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第36回ITER理事会が開催

2025年6月18-19日に第36回ITER理事会が開催され、ITER計画の進捗状況が審議されました(図1)。ITER理事会は、2025年2月にフランスのエマニュエル・マクロン大統領及びインドのナレンドラ・モディ首相がITERの建設現場を訪問されたこと、並びに他のITER加盟極から国会議員や閣僚級の代表団の訪問があったことを歓迎しました。

図1 第36回ITER理事会(写真提供:ITER機構)

ITER理事会では、以下についての報告・議論が行われました。

  • ITER計画の着実な進展:2025年6月18日-19日に開催された第36回理事会において、ピエトロ・バラバスキITER機構長から、ITER計画の進捗状況が報告された。理事会は、2025年4月、予定より早く、事前に組み立てられた最初のセクターモジュールの設置が完了したことを歓迎しました。また、会議開始数時間前に、中国主導の産業コンソーシアムが、2つ目のセクターモジュールの設置を約6週間前倒しで完了したことを祝福しました。
    さらに、理事会は、米国によるセンターソレノイドコイルの第6モジュールの製造及び試験が完了したことを歓迎しました。この成果は、ITERに必要な全ての主要なコイルが完成したことを意味しており、ITER加盟極間の広範かつ継続的な協力関係を象徴する重要な節目となります。その他、前回の第35回理事会以降、韓国製の真空容器セクターの最終号機と欧州製の真空容器セクターの第2号機の納入、構成部品の修理の着実な進展、フランス安全規制当局との継続的で良好な対話、トカマク組立の加速に向けた戦略の着実な遂行といった成果も理事会で歓迎されました。
  • ベースラインに関する議論:理事会では、2024年6月に提案された、可能な限り早期に本格的な研究運転を開始することを優先するベースラインについて、段階的アプローチが検討されました。ITER機構は、2028年末までを対象とするベースライン2024のフェーズ1に従って、今後も着実に活動を推進していく方針です。
  • 民間部門のフュージョン関連企業との連携:7月1日に式典を開催したトロイダル磁場(TF)コイルの全機納入に続く、大幅な進展として、理事会は、セクターモジュールの仮組作業、ダイバータ機器の製造、冷凍プラントでのヘリウム液化の達成、高周波棟の完成、最初の電子サイクロトロン加熱用ジャイロトロンの設置準備、低温コイル試験施設の設計完了、ディスラプション緩和システムの設計完了、段階的なライセンスの取得に関するフランス安全規制当局との建設的な意見交換などに留意しました。
  • 民間部門の核融合関連企業への関与:理事会は、民間主導のフュージョン関連の取組との協働が継続的に拡大していることを歓迎した。2025年4月にITERビジネスフォーラムに合わせて開催された第2回ITERワークショップ、初の民間企業によるITPA(国際トカマク物理活動)への参加、世界的なフュージョン・サプライチェーンに関する情報の収集と共有といった取組が報告された。理事会は、こうした官民連携の取組が全ての加盟極にとって価値あるものであると評価しました。
  • ITER 加盟極の支持:理事会の各極は、ITER 計画が持つ重要な意義を改めて強調し、成功に向けた連携を継続する決意を表明しました。また、この前例のないプロジェクトにおける課題と成果を認識するとともに、全ての ITER 加盟極が引き続きその成功に向けた支援を行っていることへの謝意が示されました。

図2 ITER理事会の代表は、会議初日、トカマクピットへ2番目に設置されたセクターモジュールの状況を確認しました。(写真提供:ITER機構)

【参考】ITER機構 ITER NEWSLINE より
36th ITER Council|Strong project execution and the latest big lift (19 Jun 2025)