青森県立むつ工業高等学校で出張授業を行いました
令和5年7月20日(木)、青森県立むつ工業高等学校(以下、むつ工業高校)にて、設備・エネルギー科の2年生および3年生数名を対象に講義・実験を行いました。
まず、講義では核融合エネルギーの原理や発電の仕組み、ITERプロジェクトの概要などを紹介し、将来、核融合発電で電力の供給をするために研究開発を進めていることを説明しました(図1)。続けて、むつ工業高校のOBである超伝導磁石開発グループ 竹林技術員が研究所で従事する業務内容を紹介し、生徒からは学生時代のどのような勉強が役に立っているのかと質問を受けました。また、生徒のみなさんはタブレットを使い終始メモを取りながら聞いてくださっていたことが印象的でした。
図1 講義を行う竹林技術員
講義の後には、日本が製作を担当するITER機器に関連した実験を体験していただきました。
氷切り体験では、ITERの加熱装置ジャイロトロンで使用される人工ダイヤモンドを使い、素材によって変わる熱伝導率の違いを体験していただきました(図2)。
自分の手を熱源としたとき、身近にあるプラスチックや1円玉、10円玉などの素材を通してどのくらいの熱が伝わるのか、伝わりやすいもの伝わりにくいものはどんなものかを考えた上で体験をしていただき、ITERで使われる装置に必要な素材ついて知っていただきました。
図2 人工ダイヤモンドによる氷切り体験
人間浮上体験では、超伝導体の上に置かれた磁石の上に直接乗っていただき、磁石が重力に逆らうように浮いている状態や、電気抵抗がなくなった「超伝導」の状態を体験していただきました(図3)。自分が乗っても落ちることがなく、軽く回されるとずっと回り続けてしまう磁石の不思議な状態に生徒の皆さんは驚いた様子で、どうしてこうなるのか、2人で乗ってもできるのかなど竹林技術員に質問し、疑問に思ったことをチャレンジしたり、終始楽しそうに実験を行っていました。
図3 人間浮上体験
ボール割り実験は、液体窒素で風船とゴムボールを冷やしたときにどのような違いがあるのかを実験しました(図4)。まず、風船を液体窒素の中に入れるとどのような変化があるのかを予想していただいたあと、答え合わせとして実験し、液体窒素から取り出した風船の様子を観察していただきました。また、風船と同様にゴムボールでも実験し、風船との変化の違いをご覧いただき、その理由をみなさんに考えていただきました。
図4 ボール割り実験
今回の講義・実験では、高校生のみなさんに科学のおもしろさや奥深さを感じていただき、さらには核融合研究にも興味を持っていただけるよう授業を行いました。 核融合エネルギーを実現させるためには、将来、研究を担ってくれる若い世代の人材が必要となりますので、核融合研究の未来につながるような広報活動を続けていきたいと思います。