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ITER建設サイトの状況(2024年2月現在)

トカマク建屋外観(2024年2月)

ITER建設サイト全景

変電設備から撮られた夕暮れの写真。右奥にはトカマク建屋が見えます。

ITER建設サイト建屋写真

オレンジのジャケットを着た作業員が写真中央下に見えます。大きさを比較すると非常に大きな建物が立ち並んでいることが分かります。

ITER建設サイトの180ヘクタールの広大な敷地の中には、42ヘクタールのITERプラットフォームがあり、ITERを建設するための複数の建屋が配置されています。施設の中心であるトカマク建屋は、高さ60メートルの鉄筋コンクリート製の7階建て建物です。ITER装置の事前組み立ては隣接する組立ホールで行われます。トカマク建屋近くにある補助建物には、冷却塔、電気設備、制御室、廃棄物管理施設、ITERマグネットを冷却するための液体ヘリウムを供給する極低温プラントなどがあります。
【参考】ITER機構サイト
BUILDING ITER

ITER建設サイト

ITER建設サイト(2023年9月)

サーマルシールドシステムの修理

ITERの巨大なサーマルシールドシステムの1セクションで少数の小さな漏れが発見された時、プロジェクト リーダーは存続にかかわる問題に直面しました。これは、配管を少し交換することで簡単に修正できる個別の問題なのか、それともシステムに影響を与えるより深刻な問題なのか? 20kmのサーマルシールド冷却配管すべての問題なのか? 答えを見つけるには、革新的なX線断層撮影技術と、科学者がこれまで測定されたことのないほど小さな亀裂を測定しないといけません。
【参考】ITER機構サイト
ITER NEWSLINE(15 JAN, 2024)

サブセクターの設置イメージ

試験のためにサーマルシールド冷却パイプの一部を取り外します(2024年1月)

真空容器の修理

ITER 真空容器セクターに影響を与える寸法不適合の修復作業が開始されました。 すべての試験と認定手続きが完了する2月末から3月初めにかけて、セクター #6 と#7 は並行して作業が開始されます。最初の作業は開先接合部の研削、次に手作業による金属の蓄積、そして開先の公称寸法を復元するための最終加工となります。修理作業期間中、セクター#6と#7は、組立ホールにある巨大なサブセクター組立ツールに配置された状態で作業が行われることになります。
【参考】ITER機構サイト ITER NEWSLINE(12 FEB, 2024)

サブセクター組立ツールに配置されたセクター#6と#7(2024年1月)

修理作業の準備のためサーマルシールド、TFコイルが取り外されます(2024年1月)

下から見たセクター#7。(2024年2月)

サブセクター組立ツールに配置されたセクター #6 と#7(2024年2月)

組立ホールでは、SIMANN(SIMIC-Ansaldo)コンソーシアムの計測技術者が真空容器セクター#7の開先接合部の超精密計測を行っています。(2024年2月)

サーマルシールドセグメントの大きさ(約15メートル×10メートル)も計測技師にとって課題の一つであり、複数の装置からレーザー観測を行わなければいけません。(2024年1月)

柔軟性の高いサーマルシールドセグメントの修理作業は変形の恐れがあるため、各調査ステップの前に変形の性質と大きさを予測し、作業後にその変化を測定する計測技師が必要です。ここでは、計測技師がATS600を使ってシェルスキャンを行っています。(2024年1月)

真空容器のサーマルシールドの外側を修理前に調査します。フランジの特徴(穴シリンダー)をキャプチャすることで、As-builtリファレンスモデルを定義するのに役立ちます。(2024年1月)

真空容器サーマルシールド最初の修理部品が出荷される

2023年にITER機構と締結した修理契約に基づき、イノックスCVAインドは真空容器サーマルシールド2セットの修理を開始しました。最初の修理部品がITERへの出荷のため工場を出発しました。(2024年2月)
【参考】ITER機構サイト
ITER NEWSLINE(04 SEP, 2023)

