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最終受入試験を迎えたITERダイバータ垂直ターゲット(OVT)プロトタイプ

 量研は、日本が調達を担当するITER向けのダイバータ外側垂直ターゲット(以下、OVT)の実規模大プロトタイプ及び実機の製作を進めています(図1)。

ダイバータの役割と調達担当

図1 ダイバータの役割と調達担当

これらプロトタイプや実機の製作では、ITER仕様を満たす主要材料(タングステン・モノブロックや銅合金冷却管、特殊ステンレス鋼鍛造材など)を量研が予め購入し、ダイバータ製作メーカへ支給し製作します(図2)。

外側垂直ターゲットの主要材料について

図2 外側垂直ターゲットの主要材料について

この度、三菱重工業(株)とともに2020年6月に開始した実規模大プロトタイプの製作が完了し、量研・那珂研究所が実施する最終受入試験のために納入されました(図3)。OVTはほぼ同じ構造を有し、それぞれPFU11本を有する左右の独立したコンポーネントで構成されており、今回納入されたプロトタイプは左側のL-OVT分となります。右側のR-OVTも順次納入されます。

搬入されたITERダイバータ外側垂直ターゲット・プロトタイプ

図3 搬入されたITERダイバータ外側垂直ターゲット・プロトタイプ

本プロトタイプは実機製作に必要な技術、例えば受熱部であるプラズマ対向ユニット(以下、PFU)1流路当たり約140個のタングステン・モノブロックと銅合金冷却管の接合や、このPFU11本を設置する特殊ステンレス鋼製支持構造体などの溶接及びこれらの非破壊検査に関する認証試験を実施するなどして、段階を踏んで実証された技術により製作されています(図4)。

三菱重工業(株)の高い技術力と一貫した品質管理体制により製作されたプロトタイプは三次元寸法計測により表面輪郭度や幾何形状に関する厳しい要求公差を達成しています。プロトタイプで得た経験や知見を生かし、現在、実機製作の製作工程を確立して、実機製作も進めています。 搬入されたプロトタイプに対して、製作した試験装置を用いて高温リーク(漏れ)試験を量研 が実施ます(図4)。

本試験は、実機OVT全数に対しても実施するものであり、真空容器内に設置したOVTを運転温度(250度)まで昇温し、その流路にヘリウムガスによりITER運転時の冷却水と同じ圧力を繰り返し与え、真空中へのヘリウムガスのリークが無い事を確認するものです。本試験完了後、再度寸法計測等を行い、ITER建設サイトへ輸送します。輸送後は、他極が準備した他のプロトタイプ(カセットボディ、内側垂直ターゲット、ドーム)を用いたダイバータカセットの組立試験を ITER機構が実施する計画です。

高温リーク試験装置の真空容器内への設置準備をしています

図4 高温リーク試験装置の真空容器内への設置準備をしています