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ITERダイバータ垂直ターゲット受熱部プロトタイプが
ITER機構による認証試験に合格し、実機製作を開始

量子科学技術研究開発機構(以下,量研)は,日本が調達責任を有するITER向けのダイバータ外側垂直ターゲット(以下、OVT)の実規模大プロトタイプ及び実機の製作を進めている。この度、三菱重工業(株)ともに製作したITERダイバータの受熱部であるプラズマ対向ユニット(以下、PFU)プロトタイプがITER機構による繰返し高熱負荷試験に2023年6月に合格し、PFU実機の製作を開始しました。

MHI表彰

図1 三菱重工業(株)のITER計画における多大な貢献に感謝し、ITER日本国内機関より認定証をお渡ししました(2024年3月撮影 那珂研にて)

MHI表彰

図2 認定証は杉本ITER日本国内機関長から三菱重工業(株)へお渡ししました(2024年3月撮影 那珂研にて)

本試験は、実機と同じ材料、製造・検査工程で製作したPFUプロトタイプに対して高熱負荷試験を実施し、ITERダイバータ条件と同等の繰り返し熱負荷に対する異材接合や冷却管の耐久性等、除熱性能を実証するITER機構によるPFU製作に対する最終認証試験の位置付けです。

高熱負荷試験用PFUプロトタイプの外観

図3 高熱負荷試験用PFUプロトタイプの外観

ITER機構による国外での高熱負荷試験装置へのセッティングの様子

図4 ITER機構による国外での高熱負荷試験装置へのセッティングの様子

PFU1本当たり140枚のタングステン・ブロックと冷却管の異材間接合技術開発やタングステン間ギャップ要求公差の達成等の様々な問題解決の末、量研は三菱重工とともに2020年2月から3年の年月をかけて PFUプロトタイプ8本を製作しました。
高熱負荷試験はITER機構が委託した国外の高熱負荷試験装置において行われ、ITERダイバータの運転条件に合わせて、最も熱負荷が厳しい部分である直線(ターゲット)部に対して、10MW/m2を5000サイクル及び20MW/m2を300サイクル照射しました。また、湾曲(バッフル)部に対して、5MW/m2を5000サイクル照射しました。さらに、接合部や冷却管の耐久性が十分であることを確認するために、直線部に対して20MW/m2を700サイクル追加し、合計で1000サイクル照射しました。

本試験の結果、PFUプロトタイプにおいて、冷却管からの水漏れや徐熱性能の劣化が生じなかった(図5)として、ITER機構からPFU製作認証に関して合格と判定されました(参考文献[1]参照)。

300サイクル後の写真

図5 PFU直線部における高熱負荷試験10MW/m2 5000サイクル及び20MW/m2 300サイクル後の写真

【参考文献】
[1]関、「特集 核融合実験炉ITER 建設最前線:ダイバータの開発と調達の現状」、日本機械学会誌 2024/3 Vol.127
[2]ITERだより、100号、4「最終受入試験を迎えた ITER ダイバータ垂直ターゲット(OVT)プロトタイプ」

【参考】 ※下記の記事では、ITERにおけるダイバータの役割、外側垂直ターゲットの主要材料の説明も掲載しています。
ITER Japan News 第96号|最終受入試験を迎えたITERダイバータ垂直ターゲット(OVT)プロトタイプ

【関連記事】
ITER NEWSLINE 2024/9/23|Divertor manufacturing Japan qualifies outer vertical target