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第2回量研理事長表彰 研究開発功績賞・特賞を受賞

 ■ 第2回量研理事長表彰 研究開発功績賞・特賞を受賞
  平成29年7月5日、量研発足後2回目となる理事長表彰が行われ、核融合エネルギー研究開発部門那珂核融合研究所
 ITERプロジェクト部RF加熱開発グループ(ITERジャイロトロン開発グループ)が「ITER加熱・電流駆動システム用
 ジャイロトロンの実機開発」により、第2回QST理事長表彰の研究開発功績賞・特賞を受賞しました。
  ITERでは、周波数170GHz、出力1MWの性能を有するプラズマ加熱用マイクロ波発生装置「ジャイロトロン」を
 24機導入する計画で、ロシアや欧州と分担し、日本は8機を調達します。今回開発に成功したITER用ジャイロトロン
 は、1MWで長時間動作を安定に、かつ長期間運転することができます。
  ジャイロトロンは、強磁場中で加速された電子ビームの回転エネルギーを円筒形の空洞共振器でマイクロ波エネル
 ギーに変換して出力する電子管です(図1)。その最大出力は、マイクロ波発生時の空洞内壁への熱負荷により制限
 されます。許容以上の熱負荷は空洞形状に歪みを生じさせ、安定したマイクロ波発生が維持できなくなるため、熱負
 荷はできる限り低減する必要がありました。
  そこで、従来より空洞内径を15%ほど拡大して熱負荷を抑え、1MW出力時でも空洞内壁の変形を抑える設計に改
 良しました(図2)。しかし、170GHzと異なる周波数のマイクロ波が観測され、安定な170GHzマイクロ波発生を阻
 害をするという問題に直面しました。
  そこで、当グループで開発してきたジャイロトロンが、電子ビームの回転運動エネルギーを自由自在に制御できる
 という特徴を持つ三極型電子銃を有している点に着目し、運転初期に電子の回転エネルギーを低くして170GHzマイク
 ロ波を低出力で発生させて異周波数のマイクロ波発生を抑制し、その後170GHzマイクロ波出力を増加させるという運
 転方式を考案しました(図3)。
  その結果、1MW出力の170GHzマイクロ波を安定に、かつ長期間運転を可能とするITERジャイロトロンの開発に成
 功しました。これらの開発を経て、2017年2月までにロシアや欧州に先駆けてITERジャイロトロン2機を完成させま
 した。
  この成果により、第2回QST理事長表彰の研究開発功績賞・特賞を受賞しました。



図1 ITERジャイロトロン(左)とITER加熱・電流駆動システム(右)


  
   図2 マイクロ波出力に対する空洞の熱負荷     図3 異なる周波数を抑える新しい運転方式


 
           図4 理事長表彰を受書した       図5 表彰式集合写真 (平成29年7月5日)
        ITERジャイロトロン開発グループ        池田主任研究員:前列右から2人目 

                                平内主任技術員:後列左端


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