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ITER職員合格者インタビュー | M・Tさん

核を戦争利用させないことに尽くしてきたキャリアから進展!
ITERでは”平和”という前向きな核利用に貢献できる喜びを胸に

M・Tさん(2024年3月 ITER機構職員採用)

 Tさんは、大学卒業後、当時はめずらしい女性キャリア官僚として防衛相で政策策定に関わり、その後国連職員を経て、現在は社団法人にてこれまでの経験を活かし、国家安全保障の分野で政府及び関連業界のサポートをしています。
『国の平和』を願いながらここまで様々な舞台で活躍されてこられたTさんに、思いを仕事に結びつける方法や、国際舞台で女性として輝く術をお聞きしましたので、ぜひお読みください。

インタビュー日:2024年5月22日

社会への恩返し + 平和=”安全保障”
その想いを胸に大学から社会へ

 私は幼いころから、祖父母の実話や原爆展・平和展など、様々な形で戦争の恐怖を見聞きする機会がありました。小さいうちは戦争は恐ろしいこと、二度と起きてはいけないことと感じており、漠然と『平和』を意識していたのは覚えています。

大学では、国際的な活動に興味を抱き法学部へ

 大学進学時、方向性はまだ今のようにはっきりとはしておらず、当初は経済学部を専攻していました。入学後、視野が広がるにつれて特に国際協力や国際的な活動に興味を持つようになり、最終的には国際的な枠組み全体を知るべく、国際法や国際開発援助が学べる法学部を選びました(最終的な学部選択に時間が掛けられる大学でよかったです)。
幼い頃は戦争を知ることによる恐怖心だけだったのが、大学で知識を深めることにより、国と国が争うことを国際法ではどのように定義しているのか、法的になぜ良くないのかが論理化され、『安全保障』という枠組みにおいて自分が貢献できる可能性を見出し、仕事に結び付けたいと思うようになりました。

社会に恩返しをするべく公務員に

 その後、私が公務員になったのは、自分が生まれ育つ中で、親だけでなく奨学金を出してくれた日本銀行を含め、さまざまな社会の枠組みによって支えられてきたことを思い、国のために仕事をしたいと思ったからです。大学でも「自分たちが勉強できているのは、社会があり、これまでの積み重ねや税金など、色々な社会の仕組みがあってのことだから、それを社会に還元していくべき」と先生方が折に触れて話をしてくださったのも、意識をする上で大きかったです。
社会に貢献する形は様々ですが、私にとってもうひとつ重要な要素がありました。それが『平和』です。上述の通り子供ながらに戦争の恐怖を感じていたこともあり、平和に対する考えはずっと心の中にありました。加え、大学で国際法の学びも得た私にとって、核兵器やミサイルなど兵器の開発を防ぐことは非常に重要な位置づけとなり、私は防衛相で安全保障に関わる仕事をすることを決心しました。

防衛相では、不正輸出を防ぐための政策や調査、サイバー防衛のための計画を作る仕事をしました。不正な輸出に関する情報を事前に得て実際にそれを差し止めるという仕事もしたことがありました。他の国の政府とも協力しながら対応するというのは、責任も重く、やりがいもある仕事でした。
その後、国際連合で大量破壊兵器の開発に使われる物資の輸出を防ぐための調査や、各国の政策構築のための支援などの仕事をしました。現在は、アドバイザーとして、各国の政府職員などに対し、国連の政策を実施するために、政府職員がよりよい法律や制度の策定、適切に措置を講じるための能力育成支援の活動をしています。
 

                                                                                                                                                                                                                                   ITER機構提供(イメージ)

ITERでは自分の知見を平和で”前向き”な
取り組みに活かせる初めての機会

 世界の安全を脅かすものは、戦争だけではありません。環境問題もそうですし、エネルギーの確保を考えることも、人が幸せに生きるうえで必要です。今回縁あってITERプロジェクトを知った時は、これまで負の核拡散を止めようと活動してきた私にとって、とても新鮮に映りました。より安全かつ脱炭素に繋がる核融合技術を用いて、持続可能なエネルギーを実現するために多くの国が手を取り合っているのは、これまでの核取り扱いの概念とは全くことなるものでした。ITERプロジェクトについて学ぶうちに、私もポジティブな変化を起こすための取り組みに関わりたい、とITER職員への応募を検討していました。

実際、技術分野以外の求人はなかなか出ず応募の機会がありませんでしたが、ようやくこれまで自分が培ってきた、危険な物質の輸出管理や、コンプライアンス体制の整備、そして国際的なチームで働くという経験が活かせるチャンスが巡ってきたので、応募に至りました。

女性が活躍できる場が必ずある
外の世界も積極的にのぞいてみて

 これまでも女性が少数派の職場環境を渡り歩いてきましたが、DEIを推進しているITER機構もさらに女性の活躍が望まれているようです。私は、女性であることは、国際機関では決して不利にならないと思っています。日本では、改善の働きかけはあるものの、まだまだ女性の管理職が少なかったり、女性が働きにくい現実があるので、それであれば是非外の世界に目を向けてもらいたいです。
ご自身の心・価値観を信じて、もし社会や組織のしがらみに息苦しさや自分の求めているものと違う感覚があるのであれば、その気持ちを飲み込んで我慢するのではなく、大切にすべきだと思います。その答えのひとつが、もしかしたら海外に出る、あるいは国際機関で働くことかもしれない、ということをお伝えしたいです。
 

                                                                                                                                                                                                                               ITER機構提供(イメージ)

これからは新世代の核融合技術のイメージを広めるお手伝いも

 今後は業務を通じて、技術移転の管理やコンプライアンスに関する経験を深め、原子力と核融合エネルギーの発展に努めていきたいです。核融合という技術を平和のために使うためにはどうしていくべきか、というITERプロジェクトの理念にはとても賛同します。これまでも国際協力をしてきたことに変わりはありませんが、今度は自分が前向きに取り組める分野として、ITER機構で働けることを今から楽しみにしております。

尚、原子力について、いまだ怖いなと思う人は日本内外少なくはありません。ITERプロジェクトはそうした従来型のプロジェクトとは全く違う、新しい技術・新しいエネルギーを生み出す糧ですので、ITERプロジェクトの魅力を様々な形で広める活動も支援できたらと思っています。

 

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