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ITER職員合格者インタビュー | 巣山 裕記さん

思わぬ展開で合格を勝ち取る!
これまでの道のりから今後の仕事に掛ける思いまで、
複数回の挑戦の末に
チャンスをつかんだ巣山さんに聞く

巣山 裕記さん(2023年12月 ITER機構職員採用)
合格ポジション:Procurement Officer

 巣山さんは、政府開発援助の様々な調達業務に携わってこられました。専門性高く経験豊かな巣山さんが調達の道で国際機関に挑戦しようとITER職員公募会員に登録されたのは2020年6月。 彼が複数回の挑戦の果てに合格を勝ち取った方法とは!?2024年4月の着任に向けた準備中の時期にインタビューさせてもらいました。国際機関らしい採用方法で合格通知を受け取ったエピソードもぜひお読みください。

インタビュー日:2024年2月20日

“いつか国際機関に関わりたい”という思いが
ITER機構の存在を知ることで具体的に

 ITER機構着任前は、日本の政府開発援助(ODA)の調達業務に特化した専門組織(一般財団法人日本国際協力システム(JICS))に勤めていました。担当する調達プロジェクトは多様で、インフラ施設の建設他、資機材や食料の調達も担当していました。調達の供与先は世界中の開発途上国の為、アフリカのルワンダやカリブ海島国のセントビンセントなど、普段旅行先にならないような国にも渡航しました。

「調達」という仕事は、経験を積むうちに魅力を感じ始めました。高等専門学校で建築設計を専攻し、建築設計事務所での勤務と青年海外協力隊派遣を経て、JICSに入りました。建築設計のバックグラウンドに加え、そこで建設工事の発注や機材調達、契約管理の仕事に関わるうちに、調達業務も奥が深く面白いなと思うようになりました。

働きながら、
通信制の大学院で修士号を取得

 将来のビジョンとして「いつか国際機関に関わってみたい」という漠然とした思いが常にありました。大半の国際機関のポストでは修士号が必須となるので、いつか希望のポストがみつかったときに応募できるよう、通信制の大学院を利用し、実務をしながら自分の専門分野の研究を行い、修士号を取得するなどの準備も同時に進めていました。修士号を取得した放送大学大学院は、様々な分野の専門家が学生となり、指導を得ながらそれぞれの研究テーマを追求するというスタイルの大学院でした。私は調達の仕事を行う中で、かねてより契約紛争管理に興味があったので、法学系のゼミに所属し、国際建設契約における紛争管理を題材とした研究を行いました。

2020年3月に修士号を取得したのち、国際機関の公募情報を積極的にチェックしはじめていたところ、ITERのポストが目に留まりました。これまでの仕事でも、現地に出張し相手国の人々と共に開発プロジェクトに取り組むことは喜び深いものでしたが、基本的に日本と相手国との二国間協力の仕事です。ITERのように多国籍のメンバーが集まり協力し、より幅広い地球規模の課題に取り組む、という国際機関の仕事にはまた別の憧れも感じました。恥ずかしながらそれまでITERのことを知らなかったのですが、その崇高なミッションを知りITERに強い興味を持ったので、より詳しく知るべくプレエントリー(ITER職員公募会員登録)をしました。

ITER機構の職員公募に心を動かされた
2つのポイント

 1つは、まさにこれまで私が実務でやってきて、今後もその専門家として生きていきたいと思っていた、建設工事の発注と契約管理の専門性が活かせる可能性があること、2つ目はITERプロジェクトという大規模できわめて複雑なプロジェクトに携わることで、さらに成長できると思ったこと、この2つがバチっと重なり「これだ!!」と感じたのを覚えています。

日本国内機関主催セミナー参加で情報収集

 プレエントリー後には、日本国内機関主催の各種セミナーで現役職員の方々のお話を聞いたり、新たな公募情報のメールを受信する度、自分にマッチするポストはないかと、ドキドキワクワクしながら確認していました。

国際機関は日本人が少ないイメージでしたが、セミナーに参加するたびに新しい日本人職員の方に出会い、組織内での日本人の存在を実感できたのと、ITER参加極と国内機関(Domestic Agency(DA))間の結びつきもあり、他の国際機関とは色が違うことも感じました。また別の回のセミナーで、ITER職員の契約期間が他の国際機関と違い5年で家族も落ち着いて過ごせ、子供の教育のための学校もあるという情報が得られたのは応募するにあたっての大きな安心材料でした。

家族の応援も大きな後押しになりましたが、応募支援チームの皆さんのおかげで応募時点から前向きに取り組むことができ、複数回の応募も諦めずに頑張れました。なので、点数をつけるとしたら、日本国内機関の支援は満点です!

