ご挨拶
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
核融合エネルギー研究開発部門 部門長
牛草 健吉
核融合エネルギー研究開発部門では、那珂核融合研究所と六ヶ所核融合研究所を拠点として、太陽でおきている核融合反応を地上で実現し、エネルギーとして利用するための研究開発を行っています。核融合は、温暖化の原因となる二酸化炭素を排出しないことから地球環境に調和し、安全性にも優れ、枯渇することのない新しいエネルギーであり、言わば未来を切り拓く研究開発を行っています。
現在、我が国を始め、欧州、ロシア、アメリカ、韓国、中国、インドが共同で実施しているITER(国際熱核融合実験炉)計画において、50万キロワットの核融合エネルギー発生を世界で初めて実証する実験炉の建設がフランスにおいて行われており、量子科学技術研究開発機構は我が国の国内実施機関としてこの活動に参加しています。
那珂核融合研究所では、このITER計画に関して、各加盟者が分担して製作するITERの機器のうち、我が国が担当する最先端技術を用いた超伝導コイル等の開発と製作を進めるとともに、ITER計画を運営する国際機関であるITER機構への職員の派遣などの人的貢献を行っています。
また、ITER計画を支援し、かつITER計画の次の段階として核融合による発電を初めて実証する「核融合原型炉」の早期実現を目指すことを目的に、日欧が共同で「核融合エネルギー研究分野における幅広いアプローチ(BA)活動」を実施しており、量子科学研究開発機構は、この活動にも我が国の国内実施機関として参加しています。
BA活動に関して、那珂核融合研究所ではITERと同じ型方式で我が国最大の核融合実験装置「JT-60」を、超伝導コイルを備えた新たな実験装置「JT-60SA(Super Advanced)」に改造する「サテライト・トカマク計画」を、六ヶ所核融合研究所では「国際核融合エネルギー研究センター事業」及び「材料照射施設の工学実証・工学設計活動」の2つのプロジェクトを進めています。
さらに、ITER計画やBA活動に加え、実験炉ITERを活用した研究開発、JT-60SAを活用して進める先進プラズマ研究開発、BA活動で整備した施設を活用・拡充して進める核融合理工学研究開発へと事業を展開することで、「核融合原型炉」への道を拓く核融合研究の国際的中核拠点としての役割を果たしていきたいと考えております。
今後とも、皆様のご理解とご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。