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吉川允二記念核融合エネルギー奨励賞

過去の受賞者紹介

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2020年度 吉川允二記念核融合エネルギー奨励賞 受賞者紹介

ITER計画や幅広いアプローチ(BA)活動などに代表される未来の核融合エネルギーの実現に寄与しうる内外の研究・技術開発活動、調査活動、社会連携・貢献活動等の中で、若手人材による優れた成果かつ優れた成果が見込まれる活動を顕彰することを目的とした吉川允二核融合エネルギー奨励賞において、以下の受賞対象分野、

①ITERやBAに直接関わる研究・技術開発活動など。
②上記以外で核融合エネルギーの実現に必要な研究・技術開発活動、または将来これらの研究・技術開発に寄与すると見込まれる国内外の基礎的・基盤的な研究・技術開発活動など。
③長期的な視野に立って核融合エネルギーの実用化や核融合を応用したエネルギー環境問題の解決に向けたシナリオ作成に寄与する調査研究活動など。
④核融合エネルギーや関連する研究、開発、利用、実用化、安全性評価に関する社会との連携、教育、広報、啓発活動など。

に対し、2020年度は、3件の応募がありました(分野①:1件、分野②:2件)。選考委員会において厳正な審査を行い、調整委員会は授賞候補2件(分野①:1件、分野②:1件)を推薦することとし、運営会議で奨励賞2件が決定されました。

2020年度の選考委員は次の方々です(敬称略)。

飛田 健次(委員長、東北大学)、谷口 正樹(量子科学技術研究開発機構)、藤岡 慎介(大阪大学)、村上 定義(京都大学)、林 巧(量子科学技術研究開発機構)、
渡邊 清政(核融合科学研究所)、 室賀 建夫(核融合科学研究所)以上7名

受賞者の紹介

奨励賞 
向井 啓祐 氏(京都大学)  

受賞テーマ:

「核融合ブランケット材料の構造・特性、燃料生産性能に関する基礎研究」

選考理由:

向井氏はブランケット機能材料(チタン酸リチウム及びベリライド)の化学特性及び構造材料である低放射化フェライト鋼との共存性など、増殖ブランケットの開発に関する重要な研究を推進してきた。チタン酸リチウムにおけるリチウム拡散やリチウム蒸発特性はブランケット設計温度に係る基礎データとなる。また、ベリライドの電子構造測定に基づく化学結合状態のマッピング分析は内部で生じている反応を可視化した先駆的な研究である。選考委員会は、核融合原型炉の増殖ブランケット開発に焦点をあてた一連の研究成果とこれまでの取り組みの姿勢を高く評価し、奨励賞に値すると判断した。

向井 啓祐 氏

奨励賞
向井 啓祐 氏


受賞者の抱負:

この度は、栄誉ある吉川允二記念核融合エネルギー奨励賞を授与いただき誠にありがとうございます。本受賞の対象となりました固体増殖材の研究を遂行するにあたり、これまで指導して下さった先生方、支援していただいた研究者の皆様に深く感謝申し上げます。本研究では、固体増殖材(リチウムセラミックス)の高温における構造やイオン伝導パス、蒸発特性やそれが低放射化フェライト鋼の腐食に与える影響を調べました。固体増殖材は核融合炉ブランケットにて燃料生産を担う機能材料であり、特に高温での化学的な挙動は、炉の連続運転に向けた重要な知見であると考えています。私は博士課程修了後、ドイツ・カールスルーエ工科大での滞在を経て、現在は京都大学で研究を行っておりますが、多くの研究者、時には専門分野が異なる方との意見交換を通じて研究のアイディアを得ることが出来たと実感しております。本受賞を励みとして、今後も国内外の研究者の皆様と連携し、研究に精進してまいりたいと思います。引き続き、皆様のご指導、お力添えを賜りますよう、お願い申し上げます。


奨励賞
権 セロム 氏(量子科学技術研究開発機構) 

受賞テーマ:

「核融合炉核計算のための核データライブラリ検証研究」

選考理由:

権氏は核融合DT中性子源FNSを用いた核データライブラリーの検証実験をとおして既存の核データライブラリENDF/B-VⅢβ4及びTENDL-2017において20MeV以上の中性子入射に対するFe等のデータに不備があることを明らかにし、これらのライブラリ改訂に貢献した。さらに、FENDL-3.1dについては、鉄を含む全180核種中7割以上の核種で20MeV付近の残留核生成収率データに誤りがありDPAが過小評価されている問題を指摘し、その修正法を提案した。これらの成果は、日本が計画中の核融合中性子源A-FNSの設計への寄与が期待される。選考委員会はこれらの研究成果と、核データライブラリの検証に地道に取り組んできた姿勢を高く評価し、奨励賞に値すると判断した。

権セロム 氏

奨励賞 
権 セロム 氏


受賞者の抱負:

この度は名誉ある吉川允二記念核融合エネルギー奨励賞をいただき大変嬉しく思っております。たまたまですが、今回の授賞式の日が、私の誕生日でもあったので、すごく良いプレゼントをいただけたと思っております。 この場をお借りして、これまで本研究を遂行できるように、ご支援ご指導していただいた方々にお礼を申し上げます。私の認識が足りないだけかもしれませんが、特に核融合分野で、核データの精度検証に関わっている研究者の数は少ない気がします。 もちろんそのような背景もあり、私はここ数年間、今回受賞対象でもある「中性子入射核データの検証」をほぼひとり舞台状態で行うことができました。 今回の受賞でこれまでの成果が評価されて嬉しい反面、実はこれをきっかけに、このような研究に興味を持っていただける他の研究者とのつながりもほしいと思っている次第です。 現在、私は量子科学技術研究開発機構の六ヶ所核融合研究所にて、核融合中性子源A-FNSの設計に関する研究開発を行っており、それをきっかけとして、今まで注目してきた「中性子入射核データ」から、少し視野を広げ「重陽子入射核データの検証」にも取り組んでいます。 今後も引き続き、核融合炉の実現に貢献できるよう、地道に邁進してまいりますので、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。