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吉川允二核融合エネルギー奨励賞

過去の受賞者紹介

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平成19年度 吉川允二核融合エネルギー奨励賞 受賞者紹介

ITERや幅広いアプローチ(BA)などに代表される未来の核融合エネルギーの実現に寄与しえる内外の研究開発活動の中で、若手人材による優れた成果もしくは優れた成果が見込まれる研究開発活動を顕彰し、今後の発展のために研究助成(*)することを目的とした核融合エネルギー奨励賞(優秀賞,奨励賞)において、以下の受賞対象分野、

① ITERやBAに直接関わる研究開発活動など
② 上記以外で核融合エネルギーの実現に必要な研究開発活動、または将来これらの研究開発に寄与すると見込まれる内外の基礎的・基盤的な研究開発活動など
③ 長期的な視野に立って核融合エネルギーの実用化に向けたシナリオ作成に寄与する調査研究活動など

に対し,平成19年度は20件の応募がありました(Ⅰ:12件、Ⅱ:8件、Ⅲ:応募なし)。選考委員による慎重かつ公正な審査を経て調整委員会で優秀賞2件と奨励賞4件を採択し,運営会議の意見も反映して、授賞式を第1回全体会合で行いました。(*: 核融合エネルギーフォーラムの推薦にもとづいて原子力機構から配賦されます)

選考委員は次の方々です。

香山晃(調整委員会委員長、選考委員長)、小川雄一(調整委員会委員)、図子秀樹(委員長推薦)、関昌弘(委員長推薦)、野田信明(委員長推薦)、福山淳(委員長推薦)、芳野隆治(調整委員会委員)

佐藤文隆・核融合エネルギーフォーラム議長を囲む受賞者の写真
佐藤文隆・核融合エネルギーフォーラム議長を囲む受賞者

受賞者の紹介

研究助成テーマ:

ITER立ち上げ時のリミター工学設計のための熱負荷データベース作成及びモデルの予測性能の向上

選考理由:

ITERプラズマの立ち上げ時における3次元シミュレーションによるリミターへの熱負荷の評価は、リミターの工学設計基盤を与えたもので、ITER計画への大きな貢献である。さらに、本テーマでの研究継続により熱負荷の予測精度の向上やリミター形状の最適化設計への貢献が期待できる。

受賞者:小林 政弘さんの写真

優秀賞
受賞者: 小林 政弘 (核融合科学研究所)

受賞者の抱負:

この度は核融合エネルギー奨励賞を授与していただき、誠にありがとう御座います。大変うれしく、また光栄に存じます。まず最初に今回の受賞の対象となった、"ITERのプラズマ立ち上げリミターの熱負荷解析"の仕事に参加する機会を与えていただいた核融合科学研究所とITER機構の先生方のご尽力に深く感謝いたします。また、研究遂行にあたって大きなご支援をいただいた共同研究者およびITER国際チームの方々に改めて御礼申し上げます。今回の研究は彼らの協力無しには成しえなかったと思いますので、そういう意味でも私個人ではなく、グループ全体に頂いた賞であると考えております。
今後も今回の受賞に恥じないように、核融合エネルギー開発の研究に取り組んでいきたいと思います。私の研究分野はヘリカル型装置のダイバータ輸送ですが、ITERのようなトカマク型装置にも共通の物理が多く、これからも研究者同士の交流を深めながらITER計画の進展に寄与できれば幸いです。特に今後、ヘリカル型装置における発見が、ITER計画に大きく貢献できればこれ以上の喜びはありません。


研究助成テーマ:

先進SiC/SiC複合材料の照射下健全性評価

選考理由:

先進ブランケットの開発において重要な材料となるSiC/SiC複合材料に関する多角的な研究を展開しており、国際的にも共同研究等を通じて実績を挙げている。比較的最近急速な進歩の見られた材料であり、照射損傷評価に基づく耐照射特性の改善、接合技術等での研究促進への貢献が期待できる。

受賞者:檜木 達也さんの写真

優秀賞
受賞者: 檜木 達也 (京都大学)

