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吉川允二核融合エネルギー奨励賞

過去の受賞者紹介

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平成21年度 吉川允二核融合エネルギー奨励賞 受賞者紹介

ITER計画や幅広いアプローチ(BA)活動などに代表される未来の核融合エネルギーの実現に寄与しえる内外の研究開発活動の中で、若手人材による優れた成果かつ優れた成果が見込まれる研究開発活動を顕彰し、今後の発展のために研究助成(*)することを目的とした吉川允二核融合エネルギー奨励賞において、以下の受賞対象分野、

① ITERやBAに直接関わる研究開発活動など
② 上記以外で核融合エネルギーの実現に必要な研究開発活動、または将来これらの研究開発に寄与すると見込まれる内外の基礎的・基盤的な研究開発活動など
③ 長期的な視野に立って核融合エネルギーの実用化に向けたシナリオ作成に寄与する調査研究活動など

に対し、平成21年度は9件の応募がありました(①:2件、②:7件)。選考委員会による慎重かつ公正な審査を経て調整委員会で奨励賞3件を採択し、運営会議の確認を経て、授賞式を第4回全体会合で行いました。

核融合エネルギーフォーラムの推薦に基づいて、受賞者には今後の発展のために研究助成金が(独)日本原子力研究開発機構(以下、原子力機構)から配賦されました。

選考委員は次の方々です(敬称略)。

中村幸男(委員長、核融合科学研究所)、岡野邦彦(電力中央研究所)、
實川 資朗(原子力機構)、高瀬雄一(東京大学)、中島徳嘉(核融合科学研究所)、
長谷川晃(東北大学)、堀池寛(大阪大学)


受賞者(右3名)と佐藤文隆・核融合エネルギーフォーラム議長(中央)
順に、吉川允二氏、中村幸男・選考委員長

受賞者の紹介

研究助成テーマ:

光弾性変調器を用いた2波長発振型短波長遠赤外レーザー偏光計の高精度化に関する開発研究

選考理由:

電子密度・電流分布計測のためのレーザー偏光/干渉計の開発をITER等の大型装置を想定して計画的及び継続的に進めてきており、ITERに要求される計測分解能の達成は高く評価できる。今後、長時間計測のための安定性の向上など更なる計測の高度化が期待できる。

奨励賞 (研究助成 80万円)
受賞者: 秋山 毅志氏 (核融合科学研究所)

受賞者の抱負:

この度は大変栄誉ある賞を授与して下さり、心より感謝申し上げます。本研究は中部大学をはじめとする大学と核融合研の、私が参加する以前からの長年に亘る共同研究の上に成り立っています。そのため今回の受賞は、共同研究グループのこれまでの成果と将来性を評価して頂いた結果だと思っています。
波長50ミクロン帯の短波長遠赤外レーザーは、大型・高密度核融合装置における電子密度・内部磁場分布計測に適した光源であります。私は、その波長域における偏光計測手法の確立に携わっており、近年ITERスケールの装置への適用が展望できるような計測精度が得られてきました。
今回の研究助成を頂き、現在更なる高精度化や定常運転に対応できる長時間安定性の改善に取り組んでいます。電子密度・内部磁場計測の精度・信頼性を高めることは、地味ではありますが、核融合研究を進める上で大変重要です。LHDの超高密度放電やITER等将来の核融合装置への適用に向け、本計測システムの性能を総合的に高めて行きたいと考えています。
今回の受賞にあたり、感激と同時に、気持ちが引き締まる思いであります。今後、この栄誉に恥じぬ成果を上げ、核融合エネルギーの早期実現に貢献していきたいと思います。


研究助成テーマ:

低放射化バナジウム合金の溶接・接合のメカニズム解析と組織制御による特性向上

選考理由:

核融合炉の低放射化材料として、バナジウム合金の素材開発に継続的に取り組んでおり、大型化のための大量溶解や溶接接合技術などの開発は高く評価できる。ブランケットを含めた発電システムの構築のための異材接合技術への挑戦などは将来の発展が期待できる。

奨励賞 (研究助成 80万円)
長坂 琢也 氏 (核融合科学研究所)

受賞者の抱負:

この度は大変名誉のある賞を頂戴いたしましたことに恐縮しております。過分のご評価に感謝申し上げます。 バナジウムは核融合炉の他、軽水炉、高速増殖炉など全ての中性子スペクトルにおいて低放射化という類稀な元素です。体心立方金属の状態では非磁性で、トリチウム増殖材となる液体リチウムとの相性が良く、中性子照射下でのスエリングが小さいことなどから、まさに核融合炉のための金属といえます。
これまでに、大学等の皆様との共同研究により、加工製造性、溶接性、中性子照射特性、水素吸蔵特性、MHD絶縁被覆、第一壁タングステン被覆など、バナジウム合金ブランケットに関わる様々な研究が進展してまいりました。しかし、その実用化にむけては、鉄鋼材料並みの工業規模製造プロセスの確立と、中性子の重照射特性データの取得、そして発電ブランケットシステム設計などまだ多くの課題があります。
今回ご評価いただきました研究は、一般工業材料である316L鋼との異材溶接性を明らかにするものです。これによりブランケットから炉外機器まで一連の発電ブランケットシステムを考えられるようになると大変期待しながら取り組んでおります。 今後も新しいことに挑戦し、核融合炉材料・ブランケット研究に邁進する所存です。
今までどおり皆様方のご指導、ご鞭撻をお願い申し上げます。


研究助成テーマ:

高βプラズマにおけるMHD不安定性の物理および高エネルギー粒子との相互作用に関する研究

選考理由:

トカマク型核融合炉で重要となる高ベータプラズマの安定化に関する研究に意欲的に取り組んでおり、抵抗性壁モードの安定化制御や高エネルギー粒子駆動不安定性の発見などは高く評価できる。海外での共同研究を目指しており、この分野での更なる貢献が期待できる。

奨励賞 (研究助成 80万円)
受賞者:松永 剛 氏 (日本原子力研究開発機構)

受賞者の抱負:

この度は、名誉ある核融合エネルギー奨励賞を賜り大変光栄に存じます。これまで研究をご支援頂きました共同研究者、関係者ならびにJT-60チームの方々に心より御礼申し上げます。今回受賞対象となりました研究は、高βプラズマで問題となるMHD不安定性に関するもので、核融合炉を展望する上で重要かつ緊急のテーマであります。特に抵抗性壁モードは到達β値を制限するため、その物理解明と安定化手法の確立は急務になっています。
また、現在着目しています高βプラズマで観測された新たな高速イオン駆動不安定性と、その抵抗性壁モードとの相互作用は、まさに核燃焼・高βプラズマで問題となる現象です。今回の受賞により米国のDIII-D装置でJT-60の補完実験を実施するに到り、非常に有益な成果ならびに経験を得ることができましたことを改めて感謝申し上げます。
現在、私は高βMHD研究を進めるとともに、超伝導トカマクJT-60SAの建設に向けて、高β運転で必要な容器内コイルなどの設計を行っています。JT-60SAそして、その先にITERやDEMOを見据え、高βMHD研究の発展に資するべく引き続き精進してまいりたいと思います。