面接試験では、基本的にはジョブ・ディスクリプションの内容にそって、応募者の経験や応募資格、仕事への取り組み方などに関する質問が出されますが、これまでの面接試験における代表的な質問を以下に示します。とくに、プロジェクト管理や機器の調達に関係するポジションでは、 (1)-(4)の質問はよく尋ねられます。
(1)核融合機器・施設の設計、発注、製作、据付、運転についてどのような経験がありますか?
(2)品質管理、工程管理、コスト管理、文書管理などのプロジェクト管理についてどのような経験がありますか?
(3)多極間にまたがる物納調達(下記の注を参照)におけるITER機構と参加極の国内機関との役割分担、参加極間の調整、取りまとめ方についてどのように考えますか?
(4)多数の機器・システムとの取り合い調整や責任の分担についてどのように取り組みますか?
(5)国際協力、国際プロジェクトについてどのような経験がありますか?
(6)応募ポジションの職務に関連して、優先度の高い課題、困難な課題、最初に着手すべき課題は何か、それをどのように解決するか、業務への取り組み方についてどのように考えますか?
(7)ITERで必要となる規制当局による許認可、核的な課題(nuclear issues)、放射線安全の問題についてどのように考えますか?
(8)(Section LeaderやDivision Headの場合)これまでリーダーとしてどのような経験があり、リーダーとしてマネージメント、グループの運営についてどのような方針で取り組みますか?
(9)応募者の経験や実績、現在の業務をITERへどのように活用できると考えますか?
(10)応募ポジションに対してどのような観点から適任と考えますか?
(11)(フランス語が要求されるポジションに対して)フランス語で少し話してもらえますか?
(12)採用された場合の着任時期はいつごろになりますか?
面接の実際の質問例
P3-P4グレードの過去質問集
P5-P6グレードの過去質問集
面接試験に関しては、以下の前提があると質問の意味(何ぜその質問をするのか)とそれに対する適切な回答がイメージできます。
1. 技術経歴を問う質問
P4グレードの例:Please give an overview of your main professional achievements and why they qualify you for this position? Do you have experience in participating in the design and manufacturing process of assembly tools for a large machine, such as the tokamak?
このような質問は応募職種に対する技術的な適合性を問う質問で、当該職種の予想される業務内容と類似している職務経験があれば良いがあまりない場合にはそれに代替えできる経験を話せるようにしておくと良いです。
2. 今までの職務経験から応募者の技術的判断基準を問う質問
P4グレードの例:What commercial tools are required for assembly, and what points should be considered when procuring commercial tools for assembly and installation? If technical specifications are required, what are its main contents?
What kind of important issues are there between tools and components, and how to check and resolve these issues? What difficulties do you expect to encounter during assembly work on the tokamak machine and how would you overcome them? Can you give a specific example?
このような質問は応募者の技術的考え方を問う質問で、一般的な技術的判断基準(広すぎて回答を準備するのは難しいですが)、当該システムにおける重要と思われる技術項目について経験を元に話せるようにしておくと良いです。
3. 品質管理に関する質問
P4グレードの例:In terms of quality control in assembly tools, what points should be the highest priority and what is your strategy to minimize risk of failure for quality control?
What are the codes and standards for procurement and operation in assembly tools?
このような質問は応募職種に関する品質管理のポイントとそれに対する対応について経験を元に説明できるようにしておくと良いです。もちろん、その基本となる規制基準に関する対応も準備する必要があります。
4. マネージメントに関する質問
P4グレードの例:Schedule management: please give an example from your own experience, when you had to take an important technical decision under pressure (deadline & schedule). For example, you had no time but had to make a decision, and what was the outcome?
応募職種をマネージメントする場合に重要と考えること、またそれに対する対応について経験を元に話せるようにすると良いです。またスケジュールコントロールに関しても何を最重要として考えるか、経験を通して話せるようにしておくと良いです。
5. 異文化交流に関する質問
P4グレードの例:If you are selected, you will be working in a multicultural environment with external and internal staff and colleagues. Can you give an example of when you worked closely with people from different backgrounds, experiences, and cultures? Describe the difficulties you encountered and how you addressed them.
一般的な回答で良いですが、個人の経験から重要と考える点とその対応を話せるようにしておくとより良いです。
注)
ITER機器の調達は、90 %程度が「物納調達(In-kind Procurement)」となります。「物納調達」はITERプロジェクトにおける特徴的な調達方式なので、これについて事前に理解しておくことが重要です。とくに機器を調達するポジションに応募する場合は、物納調達とはどういうもので、物納調達におけるITER機構と国内機関の役割は何か、などをよく理解したうえで面接試験に臨むことをお勧めします。「物納調達」について簡単に説明すると以下のようになります。
物納調達とは;
・ ITER協定で定められた各参加極の調達分担にしたがい、ITER機構と各参加極の国内機関の間で調達取り決め(Procurement
Arrangement)を締結します。
・ 各参加極の国内機関は自らの資金で、分担する機器をメーカーに発注し、製作した機器をITER機構へ納入します。
・ 物納調達においては、機器の製作に係わる責任は国内機関にあります。一方、ITER機構は各極の分担範囲の取り合い調整や整合
性確保、全体的な技術仕様の調整、スケジュール管理、コスト管理、機器システムの統合化などに責任をもちます。したがって、
ITER機器の製作段階におけるITER機構職員の主な任務は、各極国内機関との調整、取合い条件や技術仕様の調整・確定、調達
取り決め書の作成、機器製作状況の監視・検査、不具合への対処、製作物の検収作業などとなります。