
第32回ITER理事会が開催
2022年11月16日、17日に現地とオンラインによるハイブリッド形式で第31回ITER理事会が開催しました(図1)。
図1 6月21-22日に開催された第32回ITER理事会(写真提供:ITER機構)
2023年6月21-22日に開催されたITER理事会第32回会合において、ピエトロ・バラバスキITER機構長は、ITER機構(IO)及び国内機関(DA)が計画を成功に向けて適切に位置付け、品質と安全に関する確固たる文化を浸透させた努力を反映した、ITER計画の進捗について報告を行いました。理事会は、機器の製造、納入、システムの設置および試運転が着実に継続していることに留意しました。
ITER 理事会では、以下についての報告・議論が行われました
- ベースライン更新に関し、議論の多くは、IO、DA、及び選抜された外部専門家が共同し、理事会の検討に資するため最適化され信頼できるコストとスケジュールのベースラインを提案することに集中した。これらの取組には以下が含まれます。
- COVID-19の感染拡大と世界初の機器を完成させるための技術的挑戦により生じた過去の遅延の回復。
- 主要機器の修理の戦略と契約の最終化
- フランスの規制当局である原子力安全局(ASN)からの機器組立の「ホールドポイント」に関連する質問の解決と前に進むためのお互いの意識合わせ
- ITER計画の進捗状況を効果的かつ透明性をもって伝えるため、完全な核融合運転に至る道筋において、科学的・技術的に意味のある明確なマイルストーンの設定
- 将来のリスク低減のための戦略の検討、特に、ITERで完成した冷凍プラントを使用し、試運転を行った後に、据付前のトロイダル磁場コイルの追加試験の実施
- プラズマに対向する「第一壁」の材料をベリリウムからタングステンに変更する提案
- ITERの最初の実験キャンペーンの目的と科学的価値を高める「増強ファーストプラズマ」に向けた計画
- 総合すると、これらの取組により、核融合コミュニティに対するITERの付加価値を維持することができるとともに、急成長する商業核融合セクターに対して重要な情報並びに安全規制に関する重要な見識及び教訓を提供することができます。想定されるように、これらの取組により、ITERが規制当局に対して要求される安全性の実証を提供しやすくするとともに、ITERの科学的目標を可能な限り迅速に達成するために以前から想定されていた段階的アプローチの段階を減らすことができます。理事会はこれらの取組に留意し、機構長に対して、2024 年の審査及び承認に向けて、更新されたベースラインの準備を引き続き迅速に進めるよう要請しました。
- 機構長の勧告に従い、理事会はセルジオ・オランディ氏をITER 建設プロジェクト・リーダーに、アラン・ベクレ氏をITER 首席科学官に任命しました。また、理事会は、DAの支援を受け、より機動的なプロジェクト運営を実現しようとする機構長の努力にも留意しました。
- 理事会参加各極は、ITERの使命の価値に対する強い信念を再確認し、ITER の成功を促進するためのタイムリーな解決策を見出すために協力することを決議しました。機構長の要請に基づき、理事会は、特にサプライチェーンの品質を管理する計画の能力を強化するため、計画のガバナンスに関する一定の調整が実現可能かを検討することに合意しました。理事会は、計画が直面する継続的な課題に留意するとともに、ITER の全参加極が計画の成功を支援するために現物及び現金貢献を継続的に履行していることを評価しました。