受賞者の抱負:

この度は、第一回目の核融合エネルギーフォーラム「核融合エネルギー奨励賞」の優秀賞を授与させていただき、大変光栄です。これまで研究を支えていただいた香山先生はじめ関連する皆様や、そして家族に感謝いたします。このような賞の設立は大きな励みになりますので、このような機会を与えて頂いた吉川先生をはじめフォーラム関係者の方々にも感謝いたします。
これまで、私は、優れた低放射化特性、高温での強度特性等から核融合への応用が期待される先進SiC やSiC/SiC 複合材料の製造プロセス開発を基本とし、耐照射特性も含め系統的に研究を行ってきました。SiC/SiC複合材料の研究は、基本的な材料開発の段階から、実用化を見据えた接合・被覆等の応用技術、耐環境特性の向上、評価技術開発も含めた多角的な信頼できるデータベースの構築といった内容に研究の重点が移りつつあり、これらにも対応した形で、ITER-BA、日米協力のTITANを中心に研究を展開していきますので、多くの方々にご協力頂ければ幸いです。この材料は、先進核分裂炉や航空・宇宙分野への応用も期待できるため、様々な研究者との交流も図り、クロスカッティングにより研究開発を迅速に展開し、核融合材料としても信頼して使っていただけるものにしていきたいと思います。


研究助成テーマ:

Li酸化物中での水素同位体挙動のモデル化:計算と実験およびミクロとマクロの統合

選考理由:

その重要性に比べて遅れている分野の一つであるトリチウム挙動を予測するためのモデリングにおいて実験、シミュレーション双方において実績を挙げており、マルチスケール計算と実験を通じてミクロ現象とマクロ観測とをつなごうとする挑戦は高く評価でき、貢献が期待できる。

受賞者:小田 卓司さんの写真

奨励賞
受賞者: 小田 卓司 (東京大学)

受賞者の抱負:

核融合エネルギー奨励賞を授与して頂き,ありがとうございます。私はこれまで,固体トリチウム増殖材料中におけるトリチウム挙動をミクロな視点から詳細に理解することで,安全で効率的な核融合炉燃料サイクルの確立へ貢献することを目指し,基礎的な研究を行って参りました。基礎研究は「核融合エネルギーの実現」という主題からは遠い部分もあり,その点について諸先生方から指摘されることもありました。しかし,多様なスケールの事象が関与したユニットを集積化させてシステムとして運用する核融合炉においては,ミクロな視点もマクロな視点も同等に重要であり,いずれから目を背けた場合にもそれに由来するエラーがシステム全体の信頼性を低下させるのだと思います。そしていずれへのアプローチにおいても,シミュレーション研究も実験研究も同等に必要であるのだと思います。ただ,現状ではそれらの有機的な連結が十分にはなされておらず,効率的な研究が行われていません。
そこで今回は,ミクロからマクロへの連続的な展開,そしてシミュレーション研究と実験研究の融合を念頭におき,研究計画を作成しました。
本研究の結果として,研究グループ間の距離を近づき,核融合エネルギーの早期実現に向けた効率的な研究展開が可能となるに,努力して参りたいと思います。


研究助成テーマ:

トロイダルプラズマの乱流輸送における二次元構造の研究

選考理由:

プラズマの輸送現象に2次元構造を取り入れ、Hモード遷移と輸送現象の関係の解明に成果を挙げている。これらの成果の更なる発展による、輸送現象の理解への貢献が期待できる。

受賞者:糟谷 直宏さんの写真

奨励賞
受賞者: 糟谷 直宏 (核融合科学研究所)

受賞者の抱負:

