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令和2年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞を受賞



 

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令和2年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞を受賞
     

 ITERプロジェクト部ITER計画管理グループの布谷嘉彦グループリーダーと超伝導磁石開発グループの辺見努主幹研究員、諏訪友音研究員、高橋良和派遣職員(日本アドバンストテクノロジー(株)より)、堤史明派遣職員(トータル・サポート・システム(株)より)計5名は、「イーター中心ソレノイド用超伝導導体の開発」の業績により令和2年度の科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞を受賞しました。本来、2020年4月14日に文部科学省にて表彰式が行われる予定でしたが、新型コロナ感染拡大により、残念ながら中止となりました。令和2年6月17日に、那珂研管理棟にて、送られてきた表彰状と楯を、栗原核融合エネルギー部門長から授与されました(図1、2)。

 今回の受賞は、南フランスのサン・ポール・レ・デュランスで建設が進められているITER向けに、日本が調達した中心ソレノイド用超伝導導体の開発が評価されたものです。なお、この導体はすべて米国に輸送され、米国にて中心ソレノイドとして製作中であります。
 従来製法技術による中心ソレノイド用超伝導導体(図3)は、ITERの運転で中心ソレノイドに要求される約3万回の繰返し運転により超伝導性能が著しく低下することが、導体のサンプル試験で判明し、新たな開発が必要とされました(図4)。

 本開発では、製作時の素線の変形を許容変形量内に抑えつつ、繰り返し電磁力による超伝導素線の変形も抑制できる短い撚線
(注1)を製作することができる独自の方法を考案しました。また、中性子解析を用いて、導体内部の素線のひずみ状態を直接測定できる新たな手法を確立したことが高く評価されました。

 本開発により、中心ソレノイドに用いることができる超伝導性能が低下しない大電流超伝導導体を滞りなく製作することができました(図4)。また、その導体の性能評価方法を確立しました。これらにより次期核融合炉の設計にも応用できる重要な工学技術に貢献しました。

 本成果は、全導体の製作をスケジュール通りに完了させ、国際約束を履行し、ITERにおける日本の国際的プレゼンスの向上及び次世代の核融合原型炉の設計や電力系統安定化の大電力電力貯蔵システム(SMES
(注2))に用いる超伝導導体の技術基盤の構築に寄与しています。

関連サイト:量研ホームページ「令和2年度文部科学大臣表彰科学技術賞を受賞しました」


(注1)撚線:細い導線を撚り合わせた心線を持つケーブル。
(注2)SMES(Superconducting Magnetic Energy Storage system):超伝導電力貯蔵装置。超伝導の電気抵抗ゼロを利用して、超伝導線のコイルに電流を流しても電流が減衰することなく、一定の磁場を発生し続けるため、電気エネルギーを磁気エネルギーとして貯蔵することができる。

 


図1  栗原部門長(中央)と表彰状を持つ受賞者
(辺見研究員はフランスで勤務中のため欠席)


 

図2  授与された楯



図3  ITERの中の中心ソレノイドとその超伝導導体



図4  繰り返し運転による導体の超伝導性能変化
(従来導体(下)と改良導体(上))