English
トップページ  >  一般の方へ  >  ITER Japan News  >  令和2年度理事長表彰 模範賞を受賞

トップ画像

令和2年度理事長表彰 模範賞を受賞

令和2年9月29日、理事長表彰が行われ、量子エネルギー部門ITERプロジェクト部超伝導磁石開発グループの中平昌隆グループリーダーを代表とするITERトロイダル磁場コイル開発グループが「核融合実験炉イータートロイダル磁場コイル1号機の完遂」により、令和2年度理事長表彰の模範賞 特賞(図1)を受賞しました。

図1 理事長表彰 表彰式の様子(下段一番左が中平グループリーダー、下段左から5番目が量研 平野理事長)

核融合実験炉イーター(ITER)のトロイダル磁場(TF)コイルは、これまでに前例のない世界最大 (高さ16.5m、幅9m、総重量約300トン)のニオブ・スズ超伝導コイルで、量研ではITER日本国内機関として、我が国が調達責任を有する9機のTFコイルを調達しています。TFコイルは、約12テスラの非常に強力な磁場で、核融合反応を起こす高温のプラズマを真空容器や容器内機器の表面から浮かせた状態で閉じ込める重要な装置です。

ITER TFコイルの調達においては、製作精度がこれまでの大型構造物の高精度製作として実績のある1/1000(10mで10mmの誤差)を大きく上回る1/10000(10mで1mmの誤差)が必要であり、また超伝導導体に過度な歪みを与えずに両立させることがコイル開発の大きな課題のひとつでした。今回、超伝導導体への歪みを制御し、高精度達成のために、溶接変形制御や、機械加工における温度補正の工夫、最新のレーザー計測器を駆使した電流中心計測などを導入してTFコイル初号機を完成させました。

図2 完成後のトロイダル磁場コイル初号機(2020.1.30)

候補者らの貢献により、世界で初めてイーターTFコイルの製作を、国際約束されたスケジュール通りに完了させました。これはITER計画のみならず、世界の核融合研究開発にとって大きな進歩であり、また、日本のITER計画への貢献というだけでなく、日本の核融合研究開発への取組みと技術力を世界に示すことになりました。
初号機のコイル完成後、遅滞なく輸送に着手し、令和2年4月にはフランスのITERサイトに到着させ、2号機も初号機から2か月後に完成させました。今後残り7機を順次完成させ、ITERサイトに遅滞なく到着させる予定です。サイト到着後も、TFコイルの製作経験や日本の技術力を生かし、組立や試験、試運転などにも積極的に貢献していく所存です。

図3 神戸港にてTFコイルの本船積込の様子(2020.2.28)

図4 神戸港を出発してから約1ヶ月。日本から旅立ったトロイダル磁場コイル初号機が「Fusion号」と共にフランス地に到着しました。(2020.4.7)

図5 長い航海の次は、最終目的地のITER建設サイトへ、104kmの陸路を4日間かけて輸送されました。左、日本製作のトロイダル磁場コイル初号機、右、EU製作のトロイダル磁場コイル(2020.4.10)

【関連記事】
ITER Japan News 第37号|トロイダル磁場コイル初号機の完成、完成披露式典の開催