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吉川允二核融合エネルギー奨励賞

過去の受賞者紹介

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平成20年度 吉川允二核融合エネルギー奨励賞 受賞者紹介

ITERや幅広いアプローチ(BA)などに代表される未来の核融合エネルギーの実現に寄与しえる内外の研究開発活動の中で、若手人材による優れた成果もしくは優れた成果が見込まれる研究開発活動を顕彰し、今後の発展のために研究助成(*>)することを目的とした核融合エネルギー奨励賞(優秀賞,奨励賞)において、以下の受賞対象分野、

① ITERやBAに直接関わる研究開発活動など
② 上記以外で核融合エネルギーの実現に必要な研究開発活動、または将来これらの研究開発に寄与すると見込まれる内外の基礎的・基盤的な研究開発活動など
③ 長期的な視野に立って核融合エネルギーの実用化に向けたシナリオ作成に寄与する調査研究活動など

に対し、平成20年度は15件の応募がありました(①:5件、②:8件、③:2件)。選考委員による慎重かつ公正な審査を経て調整委員会で優秀賞1件と奨励賞4件を採択し,運営会議の確認を経て、授賞式を第3回全体会合で行いました。(*: 核融合エネルギーフォーラムの選考にもとづいて原子力機構から配賦されます)選考委員は次の方々です(敬称略)。

選考委員は次の方々です(敬称略)。

小川雄一(選考委員長)、上田良夫(委員長推薦)、江尻晶(クラスター推薦)、
高津英幸(クラスター推薦)、中村幸男(クラスター推薦)、福山淳(委員長推薦)、
室賀健夫(委員長推薦)


受賞者(左3名)と佐藤文隆・核融合エネルギーフォーラム議長(中央)
順に、吉川允二氏、小川雄一・選考委員長

受賞者の紹介

研究助成テーマ:

ITER参照デザインの溝構造をもつタングステンのトカマクプラズマ照射応答

選考理由:

ITERでホットな工学課題であるタングステン・ダイバータの適用に向けた具体的な課題解決のアプローチが提案されており、独創性が高い。海外でプロジェクトコーディネータになるなど、国際的にも認められた研究者であり、大きな貢献が期待できる。

優秀賞 (研究助成 80万円)
受賞者: 平井 武志 氏 (ITER機構 ← 独ユーリッヒ研究センター:受賞当時)

受賞者の抱負:

この度は核融合エネルギー奨励賞、優秀賞を授与していただき、誠にありがとう御座います。大変光栄に存じます。多くの議論、共同研究、プロジェクトといった様々な形で研究を支えていただきました国内の多くの先生方、ユーリッヒ研究センター、JET-EFDA、EFDA-Garching、そしてEURATOM傘下の研究機関の皆様に深く感謝いたします。 受賞の対象になった研究プログラム、TEXTORでの材料照射実験はIEAの国際共同研究としてこれまで継続されてきたものです。このようなすばらしい共同研究の礎を築き、心強い支援していただきました先生方に心より感謝します。
今回は、将来のプラズマ対向材料として有望視されているタングステン材料をTEXTORのトカマクプラズマで負荷し、実機高熱流束下での挙動を理解するための実験を提案し、日本と現地からの強力な支援を得て遂行ました。実験後の解析を効果的に進めてインパクトの大きい結果を出せればと考えております。
最後になりましたが、今後はITER機構の職員として、国際的な核融合エネルギー開発の流れにおいて賞の値に匹敵するような大きな貢献ができればと思います。


研究助成テーマ:

直線プラズマ及びトーラスプラズマにおける遷移現象と乱流構造の解明

選考理由:

プラズマ乱流輸送における構造遷移を実験的に観測しようとしており、学問的に大変チャレンジングな研究であると評価できる。高温のトーラスプラズマと低温の直線プラズマとを有機的に関連させた斬新な研究の展開が期待される。

奨励賞 (研究助成 40万円)
受賞者: 稲垣 滋 氏 (九州大学)

受賞者の抱負:

この度は、核融合エネルギー奨励賞を賜り大変光栄に存じます。
これまで研究を後押ししていただいた九州大学や核融合科学研究所の先生方、研究を支援頂いた共同研究者の方々に感謝いたします。近年、プラズマ中の乱流は多スケールであり、異なるスケール間で結合する事が理論的、実験的にも示されています。この非線形性・非局所性のため、乱流場は多重解を持ち、構造遷移が可能になります。ITERではL-H遷移等のより正確な予測のため、乱流輸送及びその遷移過程を実験的に研究する事が急務になっています。
私はこれまでプラズマに外乱を与え、そのダイナミックな応答の観測から輸送現象を非線形性・非局所性の観点から明らかにしようとしてきました。今回、そのダイナミクス応答解析の方法を乱流研究に適用し、乱流状態遷移を観測する方法、外部より乱流遷移を誘起する方法を開発し、乱流の非線形結合過程のダイナミクスを実験的に研究するという計画をたてました。乱流輸送の「構造遷移」の基礎的な物理機構の理解に貢献し、核融合エネルギーの早期実現に向けて、着実に答えを出すように研究を進展させていきたいと思います。


