■ トロイダル磁場コイル2号機の完成、出荷
ITER調達機器のひとつ、トロイダル磁場(TF)コイルは、予備を含む19基のうち、9基の製作を日本(量研)が担当しています。最初の3基は三菱重工業(株)の二見工場で製作が進められています。2020年1月に最終機械加工及び最終検査の工程を完了し、世界に先駆けて初号機が完成し、4月25日に無事ITERサイトに到着しました。
今回、2号機の全ての製作工程を完了し、ITER機構に向けて出荷しました(図1)。
2号機の巻線部(WP)とコイル容器との一体化は作業は初号機の作業開始から3ヶ月後の2019年5月に開始されました。一体化含浸作業では樹脂の注入圧力によりコイル容器内の圧力が高くなり、WPとコイル容器の隙間をシールする構造に圧力がかかります。初号機ではシール構造部に許容値以上の圧力がかかることを防ぐために、シール構造の外部圧力を内部圧力とバランスさせるよう、樹脂の注入速度を制御する方法を採用しました。
一方、2号機の一体化含浸では、樹脂の注入速度を上げてもコイル容器内の圧力の変動が緩やかとなるように、樹脂注入装置とコイル容器の間に中継タンクを設置しました。この結果、シール構造部の圧力のバランスを制御することが容易になり、初号機よりも樹脂注入工程を加速することが可能となりました。また溶接においては、初号機で確立した方法を適用することで、良好な品質の製品として完成させることができました。このように、作業の合理化を図りつつ、初号機で確立した方法を着実に適用することで、一体化組立作業においては初号機と比較して1か月の加速を実現しました。
輸送梱包についても初号機の経験を反映し、合理的かつ堅牢なものとなるよう改善を施し、2020年4月に三菱重工業(株)を離れ、5月に神戸港から出港しまた。その後海上及びフランス内輸送を経て、7月3日にITER機構へ到着しました。
図1 完成したトロイダル磁場コイル2号機の出荷様子