諦めない姿勢が
『ロスター制度』というチャンスを
引き寄せた瞬間

 一番最初の応募時は、面接で質問がうまく理解できず焦ってしまったり、その後の筆記試験で時差を間違え開始時刻に出遅れてしまったり、さらにはその回答中にパソコンが突然ダウンし回答が消えたり、など本当にトラブル続きでした。非常に苦い思い出です。ですが、この経験がそれ以降の応募において入念な準備をすることの動機付けともなり、面接時や筆記試験時にも、「初回以上の失敗はないから大丈夫。」という心のお守りにもなりました。

公募への挑戦は4回にのぼりました。この間、面接で頭が真っ白になる原因は場数が足りないことだと思い、来るチャンスをつかむためオンラインの英会話教室で英語学習も頑張りました。いざ4回目の応募では2度目の面接のチャンスをつかみ、パソコンも買い替え、満を持して面接に臨みました。

実はこの4回目の応募にはこれまでの応募とは異なるストーリーがあります。 面接後、一旦不採用通知を受け取っており、やはり叶わぬチャレンジだったと、自分自身気持ちの整理をし終えたところ、逆転劇があったのです。約1ヶ月後のある夕方、ITER機構から突然直接の電話があり、「まだITERに関心はあるか?」と聞かれ、働きたいという意思を回答しました。本当に思いがけない連絡だったので、電話を切ってから驚きと喜びでしばらく手が震えました。その後、何度かITER機構とのメールでのやり取りを経て、後日正式に採用通知がありました。

選考終了後に改めて連絡をもらえたのは、国際機関で採用しているロスター制度のおかけであり、長年挑戦してきた努力が一気に報われたような気がしました。

※ロスター制度:応募プロセスを通じて既に適正で採用可能と判断された候補者のリストをロスターと言い、そのリストの登録者に対し、過去の応募と類似の公募が出た際、機関から直接公募案内を受けたり、一般的な選考プロセスとは異なる形で雇用可能となる制度。

                                                                                                                                                                          2024年4月、ITER機構にて、新しい同僚との仕事風景。

これからITER機構職員になりたいという方へのメッセージ

 これまでの仕事は、いろいろな国で別々の案件が同時に進行するという感じでしたが、これからはITERプロジェクトの成功という共有目的に向かってたくさんの人が一致団結する、という私にとって初めての環境に非常にワクワクしています。プロジェクトの成功が人類共通の願いでもあるという取り組みに携わる機会を得られたことは非常にうれしく、全力投球でプロジェクトに貢献していきたいと思っています。

私は『国際的な建設工事の契約管理や紛争解決のエキスパートになる』という長期的なキャリア目標を持っていて、ITERという複雑で大型の建設プロジェクトで経験を積めることは、間違いなくその目標に近づくための道になると信じています。

これからITER職員を目指す皆さんも、挑戦して失敗することを負い目に感じなくて良いので、自分が「これだ!」と思って目指した目標は、誇りを持って挑み続けてください!

                                                                     2024年4月、現地支援スタッフ、日本人職員の方たちに誘われて、サント・ボーム山塊登山へ。左下が巣山さん。


ITER職員公募会員登録について

ITER日本国内機関(JADA)では、ITER職員公募に関心をお持ちの方を対象に、登録制度をご用意しています。登録いただいた方には、以下の情報・サービスを提供いたします。

  • 最新の公募ポストのご案内
  • 応募書類の英文添削(実公募に応募予定の方)
  • 面接の英語トレーニング(書類審査に合格した方)
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  • ITER NEWSLINE、JADA のニューストピックス案内
  • その他 ITER職員応募に役立つ情報のご案内

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