという点では、核融合事業化にも安全衛生管理の専門家としてぜひ貢献したいです。エネルギー問題は複雑で、単純化してはいけません。キャリアを通して取り組むべき意義深い課題が多くあると思っています。
これからITER機構職員を目指す方々に
メッセージをお願いします。
人それぞれ専門性は異なると思いますが、一貫性のある経験、柱のあるキャリアがあると良いと思います。ITER職員公募について興味があるポストが出ていたら、ためらわずにまずCVとCover Letterを書いてみてください。日本国内機関の支援はとても手厚いので、ぜひ活用してほしいです。
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