日本の多くの電気エンジニアがITERに挑戦してほしい
服部圭佑さん(2025年2月 ITER機構着任)
合格ポジション:Electrical Engineer
学生時代から電力系統や再生可能エネルギーに興味があったという服部さん、電気機器メーカー、再生可能エネルギー事業者での設計・工事管理等の経験を経て、ITER職員となるまでの軌跡や将来像などをお聞きしました。
インタビュー日:2025年1月7日
大学での専攻と
その分野を選んだ動機を教えてください。
小学生のころ、京都議定書や環境問題に関する報道が多くなったと記憶していて、キャリアに対する考え方の根底となる「人類の抱えるエネルギー問題の解決に少しでも貢献したい」という想いが形成されたのだと思います。
それから、電力系統や再生可能エネルギーに興味があったため、大学では電気工学を専攻し、その中でもパワーエレクトロニクスという分野を研究していました。大学で専攻した学科では核融合の研究も行っており、核融合の概要については少し学んでいました。
ITER職員の5年任期をどのように捉えましたか?
すでに1度転職を経験したこともあり、任期終了後に仕事が見つからないのではないか、という不安はありませんでした。むしろITERでの経験がキャリアのステップアップになると考えています。
また、任期期間については、企業から出向で海外に派遣される場合は、赴任期間は5年よりも短いケースも多いと思いますが、ITER職員は5年であるため、帯同する家族のことを考えるとじっくりと現地生活ができるメリットがあると感じました。
選考過程で印象に残っていることはありますか?
印象に残っている場面は3つです。
まずはWebテストです。私のポストは面接前にWebテストがあったのですが、活かせる公募が出るのを待つ間に自己研鑽として現職の業務に役立つ資格の勉強などを行っており、その内容がテストで役立ちました。
次に面接です。面接では用意できていなかった核融合に関連した電気設備に関する技術的な質問が多く、回答できないものもあり、非常に難しいという印象でした。具体的には回路図などを用いて技術的な回答を求められました。
最後にリファレンスチェックです。現職の上司にリファレンスをお願いする必要がありました。その時(面接通過後)になって応募していることを初めて上司に伝えましたが、「あなたが挑戦したいのであれば協力するよ」と快く引き受けてもらったことが印象に残っています。ITERを知る人は少ない職場でしたが、ITERプロジェクトの大きさや意義を説明したところ、挑戦したい気持ちを理解し、ポジティブな反応をしてもらえました。
これまでも海外で働くことを視野に入れて
キャリアビジョンを考えてきましたか?
先々のキャリアを見たときに「いつかは海外で仕事をしたい」という思いはありましたが、出向という形では現地工場の管理や、日本との調整業務が主となり、海外でエンジニアとして働く具体的なキャリアパスが描けていなかったところに、ITER機構のエンジニア公募は非常に魅力的に感じました。
今は、ITERでの自身の仕事が将来的な核融合の原型炉や商用炉につながることを願って仕事に取り組みたいです。将来的には、引き続き核融合に関するエンジニアとしてキャリアをつなげていくことが理想ではありますが、核融合以外の分野であっても、ITERで得られる技術的な積み上げや国際経験を生かして働きたいと考えています。
これからITER機構職員を目指す方々に
メッセージをお願いします。
これまで、核融合に従事されてきた方はもちろん、私のように核融合とは違う分野でキャリアを形成されてきた方も、魅力的な公募があれば応募を検討されてはいかがでしょうか?
実際、私の所属するElectrical Engineering Sectionには約50人のITER職員が所属していますが、日本人のエンジニアは私一人しかいません(2025年9月時点)。日本ではたくさんの優秀な電気エンジニアの方々を見てきたので、少し寂しい気持ちがあります。特に電気エンジニアの方にも興味を持ってもらえるとうれしいです。
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