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吉川允二記念核融合エネルギー奨励賞

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2018年度 吉川允二記念核融合エネルギー奨励賞 受賞者紹介

ITER計画や幅広いアプローチ(BA)活動などに代表される未来の核融合エネルギーの実現に寄与しうる内外の研究・技術開発活動、調査活動、社会連携・貢献活動等の中で、若手人材による優れた成果かつ優れた成果が見込まれる活動を顕彰することを目的とした吉川允二核融合エネルギー奨励賞において、以下の受賞対象分野、

①ITERやBAに直接関わる研究・技術開発活動など。
②上記以外で核融合エネルギーの実現に必要な研究・技術開発活動、または将来これらの研究・技術開発に寄与すると見込まれる国内外の基礎的・基盤的な研究・技術開発活動など。
③長期的な視野に立って核融合エネルギーの実用化や核融合を応用したエネルギー環境問題の解決に向けたシナリオ作成に寄与する調査研究活動など。
④核融合エネルギーや関連する研究、開発、利用、実用化、安全性評価に関する社会との連携、教育、広報、啓発活動など。

に対し、2018年度は、7件の応募がありました(①:1件、②:5件、③:1件)。選考委員会において厳正な審査を行い、調整委員会は授賞候補2件(①:1件、③:1件)を推薦することとし、運営会議で優秀賞1件と奨励賞1件が決定されました。授賞式は、第12回全体会合(平成31年2月13日、東北大学 金属材料研究所講堂)において執り行いました。

核融合エネルギーフォーラムの推薦に基づいて、受賞者には今後の発展のために研究助成金が国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(量研)から配賦されました。

2018年度の選考委員は次の方々です(敬称略)。

小西哲之(委員長、京都大学)、中西秀哉 (核融合科学研究所)、坂本宜照(量子科学技術研究開発機構)、㓛刀資彰(京都大学)、橋本直幸(北海道大学)、
永田正義(兵庫県立大学)、岡野邦彦 (慶應義塾大学)、矢木雅敏(量子科学技術研究開発機構)以上8名

記念写真

受賞者の紹介

優秀賞 
魏 啓為 氏(地球環境産業技術研究機構)

受賞テーマ:

「エネルギーシナリオ分析による核融合エネルギー開発戦略の提言」

選考理由:

核融合エネルギーの 2100 年までの市場可能性を、地球環境問題への対応と世界各地域の特性を考慮してエネルギーモデルによって分析した。この結果、核融合は競争力のある発電コストを達成できれば世界のいくつかの地域で大きな市場可能性を持つことを明らかにした一方、その技術開発目標をエネルギー市場の動向から設定されるメカニズムとともに示した。この成果はパリ協定以降の新たな世界のエネルギー市場における核融合の在り方、可能性を明らかにしたものであり、核融合エネルギーの研究開発に指針を与えると同時に核融合の社会的受容性に大きな影響を与えるものとして、高く評価された。研究者個人としても、核融合エネルギーに関する広範で確実な知識を持つ一方客観的に他のエネルギー技術と同列に評価する研究的姿勢を持ち、将来のエネルギー環境分野全般における活躍と核融合への貢献が期待される。

魏 啓為氏

優秀賞 (奨励金 20万円)
魏 啓為 氏(地球環境産業技術研究機構)


受賞者の抱負:

この度は栄誉ある賞を頂きまして、誠にありがとうございます。この場をおかりしまして、共同研究者の量子科学技術研究開発機構の方々をはじめ、ご指導賜っている諸先生方、弊所システム研究グループの皆様に、深く感謝を申し上げます。 21世紀後半の実現を目指す核融合エネルギーが広く普及するためには、将来時点において時宜を得た技術であることが不可欠です。長期の研究開発を行うための継続的な投資を呼び込み、実用化とその先への道筋を描くためには、エネルギーを取り巻く社会情勢・技術動向とその変化を理解し、シナリオ分析によって将来に向けた戦略を議論し、それを定期的に精査・更新することが肝要と考えております。特に核融合炉はそれ一基が大規模かつ複雑であり、建設が長期に渡るため、原型炉計画の段階で社会受容性を備えた商用炉を見据えた開発戦略を持つことが重要となります。 本研究では、エネルギーシナリオ分析による核融合エネルギー開発の長期戦略の提言を目的とし、長期シナリオにおける役割と目指すべき経済的開発目標を、社会における多様な開発目標と様々な不確実性を考慮して分析し、戦略的含意を得てまいりました。今後とも、皆様方のご指導ご鞭撻の程、宜しくお願い申し上げます。


奨励賞 
近藤 恵太郎 氏(量子科学技術研究開発機構)

受賞テーマ:

「国際核融合材料照射施設(International Fusion Material Irradiation Facility, IFMIF)の放射線工学設計と原型加速器の工学実証活動」

選考理由:

BA 活動の IFMIF-EVADA 計画において、LIPAc 試験施設の完成と RFQ による2.5MeV の陽子ビーム加速実験の成功という画期的なプロジェクト研究の成果において主導的な役割を果たした。また、照射試験施設の設計活動において放射線解析コードを整備して設計作業に用い、EVEDA 設計図書の完成に貢献するとともに、将来的には六ヶ所に設置が計画される中性子照射施設の概念設計においても中核的な役割を果たすと期待される。これらの研究開発活動実績および今後の核 融合開発における大きな貢献への将来性が、選考委員会において高く評価された。

近藤 恵太郎 氏

奨励賞 (奨励金 10万円)
近藤 恵太郎 氏(量子科学技術研究開発機構)


受賞者の抱負:

この度は、栄えある吉川允二核融合エネルギー奨励賞の受賞の栄誉を賜り、誠に光栄に存じております。私は2010年12月からドイツKITでIFMIFの工学設計活動に関わり、その後、2014年6月からは量研六ヶ所研に移り、IFMIF原型加速器の実証試験に取り組んで来ました。KITで仕事を始めた当時は博士課程を修了してまだ2年の若輩であり、大規模な設計計算の経験などなく、不安とプレッシャーの中で仕事を進めていたことを思い出します。当時の上司、同僚や家族の協力と励ましがあったからこそ、仕事を完遂することができたと思います。一方、現在取り組んでいる原型加速器の研究開発は、欧州の様々な国々から送られてきた構成機器を組み上げ、一つの加速器として動かすという、誰も経験したことのない困難な仕事です。ここ青森の地で、これまでの欧州での経験を元に、さらに日本人にしかできない国際貢献の形を模索しています。今回の受賞は、私のみならず、多くの同僚、六ヶ所で共にプロジェクトを進める多数の欧州スタッフにとっても励みとなるものです。我々は、世界最大電流を加速する加速器を実現するべく、毎日困難な取り組みを続けています。これからの六ヶ所研における研究開発の進展にご注目いただき、ご指導ご鞭撻を賜れればと思います。