
現地ITER機構高周波建屋にてジャイロトロン1号機の据え付けが完了
2025年7月7日、ITER電子サイクロトロン加熱・電流駆動用高周波源であるジャイロトロン1号機の据付けを、ITERサイトにおいてQSTの監督の下で完了しました。これは電子サイクロトロン加熱装置のみならず、ITERにおける最初の加熱装置の据付け完了となりました。
ジャイロトロンは、B15と呼ばれる高周波建屋内の3階に据付けました。
その準備として、事前にジャイロトロン架台の据付け、分割輸送していた冷却マニフォールドの組立ておよび据付け、さらにオイルタンクのジャイロトロン架台への取付けなどを行いました。
続いて、ジャイロトロン架台の上に超伝導コイルを据付け、約10日間にわたり冷却を行った後、励磁試験を実施しました。磁場分布などに問題がないことを確認したうえで、専用治具により磁場中心を測定しながら、ジャイロトロン架台と超伝導コイルの位置合わせを行いました。
また、保管用の木箱に入ったジャイロトロンをクレーンでB15の1階から3階まで吊り上げ、7月4日にはすべての準備を整えました。
7月7日には、B15の3階にてジャイロトロン保管箱を屹立状態にし、ジャイロトロンをクレーンで吊り下げながら箱から取り出しました。その後、ジャイロトロンの輸送治具を取外し、絶縁用ボディジャケットを取付け、ジャイロトロン架台とのインタフェースとなる接続フランジへの取付けなどを行い、最後にジャイロトロンをジャイロトロン架台に据付けて、全据付作業を完了しました。(図1)
図1 ジャイロトロン1号機据付け完了時の写真
据付後は、ジャイロトロンの冷却ホースの取付け、オイルタンクへの高電圧給電ケーブルの接続、ジャイロトロンコレクター部の熱電対など計測機器の整備を実施し、運転に向けた準備を進めています。 QSTが調達したアノード電源・ボディ電源、そして欧州が調達した主電源の準備が整い次第、QSTが調達した制御系を含めた統合試験を、ジャイロトロンを切り離してダミーロード負荷にて実施し、その後にジャイロトロンに給電して運転を開始する予定です。