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吉川允二核融合エネルギー奨励賞

過去の受賞者紹介

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平成24年度 吉川允二核融合エネルギー奨励賞 受賞者紹介

ITER計画や幅広いアプローチ(BA)活動などに代表される未来の核融合エネルギーの実現に寄与しうる内外の研究・技術開発や調査研究の中で、若手人材による優れた成果かつ優れた成果が見込まれる活動を顕彰することを目的とした吉川允二核融合エネルギー奨励賞において、以下の受賞対象分野、

① ITERやBAに直接関わる研究開発活動など
② 上記以外で核融合エネルギーの実現に必要な研究開発活動、または将来これらの研究開発に寄与すると見込まれる内外の基礎的・基盤的な研究開発活動など
③ 長期的な視野に立って核融合エネルギーの実用化に向けたシナリオ作成に寄与する調査研究活動など

に対し、平成24年度は9件の応募がありました(①:4件、②:5件、③:0件)。選考委員会において厳正な審査を行い、調整委員会は授賞候補3件(①:2件、②:1件)を推薦することとし、運営会議で奨励賞3件が決定されました(優秀賞の該当候補なし)。授賞式は、第6回全体会合(平成25年3月11日、内幸町ホール)において執り行いました。

核融合エネルギーフォーラムの推薦に基づいて、受賞者には今後の発展のために研究助成金が(独)日本原子力研究開発機構(以下、原子力機構)から配賦されました。

平成24年度の選考委員は次の方々です(敬称略)。

高瀬 雄一(委員長、東京大学)、小関隆久(原子力機構)、金子修(核融合科学研究所)、鎌田裕(原子力機構)、相良明夫(核融合科学研究所)、谷川博康(原子力機構)、南貴司(京都大学)、以上7名。

受賞者の紹介

研究助成テーマ:

「ITERポロイダル偏光計測装置の研究開発」

選考理由:

遠赤外レーザーのポロイダル偏光計測による電流分布計測の精度評価、近似解によるデータ高速処理、回帰反射鏡設計手法の開発、など傑出した業績をベースとし、ITERの過酷な条件に適合できる最適な光学伝送路設計を目的とする。極めて重要な課題であり、高度なプログラミング実績と具体的な計画は説得力がある。ITER、BAや将来のDEMO炉で有力な計測装置となりうることを実証したことが高く評価された。

奨励賞 (研究助成 80万円)
受賞者 今澤 良太 氏(日本原子力研究開発機構)

受賞者の抱負:

この度は,平成24年度核融合エネルギー奨励賞という素晴らしい賞を賜り大変光栄に存じます。受賞にあたり,これまで研究を遂行する上でのご支援を頂きました先生方や関係者各位に深く感謝申し上げます。ITERポロイダル偏光計測装置はプラズマ電流分布を計測するものであり、先進プラズマ制御に欠かせない重要な計測装置です。ポロイダル偏光計をITERに適用するには、物理及び工学の両面において課題があります。ITERは核燃焼プラズマであり高電子密度かつ高電子温度という特徴があるため、従来の偏光計で用いられてきたファラデー効果とコットンムートン効果に対する簡便な公式が適用できなくなります。本研究は両効果がカップリングする場合に適用可能な新しい公式を導出するとともに、カップリングする場合でも偏光計を用いた電流分布計測が可能であることを示し、物理的課題の解決の見通しを得ました。また、高熱負荷(核発熱及びプラズマ放射熱)を受ける環境でも冷却が容易となる薄い新型回帰反射鏡を考案し、工学的課題の解決の見通しを得ました。本賞に恥じないように、今後もITERさらにはDEMOに適用可能な計測の開発に貢献するべく精進してまいります。


研究助成テーマ:

「共鳴磁場摂動に対するプラズマ応答の3次元MHD平衡からのモンデリングとその実験的検証」

選考理由:

