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ITER職員合格者インタビュー | 中本 美緒さん

自立したいという思いとアメリカへの憧れから、海外の大学へ
その後、めぐってきたITER職員という新たなキャリアに邁進中

中本 美緒さん(2024年10月着任)
合格ポジション:Magnet Engineer

 中本さんは、海外の大学を卒業し、日本帰国時から民間企業にてITERの超伝導コイルの製作に関わってきました。2018年からは量子科学技術研究開発機構(QST)の職員として、ITERだけでなく、JT-60SAの超伝導コイルの補修作業や、ITER計測機器の調達にも携わりました。その後、満を持してITER職員公募に挑戦、見事合格を勝ち取った中本さんに、ここまでの道のりや仕事内容まで、様々なお話をお聞きました。

インタビュー日:2024年11月10日

物理に魅了されたきっかけと
わたしという価値観が形成されたとき

 進路の方向性が「物理」に決まったのは、高校の物理の授業がきっかけでした。雷の原理の説明があり、子供の頃から心惹かれていた「雷」という自然現象を説明できる物理学に興味を持ちました。

物理は哲学にも通ずる面白さに惹かれる

 物理は科学だけではなく、哲学にも通ずる世の中の成り立ちの基礎だと思いました。物理学も哲学もいずれも物事の原理や正解を明らかにすることを目的として、実験や計算を行い、法則を探る研究を行うものだと理解しており、物理は自然哲学の一部だと思っています。問題や興味への向き合い方は哲学など他の分野にも当てはめられるのではないかと思い、より一層物理に魅力を感じたのを覚えています。結果的に、雷への興味が物理という授業で学問に結び付き、気が付けばプラズマに関わる分野に身を置いていました。

日本の考え方が通用しない気づきから、今の価値観の形成へ

 初めてアメリカに行ったのは、高校2年生の時に1年間交換留学をした時です。
英語が苦手で理数コースを選んだのに不思議ですが、子供の頃からアメリカに憧れがあったのと、自立したいという思いから親と相談し、交換留学を決めました。

米国で長く暮らす中で、日本で培った文化や考え方が通用しないことがありました。例えば、日本では共通認識から行間を読むということが当たり前にありましたが、アメリカでは言ったことしか伝わらない、ということを感じました。こういった経験により、考え方を改める必要があると感じたり、一方で、場所が変わっても自分の根本は変わらないことに気がついたりすることで、徐々に自身の価値観が形成されたように思います。

            

ITERに通ずるキャリアパスができるまで

 大学卒業後、在学中にアルバイトをしていた大学のプラズマ研究室で、引き続き技術職として研究員や院生の研究のサポートに10年ほど従事しました。その後日本へ帰国し、量子科学技術研究開発機構(QST)でITERプロジェクトに携わるようになりました。

超伝導コイル製作の苦労と達成感

QSTでは、ITERに納品した超伝導コイル製作の技術課題について、製作メーカーやITER機構と協議を行いながらの課題解決や、製作の進捗確認などが主な業務でした。担当した超伝導コイルはこれまでに類を見ない大きさで、誰も経験のない作業を進めていく産みの苦しみがありました。設計図に描かれたものを作るためにどういう手順でどのような道具を用いて作業を進めるのか、経験のない部分は想像が難しく、製作メーカーの方から色々と学ぶことができました。
最終的に担当していた超伝導コイルの初号機が完成した時には感動しました。初号機出荷の際には式典があり、当時のITER機構長から製作メーカーに対しお褒めの言葉もあり、達成感を感じました。

ITER職員になり、海を渡った超伝導コイルの組み立てまで見届けたい

職員公募で応募したポストは、納入した超伝導コイルの性能試験の計画や実施、コイルの装置への据え付けの補助が主な業務のため、日本で行っていた業務の延長となります。これまでの業務では、製作を考慮した設計の重要性に気が付くことが出来ましたが、製品の組み立てまで関わることで、新たな視点での学びが得られることを期待しています。

 2025年5月、超伝導コイル性能検証のための試験設備建設現場にて(ITER機構提供、前列中央が本人)。

多様性の時代
働き方・生き方の一例になれたら

 核融合分野で働く女性技術者はまだまだ世界的にも少ないですが、高校の授業から物理に目覚め、海外への憧れを交換留学という形で実現し、米国の大学修了後就労ビザを最大限まで延長し、永住権取得か帰国かの選択で、ここまで繋がる道がありました。結果今ITERで働いている自分のキャリアパスが、働き方・生き方の一例になれば嬉しいです。

ITERでは様々な年齢・国籍の方々がまじりあって働いており、私もその一人としてバイアスなく仕事を任されていると感じます。そのため、これまでとは違った責任を感じていますが、周りの方々が親切に指導してくださるので、仕事にも慣れてきました。
ITER機構では、業務時間内にフランス語の授業も受講することができます。今は、フランス語で会話できるようになるというプライベートの目標もあり、仕事の合間にフランス語を勉強するのが楽しみのひとつです。

みなさんへのメッセージとして、これだけの規模のプロジェクトに関われる機会はそうそうないと思います。興味のあるポストの公募が出ていたら、ぜひ問い合わせしてみてはいかがでしょうか?
 

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