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吉川允二核融合エネルギー奨励賞

過去の受賞者紹介

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平成26年度 吉川允二核融合エネルギー奨励賞 受賞者紹介

>ITER計画や幅広いアプローチ(BA)活動などに代表される未来の核融合エネルギーの実現に寄与しうる内外の研究・技術開発や調査研究の中で、若手人材による優れた成果かつ優れた成果が見込まれる活動を顕彰することを目的とした吉川允二核融合エネルギー奨励賞において、以下の受賞対象分野、

① ITERやBAに直接関わる研究開発活動など
② 上記以外で核融合エネルギーの実現に必要な研究開発活動、または将来これらの研究開発に寄与すると見込まれる内外の基礎的・基盤的な研究開発活動など
③ 長期的な視野に立って核融合エネルギーの実用化に向けたシナリオ作成に寄与する調査研究活動など

に対し、平成26年度は7件の応募がありました(①:2件、②:5件、③:0件)。選考委員会において厳正な審査を行い、調整委員会は授賞候補2件(①:1件、②:1件)を推薦することとし、運営会議で奨励賞2件が決定されました。授賞式は、第8回全体会合(平成27年3月12日、一橋講堂)において執り行いました。

核融合エネルギーフォーラムの推薦に基づいて、受賞者には今後の発展のために研究助成金が(独)日本原子力研究開発機構(以下、原子力機構)から配賦されました。

平成26年度の選考委員は次の方々です(敬称略)。

福山 淳(委員長、京都大学)、朝倉 伸幸(原子力機構)、上田 良夫(大阪大学)、小川 雄一(東京大学)、
鈴木 晶大(東京大学)、谷川 博康(原子力機構)、藤堂 泰(核融合科学研究所)、以上7名。

受賞者の紹介

研究助成テーマ:

「高効率ECH/ECCDのための最外殻磁気面外領域におけるEC波帯プラズマ-波動相互作用モデリング研究」

選考理由:

電子サイクロトロン波(EC波)によるプラズマ加熱および電流駆動(ECH/ECCD)の高効率化を目指して、トーラスプラズマ中のEC波伝播吸収特性の解明に理論および実験の両面から取り組み、効率向上につながる成果を上げてきたことが高く評価された。特に電子バーンシュタイン波へのモード変換やプラズマ周辺の低密度領域における偏波回転の精密な解析を実現し、励起条件の最適化を提案するとともに、EC波の遮断密度を越える高密度プラズマにおける電子バーンシュタイン波による加熱実験にも成功している。さらに周辺部における磁気面の崩壊がEC波の伝播吸収特性に与える影響を解明し、効率のさらなる向上を図るため、2次元波動伝播モデリングにも取り組んでおり、その成果が大いに期待できる。

奨励賞 (研究助成 80万円)
受賞者 伊神 弘恵 氏(核融合科学研究所)

受賞者の抱負:

この度は平成26年度吉川允二核融合エネルギー奨励賞「奨励賞」を頂きありがとうございます。従来電子サイクロトロン波の伝播特性はプラズマパラメータの空間分布を与え易い最外殻磁気面内で主に議論されてきました。しかし、磁場閉じ込め型装置におけるターゲットプラズマの密度が上がり、また装置規模が大きくなってきたことに伴い、真空から入射された電磁波が最外殻磁気面外に分布するプラズマ中を通過する距離が長い場合には、この領域でのプラズマ-波動相互作用(モード間結合/屈折,等)が無視できないことがわかってきました。本研究を進展させ、最外殻磁気面外のプラズマ-波動相互作用も考慮して、最終的に共鳴吸収される伝播モードに高効率で入射電力を結合させる電磁波入射条件や、入射条件に対する電力吸収効率・吸収領域の正確な予測を可能にし、漏洩波低減による装置負荷低減と必要発振電力の省電力化、閉じ込め・輸送解析精度の向上、ITERやJT60-SAをはじめとした大型装置での大電力の電子サイクロトロン共鳴加熱/電流駆動を用いる核融合燃焼プラズマ研究に貢献したいと思います。関係者各位のご助力を得ながら今後も精進して参ります。


研究助成テーマ:

「核融合炉用超電導コイルの電気絶縁材料の開発研究」

選考理由:

ITER用超伝導導体の性能検証試験において観測された、繰返し励磁に伴う導体性能の劣化現象に対して、その劣化原因を説明するモデルを独自に考案するとともに、中性子回折法により導体内素線の歪状態を初めて観測し、モデルの妥当性を検証した。その成果から導体性能劣化の防止策が提案され、ITER中心ソレノイドコイル用導体の設計改良に大きく貢献した業績が高く評価された。また、真空含浸手法を用いて新たに開発した耐放射線性絶縁材料により、超伝導トロイダル磁場コイルの絶縁含浸技術を確立し、ITERに適用可能な電気絶縁材料としてITER機構に選定されたことは特筆すべき成果である。さらに、より高い耐放射線性が要求される原型炉用超伝導コイルに使用可能な電気絶縁材料の開発に取り組んでおり、その成果が大いに期待できる。

奨励賞 (研究助成 80万円)
受賞者 辺見 努 氏(日本原子力研究開発機構)

受賞者の抱負:

平成26年度吉川允二核融合エネルギー奨励賞という栄誉ある賞を頂きありがとうございます。研究を遂行する上でご指導を頂きました先生方や関係者の皆様に深く感謝申し上げます。受賞の対象となった研究は、ITERに用いる超伝導導体の劣化原因の解明に関する研究と耐放射線性絶縁材料の開発です。超伝導導体の劣化機構に関する研究では、これまで考えられてきたものとは異なる劣化機構を考案し、J-PARCの工学材料回折装置を用いて、考案した劣化機構が支配的であることを定量的に示しました。この成果はITERの超伝導導体の設計改良に貢献し、劣化しない超伝導導体ができています。一方、絶縁材料の開発では、ITERの巨大なトロイダル磁場コイルに適用することを目指して研究開発を進め、ITERに採用されるとともに原型炉につながる成果となっています。今後は、ITERさらには原型炉の建設に向けて重要な研究開発に参加できることに感謝しつつ、核融合エネルギーの実現に貢献したいと考えています。引き続き、皆様のご指導、ご協力をお願い申し上げます。