■ ITER機構インターンシップ体験記:泊瀬川 晋
2019年の1月7日から7月7日までの半年間、南フランスのサン・ポール・レ・デュランスに所在するITER機構にて、インターン生として勤務する機会を得ました。配属先は、主に超伝導コイルへの電流供給用系統の設計、またその関連機器の調達を行っている部署CPSSです。
守備範囲がいわゆる”機械系”の私は「何故”電力系”への配属のお許しが?」としばらく考えていたが、そんな畑違いさを感じていた私を、CPSSの職員の方々はむしろ歓迎して受け入れてくれました。
「これは全部君の仕事だからよろしくね。」と言い渡された私の業務内容は、超伝導コイルに接続される電力系統の制御安定性を簡易的に評価ができる数値解析コードの作成。限られた時間の中で諸系統のデザイン調整を効率的に行うためには非常に重要なミッションである。
一流の国際機関で重要度が高く挑戦的な課題が一任されることへのプレッシャーを感じつつも、背景の有無に関わらず自身を一人の技術者(technician)として扱ってくれていることに嬉しさを覚えた。初めの一か月はひたすら勉強。迷惑だと思いつつも同僚の職員を質問攻めにし、通勤時間や帰宅後の時間を使い参考書や論文を読み漁る毎日。そして本題に取り組み始め、更に一か月、成果がCPSS内で認められ始めました。
それからは仕事が楽しくなる一方で、ほぼ毎日始発のバスで通勤、終バスで退勤。異分野かつ異文化が入り混じるという何もかもが初めての環境の中、「帰りたくない」という想いを巡らせつつ心ゆくまで業務に取り組みました。最終的に目標は達成できましたが、これらは全て、日々専門用語とジョークを交わすCPSSの方々をはじめ、別れ際に涙ぐんでくれたその他のEEDの方々の支えがあった結果なのだと、今でも非常に感謝しています。
以上は業務に直接関連した話でありますが、その他にも例えば、部署外の国籍問わず様々な経歴を持つITER職員の方々や政府からの来賓との交流といった”国際機関”という場所ならではの貴重な経験や、今でも他愛もないメッセージのやり取りをする程のインターン仲間との出会いもありました。もちろん地名を耳にすれば誰もが羨む南フランスでの生活自体も楽しみ、困難あれど様々な方向で充実したインターン生活。自身の中での成長を噛みしめ、「また戻ってこよう」という念いが芽生えました。