令和3年度 日本原子力学会核融合工学部会賞を受賞
令和3年9月9日にオンライン開催された日本原子力学会2021年秋の大会 核融合工学部会総会において、ITER計画管理グループの齋藤真貴子主任研究員が「ITERブランケット遠隔保守装置のメンテナンスに関する研究」で核融合工学部会賞を受賞しました(図1、図2)。
図1 「核融合工学部会賞」を受賞した齋藤真貴子主任研究員
図2 オンライン授賞式の様子
今回の受賞は、フランスで建設が進められているITERにて運用されるブランケット遠隔保守装置の耐放射線性の向上や除染方法の確立のための成果が評価されたものです。
ブランケット遠隔保守装置は、ITER真空容器内で保守作業を行う大型のロボット装置です。真空容器中はガンマ線による照射や放射化ダストの滞留により、遠隔保守装置の劣化やダストによる汚染が問題となります。(図3)
図3 ITERブランケット遠隔保守装置の概要
受賞の対象となった一連の研究開発では、遠隔保守装置駆動のために重要となるモータを、製作性やコストの観点から市販品をベースに材料を耐放射線性の高いものに変更しガンマ線照射試験を実施しました。その結果、8MGy耐放射線性のあるモータを開発しました(図4)。
図4 耐放射線性モータのガンマ線照射試験の様子(量子科学技術研究開発機構 高崎)
また、機器に圧着した放射化ダストを除去する試験や機器周辺の線量率解析を実施するなど、遠隔保守装置の除染・保守に関する検討も行いました。この結果、除染に適したブラシを選定しその除染効率を算出しました。更には線量率が高くなる箇所の同定や、作業員の被ばく量評価を行い実際のメンテナンスシナリオについて検討しました。
今後も、構成機器のガンマ線照射試験や除染試験進め、遠隔保守装置のメンテナンス方法について確立させ、ITERプロジェクトへ貢献できるよう尽力していきたいと思います。