ITERへ出荷のためインドの工場を出発する真空容器サーマルシールド最初の修理部品

欧州における真空容器のAIによる革新

ITER真空容器の5つのセクターの調達を担当する欧州の真空容器チームは、溶接欠陥の予測に人工知能(AI)を使用することの利点を探るために2年間取り組んできました。欠陥のある真空容器の溶接部から過去に収集したデータを使ってAIモデルを訓練し、進行中のどの溶接部に欠陥が生じるかを予測することで、チームは決定的な結果を持つAIツールを作成することができました。
【参考】ITER機構サイト
ITER NEWSLINE(29 JAN, 2024)

ITERへ出荷のためインドの工場を出発する真空容器サーマルシールド最初の修理部品

欧州初の真空容器セクターがリークテストに合格

欧州国内機関Fusion for Energyは、同機関が調達を担当する5つの真空容器のうち、最初のセクターがリーク試験に合格したと発表しました。リーク試験は窒素とヘリウムを使用して気密性を評価するもので、出荷前に合格が必要な工場受入試験のうち最初の試験です。

リーク試験に合格した真空容器セクター(2024年2月)

中心ソレノイドの組み立て

2つ目の中心ソレノイド・モジュールが1つ目のモジュールに完全に設置されました。チームは次のモジュールを設置する準備を進めています。

組立ホールで組立作業が行われている中心ソレノイド(2024年1月)

JT-60SA統合プロジェクトチームが経験を共有

欧州と日本が共同で研究開発を進めるJT-60SAは2023年、世界最大のトカマクとして運転を開始しました。 (JT-60SAは2023年10月にファーストプラズマを達成し、12月にはピエトロ・バラバスキITER機構長と鎌田裕副機構長が出席した式典で運転開始を祝いました。) 2月初旬、ITERで開催された技術調整会議の冒頭で、JT-60SA統合プロジェクトチームは、装置の組立及び統合試運転の段階で得られた教訓をITERコミュニティと共有する機会を得ました。(2024年2月)
【参考】ITER機構サイト
ITER NEWSLINE(05 FEB, 2024)

ITERで開催された技術調整会議

ITER・EAST共同実験(再ベースライン化のためのデータ収集)

1月、ITERの科学者たちは中国のEASTトカマクの研究者たちと共同で物理実験を行いました。この実験は、プラズマに面する材料としてのタングステンの信頼性と操作性に関するITER特有の疑問を解決するために計画されました。1 月 18 日から 26 日まで、EAST の制御室では「目が覚めるようなペース」で実験が実行されました。期間中に 6つのホウ素化プロセスと 400 以上のトカマクパルスが実行され、必要なデータが豊富に提供されました。 EAST チームは、ITER 機構スタッフや外部専門家と協力して、適切に分析、理解、発表するためにかなりの労力と時間を費やしました。
【参考】ITER機構サイト
ITER NEWSLINE(05 FEB, 2024)

EAST の制御室にてITER・EAST共同実験の様子(2024年1月)

熱回収によるエネルギーの節約

ITERクライオプラントの18メガワット級ヘリウム・コンプレッサーは、寒い季節にITERプラットフォーム上の主要施設を室温に保つため、大量の熱を発生します。この熱を回収するプロジェクトは、フランスの電力供給会社EDFからITER機構に550万ユーロの投資回収をもたらし、今後大幅な節約を実現することになります。
【参考】ITER機構サイト
ITER NEWSLINE(29 JAN, 2024)

合計18基のメガワット級ヘリウム圧縮機が6基の''トレイン''に配置され、気体ヘリウムを約21バールの圧力まで高め、コールドボックスに供給します。この過程で発生する大量の熱は回収され、寒冷期にITERプラットフォームの主要施設を室温に保つために使用されます。(2024年1月)

ヘリウム圧縮プロセスで発生した熱を回収するために、液体ヘリウムプラントに 12 台の追加の熱交換器が設置されています(写真は3台)。(2024年1月)