磁気島や磁力線の乱れを入れた3次元MHD平衡コードHINT2の開発と、LHD実験による検証は大きな業績であり、常に実験に立脚する姿勢は傑出している。ストキャスティック層の輸送の物理の解明と実験的検証はITER、BAのみならず環状プラズマ物理研究にとって興味深くかつ重要な課題である。今後、JETやD-IIIDでの摂動磁場実験との検証と妥当性チェック(V&V)を経て、JT-60SAやITERでのELM抑制への外挿に進む計画は、喫緊の課題であり、学術的にも高い成果が期待できる。

奨励賞 (研究助成 80万円)
受賞者 鈴木 康浩 氏(核融合科学研究所)

受賞者の抱負:

この度は、平成24年度吉川允二核融合エネルギー賞を頂き誠にありがとうございます。これまでMHD平衡理論に基づくヘリカル系プラズマの磁場構造解析を進めてきました。その複雑な磁場構造を考察するためには、高精度の数値シミュレーション手法の開発を進める必要があります。しかし、数値シミュレーションは与えられた初期条件に対する答えでしかありません。数値シミュレーションを実験結果と比較・検討し、数値モデリングの妥当性検証を精力的に進める必要があります。本研究課題は、これまでヘリカル系プラズマの解析に用いられてきた数値モデリング、3次元磁場構造を応用したトカマクプラズマの磁場構造をMHD平衡理論に基づいて数値シミュレーションし、実験結果を解析するもので、本研究はトカマク炉を目指す上で問題となる周辺局在化モードの理解を進める一里塚であり、ITER-BA、ひいてはITERに強く貢献できるものと考えております。今回の吉川允二核融合エネルギー奨励賞応募にあたり、推薦いただきました先生方、さらにはこれまでに共同研究等でご指導・アドバイス頂きました皆様に対しまして、心よりお礼申し上げます。引き続きご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。


研究助成テーマ:

「3次元磁場配位における乱流輸送シミュレーションの実験観測に基づく検証と予測に関する研究」

選考理由:

乱流輸送コードGKX-Vの開発と乱流輸送係数の簡潔表現の成果は世界的評価も顕著である。3次元磁場配位中の輸送シミュレーションの重要性は近年増しつつあり、トカマクでも注目されている。今後の実験との検証とコード妥当性チェック(V&V)、および乱流輸送モデリングの構築は喫緊の課題で有り、統合コードへの組み込みも含めて、世界をリードする成果が期待できる。JT-60SAの実験テーマへの対応や、六ヶ所HELIOSの活用を図る上でも、この領域の研究は大いに加速されるべきである。

奨励賞 (研究助成 80万円)
受賞者 沼波 政倫 氏(核融合科学研究所)

受賞者の抱負:

この度は、栄えある吉川允二核融合エネルギー奨励賞を授与頂き、誠に有り難うございます。本賞の受賞は核融合研究に携わる若手によって最大の栄誉です。受賞対象となった乱流輸送シミュレーション研究は、核融合研内外の先生、及び共同研究者の皆様のお力添えの下で進められてきたものであり、この場を借りて心より感謝申し上げます。現在、異常輸送現象の解明とその定量予測に向けて、大規模な乱流輸送シミュレーションが国内外で活発に進められています。核融合炉開発において、適切で経済的な運転を保証する上でも、シミュレーションによるプラズマ輸送の正確な再現と予測は必要不可欠です。本研究では、LHD高イオン温度放電におけるITG乱流輸送シミュレーションを実施し、密度揺動スペクトルや異常輸送レベルを再現することに成功しました。また、乱流輸送係数が揺動ポテンシャルの乱流成分とゾーナルフロー成分により簡潔な形で表現できることも見出しました。ヘリカル系乱流輸送の簡潔モデル構築への第一歩となる結果です。このモデルを組み込んだ統合輸送解析の有効性を示すことができれば、乱流輸送抑制の観点から、より効率的な核融合炉設計につながると期待されます。今回の受賞を糧として、核融合エネルギーの早期実現に向けて本研究を発展させていく所存です。