ITERブランケット遠隔保守システム用配管溶接ツールの開発
2023年12月14日~16日に開催されたSI2023 第24回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会において、ITERプロジェクト部遠隔保守機器開発グループ 田中雄幸主任技術員他4名が「ITERブランケット遠隔保守システム用配管溶接ツールの開発」で優秀講演表彰を受賞いたしました。
図1 「優秀講演表彰」を受賞した田中主任技術員他4名
(下段左から中田健太郎研究員、田中主任技術員、伊藤幸弘研究員、上段左から武田グループリーダー、野口主幹研究員)
今回の受賞は、フランスで建設が進められているITER真空容器内のブランケット内を通る冷却水用配管に使用する、ブランケット遠隔保守装置の構成要素の一部である、配管溶接ツールに関する工法立案及び開発の成果が評価されたものです。
ブランケット遠隔保守システム(図2)は、ITER真空容器内で保守作業を行う大型のロボット装置です。核融合反応時のプラズマ運転を維持する為には、真空容器内の真空環境を確保する必要があります。その為に、ブランケット内(図3)の奥まった狭い部分に配置されている冷却水配管同士を精度よく位置合わせし、冷却水配管全周を均等に溶接することで、冷却水通過時の水圧やプラズマ運転時の衝撃でも破損しない溶接強度を確保する必要があります。
図2 ITERブランケット遠隔保守システムの概要
図3 ブランケットモジュール構造
受賞の対象となった一連の開発では、配管同士の開先誤差を要求精度である冷却水配管肉厚の10%以下を目指し 、開先合わせツール (※)の開発を行い、試作機にてその有効性を確認しました。また、冷却水配管の全周溶接を実現できる配管溶接ツールの開発を行うと共に、溶接条件の追究を行い、良好な溶接を試作機にて実現すると共に、溶接品質に影響を及ぼすパラメータを明確にしました。
今後も、配管溶接ツールの更なる進化に加え、その他遠隔保守で使用するツールの開発を進めることで、ITERプロジェクトへ貢献できるよう尽力していきたいと思います。
※開先合わせツール:溶接実施前に溶接対象となる配管同士の位置ずれを補正し、隙間を詰めるために使用されるツール。位置ずれが少なく、隙間が無いほど良好な溶接に繋がる。