研究助成テーマ:

有限軌道幅効果を含めたトーラスプラズマ中の新古典輸送理論・シミュレーション研究

選考理由:

トーラスプラズマ中の新古典輸送現象と両極性径電場の形成過程について、解析的な手法と大規模シミュレーションとの両面から取り組み、オリジナリティの高い研究を進めており、 トーラスプラズマにおける輸送過程の総合的理解への発展が期待される。

奨励賞 (研究助成 40万円)
受賞者: 佐竹 真介 氏 (核融合科学研究所)

受賞者の抱負:

今回受賞対象となりましたトーラスプラズマ中の新古典輸送現象に関するシミュレーション研究ですが、核融合炉実現に向けた研究を進展させるため、私の研究では以下の点に着目しています。まず、熱核融合炉で想定される高温・低衝突なコアプラズマでは、従来の新古典輸送理論で無視されてきた荷電粒子の径方向ドリフトの有限性による効果(有限軌道幅効果)が無視できないと考えられるため、モンテカルロ法を用いて有限軌道幅効果を含めた新古典輸送計算コードを開発してきました。また、軸対称系以外の様々な磁場配位にも対応できるように拡張し、非軸対称系で重要となる、両極性条件を満たす径電場の形成と新古典輸送とをコンシステントに解くことを可能にしました。現在では、この利点を生かし、トカマクにおける軸対象性の破れによる新古典トロイダル粘性の評価への応用を目指した研究を進めています。また近年ではジャイロ運動論による微視的乱流の研究における背景径電場の影響が注目されていますが、新古典理論に基づく詳細な径電場計算がプラズマ乱流研究の一助となればと考えております。


研究助成テーマ:

ゼーマン効果を利用した温度や流速の直接計測に関する新たな核融合プラズマ診断法の開発

選考理由:

ゼーマン効果を利用して、イオン・原子・分子の温度や流速の空間分布を直接計測するという、新たな核融合プラズマ診断法の開発を目指しており、その斬新性と先駆性を高く評価すると共に、将来の発展が期待される。

奨励賞 (研究助成 40万円)
受賞者:四竈 泰一 氏 (京都大学)

受賞者の抱負:

この度は,平成20年度 核融合エネルギー奨励賞という素晴らしい賞を頂き大変光栄に存じます。受賞にあたり,これまで研究を遂行する上でのご支援を頂きました先生方や関係者各位に深く感謝申し上げます。
私は,境界層プラズマの動的挙動解明を目指して,新しいプラズマ診断法の研究開発を行って参りました。特に,従来の発光分光法における非局所性という問題点に対して,発光スペクトルのZeeman分裂を利用した局所計測法を提案し,有効性を実証しました。この手法は,単一の観測視線による簡易なシステムで実装可能なため,ポート制限の厳しい装置へも適用が見込めます。また,一般に局所計測が難しい原子や分子といった中性粒子に対して有効であると考えています。
今後,核融合工学における多くの技術的困難を解決していく上では,新たな計測技術が常に求められます。“新たなプラズマ診断法の研究開発”というアプローチを通じて,核融合エネルギーの実現や,プラズマ物理学における学術的発展に資することができるよう努めていきたいと思います。


研究助成テーマ:

核融合エネルギーの社会経済的価値に関する評価研究

選考理由:

核融合エネルギーの社会受容性の分野において、多くの研究成果を挙げ、当該分野において主導的な役割を果たしてきている点は高く評価でき、今後のさらなる発展が期待される。

奨励賞 (研究助成 40万円)
受賞者:時松 宏治 氏 (エネルギー総合工学研究所)

受賞者の抱負:

この度は大変栄誉のある賞を頂戴し誠にありがとうございます。ひとえに、諸先生方のご指導の賜物でございます。重ね重ねお礼を申し上げたいと存じます。私のライフワークはエネルギーの資源と技術を中心とした、将来の社会経済の持続可能性の評価です。
エネルギーは技術、理工学、経済、国際情勢、文化など、およそ、いかなる人間活動に結びついています。その中で私は、最近は炭素隔離付きの先進石炭火力発電プラントの経済性評価から、統合評価モデルを用いた持続性評価まで、様々な分野に従事しています。 私が核融合に対して貢献することが出来ることがあるとするならば、外で見聞する世界から見て、社会にとっての核融合の意味や意義を申し上げて社会貢献をすることです。
この目的を発案したのが大学院修士1年生も終わる頃。それからというものの、実に様々な先生方のご指導と、機会を頂き、早くも15年。人生を賭けた挑戦に、これからも果敢に取り組みます。 これまでのご指導のお礼と、今後の引き続きのご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。