ITERブランケット遠隔保守システム用配管切断ツールの開発
2024年10月10日~13日に開催された福島廃炉研究国際会議2024(FDR2024)において、ITERプロジェクト部遠隔保守機器開発グループ 田中雄幸主任技術員が「ITERブランケット遠隔保守システム用配管切断ツールの開発」で優秀論文賞を受賞いたしました。
図1 左から中田健太郎研究員、武田グループリーダー、田中雄幸主任技術員、野口主幹研究員。
今回の受賞は、フランスで建設が進められているITER真空容器内のブランケット内を通る冷却水用配管に使用する、ブランケット遠隔保守装置の構成要素の一部である、配管切断ツールに関する工法立案及び開発の成果が評価されたものです。
ブランケット遠隔保守システム(図2)は、ITER真空容器内で保守作業を行う大型のロボット装置です。核融合反応時のプラズマ運転を維持する為には、真空容器内の清浄環境を確保するために、ブランケット交換時に発生する冷却水配管切断作業時の切粉を真空容器内に脱落させないことが求められます。また、ブランケット交換後に冷却水用配管を再利用、再溶接するために、ブランケット内(図3)の奥まった狭い部分に配置されている冷却水配管に対し、非常に細く長いツールを配管アクセス穴より挿入し、極力変形させずに切断する必要があります。
図2 ITERブランケット遠隔保守システムの概要
図3 ブランケットモジュール構造
受賞の対象となった一連の開発では、切断時の配管変形が極力小さくなり、かつ切削時の切粉を発生させないことを目指し、切断方法として切粉の発生しないスウェージカッターを採用し、冷却水配管と切断ツールの中心位置を合わせるためのセンタリング機構の開発を行いました。試作機にてその有効性を確認し、切断時の変形が最小となる切断条件を明確にしました。
今後も、配管切断ツールの更なる進化に加え、その他遠隔保守で使用するツールの開発を進めることで、ITERプロジェクトへ貢献できるよう尽力していきたいと思います。
【参考】
■ 一般社団法人 日本機械学会|
International Topical Workshop on Fukushima-Daiichi Decommissioning Research 2024 (FDR2024)
■ FDR2024 Selected Paper