トロイダルプラズマの乱流輸送の研究はここ数年で大きな進歩をとげている。その一つの原動力が、微視的揺動とメゾスケール構造(帯状流や非線形ストリーマー)との結合を考慮した乱流理論の展開である。微視的モードの線形成長率よりもメゾスケール構造の減衰率がプラズマの状態を記述するのに重要であることが明らかになってきた。さらに巨視的分布の二次元構造の重要性も認識され始めている。そこで改善閉じ込めへのさらなる研究の展開を図るため、輸送障壁における二次元効果を取り入れるべく理論を拡張する。乱流輸送がストリーマーによって局在化し、その不均一性が帯状流に影響を与える。この両者が競合する機構を研究し、新たな乱流の分岐や構造形成選択則を探る。そして形成される二次元構造がもたらす新たな可能性、例えば粒子ピンチ効果など、の開拓を行う。
このようにトロイダルプラズマの乱流輸送における二次元構造の研究という核融合プラズマにとって重要であるが未踏の課題を探求し、トロイダルプラズマの異常輸送の理解を深めることで、核融合エネルギー開発の新時代に向けた、新たな理論研究の枠組み構築に貢献したい。


研究助成テーマ:

プラズマ対向壁材料への水素同位体蓄積に関する研究

選考理由:

ITERでも用いられるBeへのIP法の適用など、新規性に富む研究を行っており、国際共同研究での実績も評価される。今後の成果に期待したい。

受賞者:杉山 一慶さんの写真

奨励賞
受賞者: 杉山 一慶 (独 マックスプランク研究所)

受賞者の抱負:

この度は、核融合エネルギー奨励賞を賜り大変光栄に存じます。受賞対象となりました「プラズマ対向壁材料への水素同位体蓄積に関する研究」は、ITERのプラズマ対向壁材料に予定されているベリリウム、タングステン、炭素材への水素蓄積特性を明らかにしようというものです。
私は学生時代からプラズマ-対向壁相互作用とそれに伴う対向壁への水素同位体(特にトリチウム)の蓄積について研究して参りました。このような分野は核融合研究の中心(プラズマ研究)からは少し外れておりますが、一方で、炉内のトリチウム蓄積がITERの稼働率を著しく制限する可能性がある(ITERでは炉内トリチウム量が一定量に達すると実験を止めトリチウム除去運転がなされる)として、近年その重要性が認識されつつあります。
本研究では炭素材やタングステンに加え、これまであまり研究されてこなかったベリリウム及び、それらの混合材への水素蓄積特性について知見を得ることにより、ITERの炉内トリチウム蓄積量評価に資する結果を出したいと考えております。


研究助成テーマ:

ITER-TBM用先進トリチウム増殖材料の創製

選考理由:

Li密度の高い増殖材の開発において高温での劣化を抑制する方策としての酸化物添加法を提示し、ブランケット寿命やトリチウム生成特性の改善等が期待できるほか、国際共同研究での実績も評価される。今後の成果に期待したい。

受賞者:星野 毅さんの写真

奨励賞
賞者: 星野  毅 (日本原子力研究開発機構)

受賞者の抱負:

この度は、平成19年度核融合エネルギー奨励賞という名誉ある賞を賜り、大変光栄に思っております。現在、私は先進トリチウム固体増殖材料の研究開発に携わっております。新材料に関する研究開発は、実験結果の予測が困難であるため、試行錯誤での研究となり、成果をあげるために地味な実験の繰り返しですが、このような名誉ある賞を頂いたことは、私だけでなく、同様に試行錯誤の研究で努力している研究者に対して、大きな励みとなります。
核融合発電炉の実用化のためには、高温で安定に使用できるトリチウム増殖材料を開発することが必要不可欠なため、Li2TiO3の高温特性向上に有効な手法として、新規に酸化物(CaO、Li2O等)を添加することを考案し、高温特性が大幅に改善され、従来の無添加のLi2TiO3より高温での化学的・物理的安定性に優れた先進トリチウム増殖材料の創製に至りました。
先輩方のご尽力により、我々、若手研究者の世代は、ITER、DEMO炉と核融合発電炉の実現に向けた重要な時期に研究開発ができ、大変嬉しく思います。今後、これまでの研究成果を更に発展させ、将来の核融合エネルギーの研究開発に大きく貢献し、全世界の皆様のご期待に応えたいと思っております。