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モナコ公国/ITERポスドクフェローの体験記

モナコ公国/ITERポスドクフェロー体験記「なんで、私が南仏に!?」

                                    筑波大学プラズマ研究センター 東郷 訓
       モナコポスドクとインターン生でのpitluckパーティ (2019年8月, 右から2番目が東郷さん)

文化の違いの点でも英語力の点でも、海外には苦手意識があった。そんな私が、二年間もフランスに滞在し、
ITER機構で研究したなんて、帰国した今でも嘘のようである。201812月からモナコ公国/ITERポスドクフェロー(以下モナコポスドク)として勤務した二年間の体験を綴る。

モナコポスドクの枠組みでは、二年毎にITER参加7極とモナコ公国から5名の若手研究者が選出される。応募に当たってはCVの作成が必要となる。個人的には初めてのCV作成であったが、日本国内機関窓口(量研)による「CVの書き方」のページや添削が大いに参考になった。英語での面接も初めてだったので、面接当日までにITERインターン経験者や過去のモナコポスドクから助言をもらった。さらに量研の面接トレーニングも二度受けた。面接官はLuce科学運転部門長を筆頭に5名であった。実際の面接は、事前に通知された流れや予想された質問の内容と大きく異なっていた。そのため混乱し、拙い受け答えになってしまったが、幸いにも合格することができた。

着任直前まで、とにかく英語力に不安があったため英会話教室に通い詰めた。フランスでの住居は、Aix-en-Provence(以下エクス)のアパートを着任前に契約できた。部屋探しや契約に際しても量研の現地支援グループにサポートいただいた。

ITER機構での研究テーマはジャイロ運動論コードXGCを用いた周辺プラズマの乱流解析であった。着任してすぐにXGCの開発元のPPPLに出張し、初期のトレーニングを受けた。基本的なコードの使い方を習得後、研究テーマの詳細を改めて打合せ、ペレット入射時の径方向輸送に着目することになった。研究を進めるに当たっては、科学部門の細川哲成さんやPPPLスタッフに技術的なサポートをいただいた。そのお陰でペレットモデリングの開発・実装を効率的に進めることができ、国際会議での発表や、論文の投稿もできた。

ITER機構の科学部門では皆で一緒に食堂でお昼を食べる習慣があった。クリスマスや誰かの最終勤務日には近くのレストランに行ったりと、仕事以外でも人間関係の良いグループだと感じた。またモナコポスドクの同期やインターン生も全員エクスに住んでおり、しばしば楽しい時間を共有できた。仕事でもプライベートでもいろんな訛りの英語の聞き取りに手を焼いたが、みんな丁寧に話してくれ、とてもありがたかった。日本人職員の皆さんも非常に親切で、近所のレストランや観光にもよく誘って下さったので、孤独感を感じることもなかった。

二年目以降はCOVID-19の影響でロックダウンに二度巻き込まれるという、ある種貴重な経験ができた。特に誰も歩いていないエクスのミラボー通りを見ることはなかっただろう。20205月にはモナコポスドク同期と共に、モナコ公Albert IIとオンライン面談するという大変貴重な経験をさせていただいた。Bigot機構長とLuce部門長も同席する中、モナコ公Albert IIに個々の研究の報告を行った。これもロックダウンの良い側面だったのかもしれない。








(編集後記)
ポスドク終了後、筑波大学プラズマ研究センターの助教に就任されました。おめでとうございます。