■ 第2回量研理事長表彰 創意工夫功労賞を受賞
平成29年7月5日、量研発足後2回目となる理事長表彰が行われ、核融合エネルギー研
究開発部門那珂核融合研究所ITERプロジェクト部RF加熱開発グループの平内慎一主任技
術員が「セラミック式真空中高周波電力密度測定装置」の考案により、第2回QST理事長
表彰の創意工夫功労賞を受賞しました(図1)。
核融合用の高周波加熱装置は、超高出力の電子レンジのようなものです。装置を高性
能化するには、高周波をプラズマに伝える導波管の伝送効率診断が重要です。
図1 理事長表彰受賞した
平内主任技術員
本考案では高周波がセラミック板を透過するときの発熱分布を測定し、電力密度分布を評価します。金属で囲まれた導波管内部では、赤外線による温度分布モニターが困難なので、高周波透過後にセラミック板を素早く引き抜き、導波管外で測定します(図2)。
導波管の円形断面における電力密度が、中心にピークを持つ回転対称な分布(ガウス状分布)に近いことが良好な伝送の目安となります(図3)。
図2 高周波電力密度測定装置の模式図
図3 電力密度測定結果
この考案を実用化するにあたり、運転中の高周波加熱装置を長時間停止させないように、導波管内の
真空を破らず測定できる測定装置を工夫して試作し(図4)、測定を成功させました。
この装置は、核融合研究に貢献するだけでなく、同様の伝送方式をとる高周波利用装置の機器調整や
診断への応用が可能です。
図4 「セラミック式真空中高周波電力
密度測定装置」の試作機